レオ、理事長に呼ばれる。
王城で定例議会が行われた3日後、学院では、競技会に国王の視察があると発表された。
生徒達は、国王の来院の話しを聞いて少し浮き足だっていたようだが、約2名は、少し深刻な面持ちで、その話しを聞いていた。
その2名、レイナとルナは、授業が終わると、レオに絡む事もなく女子寮に戻って行った。
レオは、普段なら、いつも授業が終わると同時にレイナとルナに左右の腕を掴まれて連行されるかの如く、娯楽室に連れ込まれるのに、この日、2人に捕まらなかった事に、少しの戸惑いを感じたのだが、基本的に、鍛練と技の研鑽が好きなので、久し振りに1人で剣術の稽古でもするかと考えていた。
そして1人で練武場(体育館や道場的な場所)へ行こうとすると、エルフのルイスとルミナに呼び止められた。
「レオ君、少し良いかい?理事長に頼まれたんだが、君と話がしたいそうなので、同行して欲しいのだが、時間はあるか?」
「何もする事がないから、自主練しようと思ってだけど、理事長が呼んでるのなら、構いませんよ。」
「そうか、時間をとらせて、済まない。」
「理事長の用事だろ?何もルイス君が謝る必要ないんじゃない?」
「いや、その内に判る事だけど、理事長は、僕の叔母にあたる人なんだ、一応身内って事になるから、先に謝っておこうかなってね。」
「そうなんだ、知らなかったよ。」
ルイスとそんなやり取りをしていると、静かに2人の話しを聞いていたルミナが、
「レオ君、貴方は、本当にヒューマンなのですか?」
と話し掛けてきた。
「姉さん、いきなりそんな質問、失礼じゃないか!」
「でもルイス、こいつのスペック、魔属やハイエルフ並みだもん!ヒューマンなら、大賢者や勇者並みの数値なんだよ!」
「じゃあ、勇者か賢者なんじゃないのか?」
「その可能性も有るかも知れないけど………」
「いやいや、僕が勇者なんて有り得ないよ。
僕のスペックの高さは、2人の姉さん達が、小さい頃から、勉強、魔法、剣術、格闘技を教えてくれたお陰だと思ってるんだけど………あぁ、それと、何か名付けに秘密がある様な事を言ってだけど、小さい頃に聞いた話しだから、憶えてないですね。」
「名付けに秘密?」
「僕も詳しく知らないんだけど、何でも、姉さんの昔住んでた場所の呪いみたいなモノらしいけど、呪いを受けない呪いらしいんだ。」
「呪いなのか、森の民にも、その手のモノが沢山有るな。」
「レオ、ルイス着いたわよ。」
ルミナは、ノックもせずに、理事長室のドアを開けて、レオとルイスを手招きする。
ルミナに「あんたが先に入りなさい。」と言われてレオが先頭で入り、ルイス、ルミナが続いて入室すると、
「アレイシア様、連れて来ました。」
ルミナが声を掛けた相手を見てレオは目を見開いた。
そこには、ニコニコと笑う自分と同い年位の少女が居た。




