舞踏会終盤
「あら、平民なのに礼儀作法がなっているのね」
令嬢方に囲まれているとそんな声が聞こえてきた。リーダー格と思わしき令嬢が扇子で口元を隠した状態で話しかけてきた。
『ありがとうございます、これでも舞踏会に出るに当たって色々勉強したのです。令嬢方に恥を晒す訳には行きませんから…』
「へぇ...中々分かっている方ね、紳士たるもの
令嬢に恥を掻かせるなど言語道断、ましてや人前でマナーのなってない行動を晒すなどあってはなりませんからね。」
ほほう...つまり私の礼儀作法が素晴らしいと褒めてくれているのか...
「私の名前はフィオーリ・ブローネルツ
フィオーリでいいわ私達は学生、身分は平等ですから...」
私はニコッと笑うと
『改めましてこんばんは、フィオーリ嬢。騎士派のリアトリスと申します。』
と爽やかな笑顔で挨拶をする。
リーダー格の令嬢だ、仲良くしておいて損は無い。令嬢は何を考えているか分からない、仲が良かった相手でも状況次第ではすぐに切り落とす。あまり深入りするなと昔の私が...令嬢の私が警告している。
じっとフィオーリが見つめる。
『フィオーリ嬢、僕と1曲踊っては頂けないでしょうか?』
「構いませんわ」
フィオーリ嬢と踊り始めると周りがわぁっと歓声を上げた。
そりゃそうだろう。
フィオーリ嬢は公爵令嬢でとても美人だ。
おまけに礼儀作法も完璧、まさに理想の皇妃候補者って感じだ。
そんな彼女と私が果たして釣り合っているのだろうか...少し不安になるが歓声が上がっているという事はもんだは無いのだろう。
フィオーリ嬢と何も考えずに楽しく踊っていたがそれがあんな事を招く事になるとこの時は思いもしなかった....
楽しく踊り終えたあと舞踏会はお開きとなった。この後は連休なので馬車で寮ではなく自分の家に帰るものが大半だった。
フィオーリ嬢とも少し世間話をして馬車まで送った。
私はと言うと別に家に帰っても何も無いので狩り三昧...と言いたいところだが明後日は大好きなお兄様の誕生日、帰らない訳にはいかない。
それに久しく顔を出していないのできっと家族が...主にお父様とお兄様が心配しているのでついでに顔を見せて私は元気ですよ、という事を証明しなければならない。無論手紙は欠かさず送っているが人は文だけでは不安は拭えないことを私はよく知っているので顔出しは必要不可欠と言えるだろう。
イースから久しぶりに冒険者ギルドで依頼を受けないかと誘われたが...本当は行きたいが...大好きなお兄様の1年に一度...いや、一生に一度の誕生日を祝うべくイースの誘いに断りを入れて私は自分の家へと向かった。




