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えぇ話しゃ~!と涙を流したおじさんは、誰なんだろう?

 今回は橋田ドラマの様に、長台詞が多いですが、話しは短め。

 魔導師ギルドの試験を終えて、アレイシアさんに連れられて、冒険者ギルドに向かう道すがら、アレイシアさんは、今後の事について語り始めた。


「うちの学院のカリキュラムでは、3年で上級魔導師に成るまでが、魔法の必修なんじゃ、ところが、この5人は、既にAランクとS級になってしまったので、魔法の授業が免除になるわけじゃ!

 まぁ個人的に、更なる知識を得たいが為に、授業を受ける事も自由じゃから、その辺りの事は好きにすればいいのだが、AとSになれば、この時点で、学院の講師の資格が発生する。

 まぁ、実際のところ講師になるにはCランクから成れるのじやが、BとCは、講師に成るための資格試験を受ける資格が与えられたと言う程度のものじゃ。」


「では何故、冒険者ギルドへ向かっているのですか?」


 冒険者ギルドとへ行くと聞いてから、目を輝かせているノーナさんの隣でサファイアさんが質問すると、


「先程も魔導師ギルドで説明したのじゃが、魔導師ギルドは、冒険者ギルドや、王国への、人材の貸し出し、それから、新しい魔法の開発や研究、魔法の教科書、魔法辞典の発行、発売等、魔法に関する事柄について多岐にわたって活動しておるが、魔導師が冒険者ギルドに入り、冒険者になる事を禁じてはおらん。仮に魔導師ギルド経由で冒険者ギルドの依頼を受けるのと、直接受けるのでは、本来直接受ける方が依頼料が高いけど、モノによって魔導師ギルド経由の方が貰える金額が多い場合がある。

 それと、魔導師ギルド経由の依頼の場合、集めた素材の取り分けが、面倒なのじゃ、魔石を魔導師ギルド、その他は、冒険者ギルド、しかも素材の報酬が貰えないのじゃ!」


「どうしてですか?」


「魔石は、魔導師ギルドで、研究材料や魔道具の素材になるのだが、渡した魔石の数に応じて、ギルドへの貢献度のポイントとなり、組織の中での地位や発言権に繋がるのじゃ、要は魔石をギルドに運んで出世の糧にしておるのじゃ。

 そして、その他の素材に関しては、冒険者ギルドから魔導師ギルドに魔導師の斡旋料の一部として支払われる様になっておる。」


「要するに、魔導師ギルド経由の仕事は、余禄が全く無いんですね。」


「そうじゃ、昔、魔導師ギルドの斡旋料が高過ぎるとクレームが来て以来こう言う形になったのじゃ。」


「それで、冒険者登録するのですか?」


「まぁ、それもあるが、お主らは、絶対に素材で損しそうなのでな(笑)

 S級の3人は特に、単独でドラゴンの討伐すらやりかねんからな、ドラゴン1匹倒せば素材の買い取りだけで、王都に家が建つからな。」


「アレイシアさん、魔導師ギルドの幹部取締役が、ギルドの不利益になる様な事していいんですか?」


「構わん!構わん!どの幹部職員も昔やっておった事じゃ(笑)」


「ところで、アレイシアさん、何故さっきからスーリヤさんが後を付けて来ているのですか?」


「おおよそ、ダーリンから、金剛石を貰えると思っておるのじゃろう(笑)」


「そう言えば、スーリヤさんにもあげるって言っちゃいましたね。」


 僕は、その場でアレイシアさんの手をとり、小指に、ダイヤのリングを合成すると、アレイシアさんに、抱き付かれたが、いつもの様に引き剥がし、レイナさん、ルナさん、サファイアさん、ノーナさんと順番に指輪を合成し、最後にスーリヤさんの小指にも指輪を合成する。

 皆さん、うっすらと頬を染めて小指のリングを眺めている。

 あまり大きい物は、流石に駄目だけど、このぐらいなら、いいよね多分、みんな喜んでるみたいだし。


 その後は、冒険者ギルドへの道程は、何故かスーリヤさんが僕の横を歩くので、少し話をしてみる事にした。


「スーリヤさんって魔王様なんですか?」


「今は、魔王ではない、50年程前に弟に第を譲ったので、正確には元魔王だ。」


「そうなんですか、スーリヤさんは、何故、魔族領から、出てきたのですか?」


「弟が魔王として、統治しているからな、行き詰まって私に頼るよりも、自分の力を信じて行動して、立派な魔王になって貰いたいから、敢えて弟から離れたのだ。」


「こちらに1人で寂しくないですか?」


「こちらに来た当時は、何も分からなくて、こっちの文化や常識に馴れるのに苦労して、寂しく思う暇も無かったが、こちらに馴染んできた頃に、寂しいと思う様になったが、こんな私にも友達が出来たり、魔導師ギルドに入ったりで、今は、そこそこ楽しんでいる。」


「流石、元魔王様強いんですね。」


「私は、決して強くはない、元魔王と言うのも、魔王だった父が王座を退いて、冒険者の旅に出ると、何処かへ行ってしまったので、弟が成人するまでの間、繋ぎで玉座を温めていただけだ、魔王城から離れ、魔族領の片隅で、のんびりと暮らしても良かったのだが、こちらに来ればもしかして父に会えるかも等と弱気な事を思ったからなのだよ、だから、私は強くなどないのだ。」


「それは、それでスーリヤさんの良いところだと思いますよ。

 冒険者の旅に出たお父さんの事が心配なのでしょう?スーリヤさんは、思い遣りに溢れた優しい女性なんですね。」


「そ、そんな事、言われた事ない………」


 少し頬を染めて俯くスーリヤさんに、


「僕は、産まれて直ぐに父親に捨てられたらしいんですけど、もし父に会う事が出来たら、御礼を言いたいのです。

 父が捨ててくれたお陰で、優しい2人の姉に育てて貰う事が出来たから、たまに暴走して、僕に女の子の格好をさせたりと、少し困った姉なんですが、僕に沢山の愛情を注いでくれました。

 だから、僕は、僕を捨てた父親を感謝しています。」


 周りの足音が止まったので、隣を見ると、アレイシアさんとスーリヤさんが、涙を流してた。


「親に捨てられてなお、これ程迄に、心根の優しい人間に、私は初め出会った!」


 とスーリヤさんが、泣きながら抱き締めてくれた。

 レイナさん、ルナさん、サファイアさん、ノーナさんも涙ぐんでた。

 横では見知らぬ、ガタイのいい、おじさんまで「えぇ話しゃ~!」と涙を流してくれていた。

 そのおじさんは、僕の肩をポンと叩いて「そのまま真っ直ぐに育つんやで!お前は、きっと立派な大人になれる!」と言って涙を拭きながら歩いていった。

 誰だったんだ、あのおじさん?




 次回、おじさん再び登場します。

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