― Epilogue ―
※注意※
・作者の妄想と気紛れの産物です。
・最強物なため、そういう類のものがあまり好きでない方はご遠慮ください。
・一切の断りなく更新変更される事があります。
・更新は不定期です。
以上の事を許してくださる方は、駄文ですが楽しんでいってください。
酷い嵐の夜だ。
土砂降りの雨が、木々を容赦なく叩き、森が唸り声に似た音をたてる。
遠くで雷が鳴り、少し遅れて轟音が響く。
重く黒い雲で覆われた夜空が、その稲妻に照らされる。
「はっ、はっ、はっ」
その中を、1人の少女が走っていた。
右手には籠を持ち、その籠を濡らさないよう左手で庇いながら、必死に走っている。
「はっ、はっ、はぁっ……」
ぬかるんだ地面は少女の体力を奪い、それに伴って少女の息は上がる。
既に膝は震え始めており、満身創痍といった所か。
「はぁっ……はっ、はっ……」
だが、暗く視界の狭い森は、否応無しに人を迷わせる。
案の定、既に少女は方角すら分からず、このままでは泥の中に倒れるのは確実だった。
しかしそれでも、少女は走るのを止めない。
「はぁっ…………は、くぅっ……」
だが、永遠に続くと思われた森の中、急に視界が開ける。
そこに、屋敷が建っていた。
色褪せた茶色いレンガで出来た、小さくも立派な屋敷。
壁には蔦が蔓延り、まるで呪縛の様に絡み付いている。
「こんな所に、一体誰の、家……?」
少女は足を止め、首を傾けて記憶からこの屋敷と同じもの探す。
だが、その中に合致する物は無かった。
古い記憶や、数年前に行ったきりの道の記憶を掘り起こそうとして、少女は思い出すのを止めた。
今は、そんな事を考えている場合ではない。
「雨宿り、させて、もらおう……」
再び少女は走りだし、蔦が絡まって開いたままの門を通り屋敷へ向かう。
薄暗い闇の中、亡霊のように建っている屋敷へと。
まるで誘うかのように半分だけ空いている扉へと。
この先の話の中で出てくる、本の部位名。詳しくはググると画像付きで説明が出ます。
※小口:本における背表紙の反対側。ページが見えている部分を指す。
※喉布:本の、見開きの真ん中部分。