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 体育館から特別クラスに向かう道中。

 校舎裏へ行くルートは、本校舎の中を突っ切る以外に本校舎外周をぐるっと囲むように敷設されたコンクリートの歩道を歩くルートがある。

 コンクリート歩道といっても、上履きで歩くことを前提としていて基本的には外履きで歩くのは許されていないが、まぁ、守ってる生徒はあんまりいない。

 上履きで歩く生徒と外履きで歩く生徒と、おおよそ半々くらいだ。

 そして、校舎の教室の窓が無い側面はほとんど人が通らない。

 その側面のコンクリート歩道で、少し後ろを歩いていた優、笹凪優(也)が立ち止まって俯いてしまい、早々に気付いて俺はどうしたらいいか困ってしまう。

 あの教頭の茶番もそうだが、メインヒロインの久瀬志津香の言葉が響いてるのかも知れない。何もしてなかったと宣言されたようなものだから。


 つっても・・・いきなり実戦に駆り出されて動ける方がおかしいって・・・。俺は、そう、ロボットのコクピットの中だったからゲーム感覚も若干あったし。優の事を守りたいって思ったからな。

 この身一つで戦えって言われてたら、俺だって何も出来なかったさ。


「とうまは凄いね・・・。ぼくなんかちっとも・・・」


 いい言葉が全然浮かばない。

 物語の主人公だったら、こう言う場面で女の子に、なんて声かけるんだろう。


「新型のパイロットなんて・・・、ぼくには・・・」


 かける言葉は見つからないけど。


「優。俺は、優がいたから戦えただけだよ。守りたいって思えたから」


「ぼくだってそうだよ? だけど、ぼくは動けなかったんだよ?」


「それが当たり前だよ。俺みたいのは、きっとどこかおかしいんだ。狂ってんだよ。だから、優は優のままでいてほしい」


 む、優が黙ってしまった・・・。

 ガラじゃなかったか。呆れられたか。

 しょうがないね、俺モブだし・・・。


 と、


 優が突進して来て胸に飛び込んだと思ったら唐突にキスされてしまった。


「えへへ、うっそー」


 そしてにっこり笑う。

 どう考えても作り笑い。

 わかってて俺もちょうどいい場所にいたから抱きしめてやった。


「きゃ、ちょっ」


「んー、優いいにおい!」


「ちょっ、ばっ!」


 思い切り優の膝蹴りが俺の大切な所に突き刺さった。


「ぐぼあ・・・!?」


 っく・・・!

 何という激痛、ご褒美じゃ済まされない・・・。

 ガクッとへの字に崩れ落ちる俺に、優は前屈みになってぺろっと舌を出していたずらっぽく言うのだった。


「とうまのばーか! へんたい! だいすき!」


 最後のお言葉ありがとう最大のご褒美です!!


 そして激痛で動けませんしばらく無理です・・・。


 そんな俺を置いたまま、優は走っていっちゃった・・・。


 うん。可愛いから許すよ?

 でも二度とここは蹴らないでね・・・。


「お前、なにしとんの」


 あとから来たらしい柿崎が、残念そうに俺を見下ろしている。

 苦し紛れに俺は言った。


「さ・・・笹凪をちょっとからかったら・・・股間まじ蹴りされた・・・」


「バカだなお前・・・」


 うるさいやい。

 とりあえず、優といちゃついてた所は見られてないっぽい。

 が、しかし、やっぱりしばらく動けそうもなかった・・・。






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