表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

1ー④

「さあ、着いたよ~!」


 唯に連れられ、到着した教室のドア上部に掲げられた文字が目に入る。


『生物実験室』


 はあ?と、出そうになった声を礼は抑えた。いやいや、吹奏楽部が練習に使うとすれば音楽室ないし視聴覚室だろう。ここはその名の通り、生物の授業で顕微鏡とかを使う教室のはずだ。


「オイーッス!」


 と、元気よく引き戸を開く唯。


「あら唯ちゃん、入学初日はどやった?クラスに馴染めそ?」


 栗色の髪を三つ編みで一つに纏め、丸い眼鏡を掛けた女子が唯に問う。胸に付いたリボンの色が礼達の緑色と違い、青色。という事は2年生のようだ。

 

「オイッス!さくらちゃん!そりゃもうバッチリ!」


 唯は、さくらと呼ばれた2年生に笑顔で答える。 私は全然バッチリじゃあないよ、という顔をしていた礼の顔を、もう一人いた女子部員が見つめているのに気付く。リボンの色は赤。3年生だ。


「唯、その子は?」


 艶やかな長いストレートの黒髪を眉の上で綺麗に揃えた先輩は、凛としたクールビューティといった雰囲気だ。


「この子は同じクラスの赤比さん。入部希望者だよ!」


 と、二人に礼を紹介する唯。すると、二人の先輩は笑顔で礼に接近する。

「はじめまして、赤比さん。私は谷尾志麻たにお しま。3年生で副部長よ。よろしくね」


 と、姫カットの先輩・志麻。


「ウチは2年の春部はるぶさくら!こがぁな可愛い子が入ってくれるなんて嬉しいわぁ〜」


 独特な訛りのある先輩、さくらは礼の手を取る。「可愛い」と言われ、満更でもない礼だが、それよりも気になる事があった。

 まず、ここが音楽室ではなく生物実験室だという事。 そして、部員が少ない上に誰も楽器を持っていない事、ここは明らかに自分の入りたい部ではない。その時だった。

 奥の扉─おそらく倉庫だろう、が開かれ中から四角い眼鏡を掛けた男子生徒が現れた。 ネクタイの色は赤。志麻と同じく3年生である。


「やあやあ赤比くん!僕の名は壬玄光青みくろ こうせい!この部の部長さ。そして……」


 光青と名乗った男子は、上下スライド式の黒板をスライドさせる。隠れていた方の黒板にはチョークででかでかと、こう書いてある。


 WELCOME TO AQUARIUM CLUB!!


「ようこそ。翠涼学園水槽学部(すいそうがくぶ)へ!!」


  ああ、絶対に違うやつだコレ。と、礼は確信した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ