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1ー①

 薄暗い室内を、並べられた水槽のライトがぼんやりと照らす。そして水槽に取り付けられたフィルターのモーター音とエアレーションの音が響く。そんな中、痩身中背の男は集まった者たちに語り掛ける。


「諸君っ!ついにこの季節がやって来た……桜舞う春!そう入学シーズン!!」


 更に仰々しい手振りで男は続ける。


「我々は文化部の中でも非常に立場が弱い!合唱や吹奏楽みたいなコンクールも無ければ書道や美術みたいなコンテストも無いからね!……と言うワケで、君たちも新入部員獲得に向けて頑張ってくださーい!以上〜。はい電気点けて」


 明かりの灯されたそこは学校の生物実験室。主に授業で使われるこの部屋を、彼らは部室として間借りしているのだ。


「最初から点けときゃいいじゃん、電気」


 と、ぼやきながら長身逞躯の男子部員は缶の蓋を開け、乾燥したエビを取り出し水槽に放り込む。それを待ち構えていた金に黒い縞の石鯛の様な魚は乾燥エビを空気ごと吸い込み、ぱちゅんぱちゅんと音を立てる。


「雰囲気ゆうのは大事なんよ〜?魚も人も、ね?」


 栗色の髪をした、メガネを掛けた女子部員は駒込ピペットで水槽に液体を垂らす。液体から散らばる微生物を、魚の稚魚達が次々に口にする。


「みんなごめんなさいね。あの人、昔から変なところに拘るのよ」


 と、黒く艶やかなロングヘアの女子部員。


「フフフ……入学してくる1年生には、既に我らの同志が一人いる!彼女がきっと新入部員を連れて来てくれるはずさ!!」


 部長と思しき最初の男は続ける。


「というかマジで頼むぞゆい〜!我々“水槽学部すいそうがくぶ”の未来は君に懸かってるからな〜!!」


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