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日記帳3

?月3日


 時間は午前二時。早朝と言うには早いが、僕ら深夜組にとってはちょうど忙しい時間帯だ。弁当が来て、雑貨が来て、検品して、棚作って。しかも、工場地帯だから、同じく深夜組の工場連中がこの時間に弁当を求めて沢山来る。要するに棚も作るし、レジも打つし・・・で大変な訳だ。そして、こう言う日にはなぜかテレビの占いを思い出したりする。

『ごめんなさい。最下位は蟹座の貴方。今日は凄く疲れそうな一日。疲れたら部屋でゆっくり休みましょうね。ラッキーアイテムはコンビニの弁当だぞ!』

 悪いが周りにはラッキーアイテムだらけだ。なのに、今日の忙しさは・・・占いなんて所詮外れだな。いや、すごく疲れそうって言う点では大当たりすぎる大当たりだな。

 そんな事を思いながら、レジ打ちしていると、ピーンポンと入店を知らす機械音が鳴る。

 心の中で舌打ちして、パッパと客を片付けて行く。

「3560円になります」

 投げるように一万円を出してくる客。どつき回したくなる。万券のボタンを押して、レジが開かれ、大きい方を先に渡し、小銭をジャラジャラと取り、渡す。淡々とする作業だ。楽しくもなんともない。

 何とか客をこなしていくとすでに時刻は三時半。残り一時間半で残りの作業を片付けなければならない。気だるい事この上無い。忙しすぎて全て終わったときには七時半になっていた。もう、とっくに交代の時間じゃん・・・俺の仕事は五時までだぞ。まー前の仕事は、残業手当は出ないは、サービス残業ばっかりやらでひどかったから・・・まだましだな・・・。

 服を着替えて、チャッチャと家路に着こうとしたが、疲れてペダルが思うように漕げなかった。フラフラとしながらチャリを漕ぐと、いつもより一時間半も遅い時間にもかかわらず、彼女が壁に持たれながら煙草を吸っていた。今日はもう完全に夜が明けていたので、彼女の顔や体格、仕草などが全て目に入ってきた。

 (またかよ)

 心の声を押し殺しながらもチャリを漕ぎ、そそくさと通り過ぎようとした瞬間に、いつものように今日もまた声を掛けられた。

「ねぇ」

「何?」

「え?何で不機嫌な訳?つうか不機嫌だとしても私に当たらないでくれる?」

「ウザイ。用があるんなら早くしてくれ、疲れてんだよ俺は」

「そう・・・ならいい・・・」

彼女は煙草を一度吸ってから、ポイと後ろに飛ばして、スタスタと逆の方向へと歩いて行く。何なんだよ。意味わかんねぇむなしい気持ちにさせられた俺は、チャリンコを漕いで、家路に着いた。

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