王城~定例議会にて
王城にて、定例議会の終了間際に、学術庁の大臣が、
「今年の王立中央学院に、久し振りに、飛び級入学した生徒が現れました。」
「ほう、それは、久しいな、その者はどの様な生徒なのじゃ?
ロジェール王子も、来年度の飛び級入学を予定しているらしいですが、王子ほど優秀な生徒なのか?」
宰相が、学術大臣に尋ねると、
「それが、申し上げ難いのですが、ロジェール王子と同い年の10歳の生徒で、特優学級入りしております。」
定例議会出席者全てが、驚きの声を上げる中、宰相が、
「それは、由々しき事よのう、王子と同い年で、王子よりも、優秀と言う事になりはせぬか?」
「エイドリアン(宰相の名前)よ、その程度の事で、王子が劣っている等と騒ぐでないわ。
その生徒が王子より優秀であるだけで、決して王子の能力が低い訳ではないのじゃから。
むしろ、王子の善き目標となってくれるであろう、その様に優秀な国民が居る事を誇れる事こそ、この場に居る者としては相応しいのではないか?」
静かに告げる国王の言葉に、一同は頷き宰相は、
「確かに、王の言われる通りにごさいます。
今、自分がいかに狭量か思い知らされた思いに、恥ずかしながら、先程の私の発言を取り消したい所存であります。」
「よい、人は誰しも間違いを犯すもの、儂も一時の間違いさえ無ければ、ロジェールの兄を手放さずに済んだのじゃ、間違え結構!しかし、間違いに気付いたら、すぐにそれを正さねばならん!間違いを放置しておく事こそが罪なのじゃ!」
国王の言葉に議会は、一旦静まり返ったが、宰相の、
「ありがたきお言葉に私、歓喜の極みであります。」
と言うと、拍手と国王を誉め称える言葉が議会を支配した。
「皆、静粛に、して学術大臣よ、その飛び級入学の生徒について、そちの知る限りの事を教えては貰えぬか?」
「はい、その生徒の名前は、レオ·エルディオスと言い、ここ数年で台頭してきた、分娩台を使った入院しての院内出産で有名になった、エルディオス産婦人診療所の身内の者で、入学試験の成績は、満点で学年トップでした。
しかも魔法の方は、5属性のオールラウンダーで性格も素直で非の打ち所が無いと学院の方から報告が上がっております。
正に天才と言うに相応しいかと。」
「その様な逸材が居るとは、正に天才!いや神童と呼ぶ方が相応しいかも知れぬ、一度、学院を視察に行き、そのレオ·エルディオスなる者を、この目で見たいものじゃ!」
「ならば、陛下2ヶ月後の競技会を視察なさるのがよろしいかと。」
学術大臣の言葉に、国王は、
「うむ、2ヶ月先ならば、スケジュールの調整も容易におこなえよう、大臣、楽しみにしておるぞ!」
こうして、2ヶ月後に、レオの実父の国王による視察が行なわれる事が、定例議会で決定した。




