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 赤ん坊の名前

 ドラゴンと赤ん坊を育てる事になったレダだが、本来、彼女は、人間を観察するつもりで、多くの世界を渡り歩き、その結果として、天界の役目も果たさず、ただひたすらに人間という種を観察していた為に、天界から、追放されたので、実際に人間の子供を育てる事に対しては興味津々だった。


 そんなわけで、レダは、赤ん坊を包むスパイダーシルクの布と、スパイダーシルク産着を剥ぎ取り、裸にして、まじまじと観察を始めた。


 最初に目に付いたのは、皇帝から、傷物として扱われる原因となった、胸の中央の赤い痣を診ると、


「おお、これは珍しい、この子には、転生紋があるではないか!」


 レダの言葉にドラゴンが首をひねりながら、ギャウゥ?と質問すると、


「なんじゃ、お主は、叡知の極みと言われたフェザードラゴンのクセに転生紋を知らぬのか?

 よい、教えてやろう。」


 すると、ドラゴンは、話が長くなってはと、裸にされた赤ん坊に産着を掛けて、レダの正面に座り直した。


「まず、輪廻転生は知っておるな?」


「ギャウ!」


「普通の輪廻転生とは、1つの星の中で命が循環する事なのじゃが、ところが稀に、他の星の命が何らかの使命を持って輪廻の輪っかの中に紛れ込む事があるのじゃ。

 その使命とは、前世の記憶を思い出し、文明を発達させる者や、悪政を施す暴君を打ち倒し、人の心に安寧の灯を点す者、はたまた、魔王を滅ぼし勇者と呼ばれる者まで様々じゃが、1つだけハッキリと言える事は、この紋が本物ならば、この紋は、この子と共に育ち、地上の特異点となるじゃろう。」


「ギャウ!」


「そうか、理解出来たか、それでは、更に調べてみるとするか。」


 そう言ってレダは、ドラゴンが掛けた赤ちゃんの産着を剥ぎ取り、


「おお!これが男性器、所謂オチンチンと言うヤツじゃな。

 うむ、初めて見るが珍妙な物じゃな。」


 などと言いながら、両脇の下に手を差し込み、高々と持ち上げ股関に顔を近づけて観察していると、オチンチンから、温かいシャワーが。


「う、うわっぷ!な、なんじゃ?し、しょっぱい!」


 その光景を横で見ていたドラゴンは、腹を抱えてギャウギャウと笑っている。


「蜥蜴!一体これはなんじゃ?」


 レダに蜥蜴と言われて頭にきたドラゴンがレダの頭に噛み付き、驚いたレダが赤ん坊を手放してしまった。

 ドラゴンが驚き赤ん坊を受け止めようとして、ふさふさの羽で覆われた翼を展開したのだが、赤ん坊は空中に浮いたままだった。


「トカゲェェェェー!噛むなー!」


 再び蜥蜴と叫んだレダに、噛み付いた口を離し、


「ギャウゥギャウギャウー!」


 と叫ぶ。


「何?蜥蜴と呼ぶなじゃと?人が付けた名前をことごとく嫌がりおって、一体何と呼べば気に入るんじゃ?」


「ギャウギャウギャウ!」


「何?何故、赤ちゃんが浮いてるかじゃと?」


「ギャウギャウ!」


「魔力を感じなかった?そりゃそうだ、魔法ではないからな、こう見えても、儂は元高位の天使じゃ現象の力を使えるのじゃ(エッヘン)」


「ギャウ?」


「現象の力か?所謂、神の権能と言えば解るか?御親の能、分かりやすく言えば、天使の奇跡じゃ。

 早い話が、魔力を練らずとも、考えるだけで、魔力を使わず大気中の魔素が心に思った現象を引き起こしてくれるのじゃ。

 天界に住まう者の力は凄かろう(笑)」


「ギャウ!」


「フフン羨ましいだろう(笑)」


「ギャウギャウギャウ!」


「何?その子を育てるなら、早く名前を決めろだと?」


「名前は、決まっておるが、まだ付けぬ、名前とは一種の呪いじゃからな、出来れば、名前の(しゅ)に縛られる事のない力を付けた時に真名を渡すつもりじゃ。」


「ギャウギャウゥ?」


「名前付ける迄、何と呼べば良いかじゃと?

 そう言われれば困ったな…………………………………うむ、仮の名前が必要じゃな………では、エルディオスと呼ぶが良い。

 儂が前に、彷徨っていた地球と言う星のある国の言葉で天使と神を表す言葉じゃ。

 因みにこれは、儂とお主にもあてはまる、家族としてのファミリーネームじゃこの名前ならば、呪に縛られる事もなかろう。」


「ギャウギャウ!」


「フフン、良い名前であろう(笑)」



 斯くして、赤ん坊の呼び名は、取り敢えずファミリーネームのエルディオスと呼ぶ事に決まった。

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