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瓶底メガネの聖女様  作者: らんか


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12 ルイーゼの憧れの人は……



 次の日、ルイーゼは学園に着くと、すぐにオリビアを探す。


 (もう! 同じクラスだったら簡単に確かめられるのに!)


 ルイーゼは、そう思いながらオリビアのクラスを目指す。

 

 オリビアは特1クラスで、ルイーゼはBクラス。

 この学園では、学年ごとに、成績や家柄、特技などを基準に、特1、特2、A、B、Cクラスの5つのクラスに分けられており、成績優秀で治癒魔法が使えるオリビアは特1クラス、ルイーゼは下から2番目の特化すべき点のない平凡なBクラスとなっていた。


 (大体、何故私がBクラスなのよ!

 もし聖女がお義姉様だったとしたら、お義姉様が特1クラスなんて、有り得ないわ!)


 そんな事を考えながら、オリビアのクラスに行こうとするが、途中で行く手を遮られてしまった。


「君、何処へ行こうとしている?」


 学園警備の人に呼び止められ、ルイーゼは不快な表情を隠しもせずに、警備員を睨む。


「何故私が貴方にそれを教えなければならないの?

 私はこの学園の生徒よ!

 学園内の何処へ行こうが、貴方には関係ないでしょ!」


 そう言って、特1クラスに行こうとするが、またしても警備員に遮られた。


「君は新入生か? 知らないのなら教えよう。

 特別クラスの棟は、特別クラスの者でしか入れない決まりになっているんだよ。

 君は確か普通クラスだね?

 だったら、この先は進めないよ」


「何それ! 特別クラスじゃなくて、特1クラスに行きたいだけよ!」


「だから。特1と特2は特別クラスの1と2という意味なんだよ。

 それも知らなかったのかい?」


 警備員にそう言われて、ルイーゼはショックを受ける。

 そして、このやり取りは他の生徒たちにも見られており、周りからクスクスと嘲笑されているのに気付いて、顔が真っ赤になる。


「し、知ってるわよ! 馬鹿にしないで!」


 それだけ言うと、ルイーゼは反対方向に踵を返す。


 (もう! これもみんなお義姉様のせいよ!)


 義姉に責任転嫁しながら、この場から早く立ち去ろうとすると、振り向きざまにいきなり誰かにぶつかってしまった。


「痛い! 誰よもう!」


 ルイーゼは、そう叫びながら尻もちを付いて転んでしまった。

 

「悪かったね、大丈夫かい?」

 

 とその時、優しげな男性の声がして、パッと顔を上げる。


 そこには、入園式の時に一目見て憧れたルーク・スノーメル公爵令息が立っていた。


「ルーク様!?」


 ルイーゼが、いきなり名前呼びしてきた事に、一瞬眉をひそめたルークだったが、すぐに笑顔で対応する。


「すまなかったね。勢いよくぶつかって来られたから、受け止められなかったんだ。立てるかい?」


 そう言って、ルークはルイーゼに手を差し伸べる。


「は、はい!」


 ルイーゼはルークの手をしっかりと取ってから立ち上がる。


「歩けるかな?」


 ルークが、ルイーゼをエスコートするかのように歩みを進める。

 ルイーゼは、手を引かれるがままに歩き出した。


 (運命……そう! これは運命よ!)


 思い込みの激しいルイーゼは、ルークの手 を握ったまま、ルークを見つめてそう感じた。


 ルークは、冷静にルイーゼの立ち姿を見て、頷いた。

 

「怪我はなさそうだね。しっかり立ってるし、足も挫いてはいない。

 良かったよ。では、気をつけてね」


 そう言うと、すぐさま手を離し立ち去ろうとする。

 ルイーゼは、慌ててルークを呼び止めた。


「ルーク様! 待ってください!

 足が痛いのです! 教室までエスコートして下さいませんか?」


 思わずルークに駆け寄ってそう言うルイーゼを、ルークは一瞥した。


「駆け寄れるくらいだから大丈夫だとは思うけど……。

 では、教室ではなく、保健室に案内してもらおう。

 ちょっと君、このご令嬢を保健室まで……」


 ルークはそう言って、ルイーゼをその場にいた警備員に託そうとしたが、

「ルーク様! お願いします!」

 とルイーゼは、ここぞとばかりにルークに、保健室まで一緒に行ってもらおうとしがみつく。


 ルークは、しがみついてきたルイーゼを見下ろしながら、仕方なさそうにため息を吐き、

「いいよ。僕が送ろう」

 と、ルイーゼを保健室まで連れて行くことに同意した。


 (もう、これは運命としか言いようがないわ! この事がきっかけで私とルーク様は恋に落ちるのね!)


 ルイーゼは、そんな事を考えながら、ルークにしがみついたまま歩いていく。

 

 その姿は全然痛がる様子もなく、周りから見てもウキウキしている様子が明らかで、周囲の目は冷ややかであったが、ルイーゼは全く気が付く事もなかった。



 保健室に着き、ルークが保健室に常駐している医師に声をかける。


「すみません、女子生徒が足を痛めたようなので、お連れしました」


「あら、スノーメルさん、ご苦労さま。えーっと、そちらの女子生徒ね?

 あなた、お名前は?」


 女医にそう聞かれ、ルイーゼはルークに聞かせるように、大きく名乗った。


「わたくしは、ルードグラセフ伯爵家の娘、ルイーゼと申しますわ!

 ルーク様、ここまで付いてきて下さり、ありがとうございましたわ!

 何かお礼をしなければなりませんわね?

 そうだわ! わたくしの屋敷にご招待させて頂いてもよろしいかしら?」


 ルイーゼは、女医をそっちのけで、今にも退室しそうなルークを呼び止めた。


 しかしルイーゼが止める間でもなく、ルークは足を止めて、ルイーゼを凝視する。


 (あらやだ。ルーク様ったら、そんな不躾に見つめるなんて!

 やはり、ルーク様も私に一目惚れしてしまったのね!)


 ルイーゼはそう思い、キラキラした目でルークを見つめているが、ルークは冷ややかに目を細め、ルイーゼから距離を置く。


「そうか……君が……」


「ルーク様?」


 ルイーゼがルークに近づこうと一歩前に出るが、ルークは明らかに拒否的な態度を示す。


「君に名前呼びを許した覚えは無い。

 気安く呼ばないでくれ。

 それと、お礼など不要だ。失礼する」


 そう言って足早に去っていくルークの後ろ姿を見て、ルイーゼはビックリした。


「え? 何故……」


 ルイーゼのその質問の言葉が続かないうちに、ルークは立ち去って行った。


 

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