乱入のアレイシア
レオが理事長室に呼ばれた日から3日の日が経った。
レオがいつもの様に、レイナとルナに挟まれて朝食を摂っている頃、理事長室では、理事長のアレイシアが、動物園の熊の様にうろうろしながら、独り言を言っていた。
「レオ君は、暇になったら、ここに遊びに来てくれると言っておったのに、あれから3日も経つのに、顔も出してくれない…………もしかして妾が美し過ぎて恐縮しているのかしら?
それともレオ君、誰か他の女に言い寄られてるのかも?
いずれにしても、このままじゃレオ君にいつ逢えるか分からない。」
確かにレオは、暇ではなかった。
国王が視察に来るからと、張り切ったグレンとアンに頼まれて、放課後は、魔法の練習を見ているし、他の女に言い寄られてる訳でもない、レイナとルナ2人の実は姉だったと言う、なんちゃって学院生コンビがガードし睨みを効かせているので、レオが学院内で1人になる場所は、男子トイレの中ぐらいだった。
そして、レオ自身もあまり暇ではないし、これと言った用事も無いので、理事長室に行く必要は無いと考えていた。
部屋の中をぐるぐると歩き回り、アレイシアは、ある結論に達した。
「そうだわ!何もレオ君が来るのを待たなくても、妾から、逢いに行けばいつでも逢えるじゃないの!」
そしてアレイシアは、理事長室内のクローゼットを開き服を選ぶ。
レオが、朝食を済ませ男子寮を出ると、いつもの様に、レイナとルナが入り口の前で待っている。
校舎迄の短い登校時間の中、3人は会話を楽しみ教室に向かう。
レオが教室の扉を開けると、何かが胸の辺りに飛び込んできた。
最近、見た事のある、薄い緑色を帯びた銀色の髪の毛に、何故か学院生の制服
「ん?理事ちムゥッ…………、」
理事長と言いかけたレオの口を素早く塞ぎ、
「レオ君、妾の事は何と呼ぶのかな?」
そう言われ、レオがコクコクと頷くと、レオの口を塞いだ手を離した。
「アレイシアさん、いきなり、どうしたのですか?
しかも生徒用の制服で?」
アレイシアは、モジモジしながら、頬を染めて上目遣いに、
「待てど暮らせどレオ君が、逢いに来てくれないから、逢いに来たのです。
今日から妾も、この教室で授業を受けるつもりてすの♡」
と言って、レオに抱き付くアレイシア。
すると後ろから、レオの背筋を襲う冷気と共に、
「レオ君、そのちみっこは誰なのかな~?」
と普段よりも、1オクターブ低いレイナの声が響く。
「えっと~、あの~、この方は、アレイシアさんと言って、この学院の理事長です。」
「あんた、理事長をナンパしたの?」
ルナが極めて冷静な声で質問すると、ルイスとルミナがルナ達の元にに来て、ルナとレイナの手を引いて行った。
「ルイス、何なのよ、私はレオに話があるの!」
「少し俺の話しを聞いて欲しい、アレイシア様とレオの事だ、」
「あの2人、何かあったの?」
「いや、これと言って何も無かったのだが、先ずはアレイシア様について知ってもらいたい。
あのお方は、俺の叔母にあたるのだが、最後の始祖エルフでエルフの巫女なのだ。
まぁ叔母と言っても血は全く繋がっていないのだけど………」
「何か複雑な関係そうね。」
「まぁ血筋の事は、今回、関係無いんだけど、あのお方は、エルフの社会の中では、畏れ多くて家族以外の誰も、その尊顔すら拝めなかったのだが、ある日、
「エルフの社会の中では、妾の伴侶が見付からぬ。」
と旅に出て、いつの間にか、この学院の理事長に収まっていたんだ。
エルフの社会の中では、家族以外の男性と話しをする事すらなく、超の付く箱入り熟女として、永きに渡る、男日照りを拗らせ捲っていた、そんな中レオが、初対面で、アレイシア様に見とれて、綺麗と誉めたものだから、アレイシア様も舞い上がっているんだ。」
「ルイス、君の話しは、突っ込みどころ満載なんだが、あのちみっこが熟女?『箱入り熟女』等と言う言葉、初めて聞いたし、どう見てもレオと同い年じゃないか?
それに、血縁関係のない叔母って言うのも気になる!」
レイナの質問(突っ込み)にルイスではなく、ルミナが、
「アレイシア様は、エルフ原初の7人の中の最初の女王様の末っ子として産まれたのだが、神の御告げにより、齢10歳に成られた時に、世界樹の揺り篭の中で眠りに就き、悠久の時を経て200年程前に目覚められたの。
その後は、巫女として、神託を御告げになったり、身寄りの無い子供を引き取って育てたりと、エルフ社会の為に尽くされていました。
その時、引き取った最初の12人の子供は、アレイシア様の弟妹として、その後に引き取られた子供達は子供として、認知されております。
これでお分かり頂けると思いますが、私達の母は、アレイシア様に引き取られた、最初の12人の1人なので、私とルイスは、アレイシア様の甥と姪と名乗らせて頂いております。」
そこまで聞いたレイナが蟀谷を押さえながら、
「要するに、レオが、あのロリ理事長に惚れられたって事でいいのね?」
「はい、レイナさんの仰る通りです。」
「流石レオだわ。」
ルナは、そうこぼしながら、レイナと顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。




