レオ、先輩に壁ドンする。
ほっち令嬢のサファイアさん登場です。
レオは、カルナから受け取った刀を置きに戻ったところで、グレンさんが、
「メシ食いにいこうぜ!」
と声を掛けてきた。
「分かりました!」
と手に持った刀を鍵の掛かるロッカーに仕舞い込んで、部屋を出て行った。
食堂に着くと、3年の先輩達は、既に食事を済ませていた様で、グレンさんと同じテーブルで食事を摂り始めたのだが、またいつもの視線を感じたので、気配を追うと、入口に近いテーブルにドレスの人が。
僕は、食事の手を止めて、彼女に話しを聞こうと、席を立ちドレスの人が、座るテーブルに向かって行くと、彼女は驚いた様に立ち上がり、食べ掛けの食器もそのままに、食堂を出て行こうとしたので、走って追い掛けた。
食堂を出てすぐに、レオが叫ぶ、
「何故、逃げるんですか!?」
「貴方が追い掛けて来るからですわ!」
「じゃあ、追い掛けませんので、僕の話を聞いて下さい!」
レオの叫びに、サファイアが足を止めて振り返ると、目の前にレオが居た。
「ヒッ!」
と驚き、思わず自分の胸を隠す様に、両手で身体を抱き締めるサファイアに、もう逃げられませんとばかりに、壁ドンでレオは、退路を塞ぎ、
「これで、やっと貴女と、お話をする事ができますね。」
レオの言葉に、サファイアは観念したかの様に、自分の身体を抱き締めた両腕を開き、軽く膝を曲げて背の低いレオと視線の高さを合わせて目を閉じて軽く唇を突き出した。
「あの~、僕は、貴女とお話がしたいのですが。」
「解ってるわよ!殿方が女性に、壁ドンする事の意味位は、私にも解ります。」
「何か、大いに勘違いなさってませんか?そう言った意味で、逃げ道を塞いだのではなくて、少し話しがあってですね。」
「じゃあ貴方は、私に告白するのではなくて、只単に、話をしたいだけですの?」
「初めから、そう言っているのですが。」
と言うと、サファイアは、大きく目を見開くと、顔を真っ赤に染め上げ、所在無さげに、
「あら嫌だわ、私ったら、自惚れて勘違いしていた様ですわ。」
と少しもじもじする仕草が妙に可愛かった。
「あはっ!先輩は、綺麗な人ですから、日頃よく異性の方に、言い寄られるのでしょうね。」
(こんな可愛い男の子に、綺麗だなんて、なんて素直で正直な男の子なのでしょう!私の弟にしたくなりましたわ。)
対人スキルがほぼ0のサファイアは、再び真っ赤にになりながら、
「そ、それで、私に何の話しが在るのかしら?」
サファイアは、もしかしたらこの学院で始めての友達が出来るのかしら?それともデートのお誘いかしら?もしかして、実はの告白なのかしら?
と、ワクワクしながら、レオの言葉を待った。
「話しと言うのは、いつも、僕の事を睨んでいるようなので、僕が何か先輩の気に障る様な事でもしたのかな?って思って。
もしも、そうなら、謝罪しなければならないので…………」
僕の返事を聞いて、少し表情を曇らせた先輩は、拗ねた様な表情で、
「私、貴方を睨んでなどいませんのよ、貴方がドームの壁に穴を開けた時、丁度、ドームの横に居ましたの。
ですから、どの様な方が、あの理事長先生自慢のドームに穴を開けたのか、気になって、貴方の事を注視していたのですわ。」
「そうだったんですか!」
「ええ、私、次の魔導師ギルドの試験を受けますので、出来れば、貴方と魔法について語り合えれば、何か新しい気付きが有るかもと思って見ていたのですが。
常に誰かと一緒なので、話し掛ける事も出来ず、いつか1人にならないかなぁと、」
「じゃあ、今日、逃げなくても良かったんじゃないですか?」
「あっ、あれは、貴方がいきなり向かって来た時、心の準備が、まだ出来ていなかったから………」
「じゃあ、これから、食事の続きをしながら、ゆっくりとお話ししませんか?」
「宜しいのですか?」
「構いませんよ、2人共、まだ食事の途中だったじゃないですか。」
「そうですわね。」
と先輩は、微笑んでくれた。
軽度の食い違いは、あったものの、僕が先輩に対して失礼な事をした訳ではないことが分かり、胸のつかえがとれたので、気分良く、先輩と食事の続きをする事を提案した。
先輩が嬉しそうにしてくれたので、エスコートするように、手を差し出せば、少し驚いた様だが、少し頬を染めながら、淑女然たる態度で、僕の手を取ってくれた。
こんな、紳士淑女の様な行動に、2人は顔を見合わせて、クスクスと笑いながら、食堂へ戻ると、2人の食器は既に片付けられていた。




