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舞踏会当日

美しい刺繍の施された袖に手を通し、華やかな模様の描かれたボタンが縫い付けられたシャツをを着る。正直ドレス姿の時よりも緊張している自信がある。今日はついに舞踏会本番だ。ダンスの練習だって頑張ったし姿勢や言葉遣いも、レディに対する態度やダンスの誘い方、紳士から誘われたダンスの上手な断り方まで。


イースは私と踊ってくれるだろうか...


そんな不安がふと頭をよぎる。すると不安が一気に押し寄せてきた。


ヤバい...吐きそう...


私は急いでトイレに駆け込んだ。

魔物を倒す時もドレス姿で舞踏会に参加する時もこんな緊張感は覚えなかった。なぜ今になって?


考えて考えて考えたが埒が明かない。

考える事を放棄し始めた時...


「リアいる?ちょっと服を見て欲しいんだけど...」


そう言いながら入ってきたイースに私は驚いた。肩まであるワンカラーの髪の毛によく似合うデザインの服とイースの瞳の色でもあるエメラルドのブローチ。どこからどう見ても貴族にしか見えない立ち振る舞い、しかしどこか守ってあげたくなるような儚さ。


『うちの子は世界一かわいい...』


「何言ってるの?服の事を聞きに来たのであってリアの感想を聞きに来た訳じゃないんだけど...」


『そうだったね、よく似合ってるよ』


「そ、そうかな...」


照れて顔を赤くしてるイースを見て私は絶対この子を守らねばと心に誓った。


会場に着くとやはりたくさんの貴族が集まっていた。皆煌びやかな服を身にまとい楽しく談笑している。多分表向きは...

貴族というものは基本的に笑顔の仮面を被っているものである。笑顔の仮面すら被れず感情を剥き出しにしているものはある意味貴族に向いてないのだろう。


私は着いて速攻で料理のところへイースを連れて向かった。何故なら食事中の人には話しかけてはならないというルールがあるからだ。

食事もできて"どこの家の者だ?"なんてめんどくさいマウンティング合戦を避けることが出来る。一石二鳥である。


イースと食事を堪能し終えるとダンスの時間になった。この為に来た様なものだ。私はイースに向かって跪いた。


『僕と1曲踊っては頂けないでしょうか?』


私の言葉にわぁっと周りがザワつく...

イースは驚いた顔をしていたが頷いてくれた。

音楽が始まり私はイースを連れてホールの中心へ向かった。


『ありがとうイース、誰よりも可愛いよ。』


「やめてよ、僕男なんだけど////」


そう言いつつも照れるイースに私は"可愛い!!"と叫びたくなったのを必死にこらえた。


『こういう場もたまには悪くないね、』


「そうかな?仮面被ったヤツらの何が楽しいのか僕には分からないよ」


『でも着飾った綺麗な令嬢方を見れるじゃないか』


「リアはあんなのが好きなの?」


『どうだろうね』


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