命を燃やせ
杉原美菜は駄菓子屋を営んでいる。彼女にとってこの店で働くことは退屈で仕方なかった。昨日と同じ今日、そして明日も今日と同じそんな毎日であった。その日も美奈は繰り返しの1日をただボーっとやり過していた。しかしあろう事か店番中に美奈は寝てしまった。
「ピリッ、カブッ、ピリッ、ムシャ」そんな音を聞き美奈は目を覚ました。なんの音?と辺りを見渡すと、1人の少年が店のお菓子を勝手に食べていた。
「あらやだ、私ねぼけているのね」
しばらく美奈はその異様な光景をただ呆然と眺めていた。美味しそうに食べる子だなーとかものんびり考えたりもした。寝起きで寝ぼけていた思考もだんだん回復し重たく開かなかった瞼もしっかり開き、もう一度その少年も見た。
「少年は美味しそうにパクパクたべている・・・・・・。食べてる?」
美奈は慌てて少年の所に行き「何してるの!」と一喝し、ズルズルと少年を店の奥へと引っ張り、椅子に座らせた。
「ねぇ、僕。お父さんやお母さんはどうしたの?」
「・・・・・・」少年は俯き美奈の問に答えようとしない。まるで口に鍵がかかっいるようだ。
「まぁ困ったわね、まぁ今回は私が寝てたのもあるし・・・・・・」
美奈はしばらく顔を傾け考えた。前代未聞の事件にどうしたらいいのかわからなかった。せめて言いたいことは言っておこうと思い少年に向き直った。
「今回は許す。でもね覚えといて!お店のものを勝手に食べたら泥棒と一緒よ、やっちゃいけないことなの
しかし、少年は口を開こうとしなかった。
「ちょっと、ごめんなさいぐらい言ったらどう?」
「・・・・・・」
それでも少年は口を硬く閉じたままだった。しかし一瞬そんな口元を緩めニヤリと笑った。
「ボス連れてきたぜ」
「おお今日こそいい女なんだろうな?」
「たったぶん」