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魔導師ギルドにて(1)

 僕がアレイシアさんに、追い回されているうちに、試験を受けるメンバーが揃ったようで、走り回る僕とアレイシアさんに、レイナさんが「出発するよ!」と大声で呼び掛けてくれた。


 そして受験生の集まるメインエントランスの前に戻ったところで、アレイシアさんから逃げられなくなった。


 学院の正門を抜けて徒歩で、約20分魔導師ギルド迄の道程、僕は、何故かアレイシアさんをおんぶしていた。


「胸を揉まないなら、せめておんぶして欲しい。」


 なんて言われたので、仕方なくおんぶすると、僕の背中に、胸を押し付けたり、擦り上げる様な感じで動いたりして、とても歩き辛かった。


 魔導師ギルドに到着して、アレイシアさんが、受付で、受験票を受け取り、僕以外の受験生に渡していく。


「受験票が行き渡ったなら、会議室で説明があるから妾に付いてまいれ!」


 そう言って先頭を歩き始めたので、慌てて


「アレイシアさん、僕まだ受験票貰ってないです!」


 駆け足で追い掛けると、


「ダーリンは、筆記免除じゃ!」


「エッ?何で?」


「ダーリンは昨日、賢者の認定を受けたからじゃ、後は実技で、各属性のでかいのをブッ放せばOKじゃ!」


 アレイシアさんの発言を聞いて皆の足が止まった。


「「「「レオ君賢者なの?」」」」


 何人かの声が重なった。


「そうじゃ!ダーリンは昨日、最年少で賢者の認定を受けたのじゃ!しかも、成人と同時に大賢者に認定される事も決まっておるのじゃ!

 そして妾を娶ってくれる事も……」


 最後は、何かゴニョゴニョと言って良く聞こえなかった。


「レオ君!いえ、これからは、レオ様と呼ばせて頂きます!」


 感極まったサファイアさんが抱き付いてきたのを見て、ノーナさんまで、


「サファイア!あんただけズルい!」


 サファイアさんに負けじと抱き付いてきたのを皮切りに、3年生の6人組まで群がって、収拾が着かなくなりかけた時、アレイシアさんが、


「こらー!ダーリンは妾のものじゃ!」


 と理事長の威厳もへったくれもない叫びに、事態は収拾が着くわけがなかった。


 そんな時、何かピリッとしたものが身体を走ったと思ったら、僕に群がっていた女生徒達が次々に膝をついて倒れていった。

 すると、目の前に開けた景色の中に、魔族と思われる1人の女性が佇んでいた。


「アレイシア、今回の、お前の学校の生徒達は落ち着きが無いのか出来が悪いのか、どっちなのだ?」


 その魔族らしき女性は、良く響く声で、理事長にそう言った後、キョロキョロしながら、


「あれっ?アレイシア?何処に行った?」


 僕は、足元に転がっているアレイシアさんを指差し、


「あの~、理事長は、ここでのびてます。」


「なんじゃ、なさけない!貴様それでも協会の最高幹部の1人か?」


 アレイシアさんは、床に転がったまま、右手を上げて、


「気を抜き過ぎておったわ。」


 と力なく言うと、魔族らしき女性は、僕を睨み、


「小僧、さっきの魔法、貴様を中心に展開したのに、顔色1つ変えぬとは普段からレジストしておるのか?」


「いえ、何かピリッとしましたよ。」


「と言う事は、一応、貴様にも魔法は発動したのだな?」


「はい!」


「貴様、名は何と言う?」


「僕の名前は、レオ、レオ·エルディオスです。」


「レオン·ラインハルトか、分かった、覚えておこう。

 それから、そいつらに掛けたパラライズ、もう効果が切れるから、全員起きたら、会議室に集合せよ!」


 そう言って彼女は踵を返し何処かへと去って行った、名前も告げずに、そして僕の名前を間違えたまま。

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