堕天使=悪魔とドラゴン出産に立ち会う
レダ達が、猟師の家に着くと、猟師の奥さん、名前は確か、メリッサ、既に大量の脂汗をかいて、痛みに耐えていた。
「メリッサさん、大丈夫?もう安心して良いわよ。」
レダは、メリッサを落ち着かせようと、優しい声をかける。
しかしメリッサは、返事どころではなく、痛みに呼吸も乱れ、更には、既に破水しており、お産が始まろうとしていた。
「旦那さん、時間がない、大きなたらいに水汲んで来て、それから、タオルを何枚か持って来て!」
レダが叫ぶと、猟師は、言われた物を用意するために、部屋を出ていった。
カルナは、抱いて来たエルを降ろして、メリッサの肩に手を触れて、
「落ち着いて、深呼吸するのよ。」
と言った、するとカルナの手から、波の様に淡い光が流れて、メリッサの乱れた呼吸も落ち着き始めた。
「カルナ、なかなか気が利くわね!
メリッサさん、呼吸は、ヒッヒと鼻から2回吸ってフーと口から吐くのよ、やってみて!」
カルナによって、痛みが和らいだメリッサは、レダに言われた呼吸を試す、
「そう、その調子で続けて。」
猟師が、たらいと、ありったけのタオルを準備して戻って来ると、
「旦那さん、アンタ血を見るの平気?」
「ああ、大丈夫だ!」
「なら、奥さんの手を握って、励ましてあげて!」
「カルナ、たらいの水、40℃に温めて。」
「もう温まってるよ。」
「おっ、仕事早いな(笑)
じゃあ始めようか!ってメリッサさん、何でまだ、パンツ履いてるの?
パンツ貼り付いて脱がせ難いから切っていい?」
「切らないで、お気に入りなの!」
「仕方ない、じゃあ、脱がすわよ。」
「お願い。」
レダは、張り付いたパンツを何とか脱がせて、
「じゃあ、軽く、いきんでみよう……あれ?」
レダが、いきんでみようかと言いきらないうちに、赤ちゃんが出て来てしまった。
「メリッサさん、産まれたよ!赤ちゃん、元気な女の子だよ。
パンツ脱がすより簡単に産まれちゃったわね(笑)」
レダは、笑いながら、素早くへその緒を切ったりと、産後処理を済ませ、赤ちゃんを湯浴みしてキレイに拭き上げ、赤ん坊の体に軟膏の様なモノを塗ると、乾いたタオルにくるんで、メリッサの横に寝かせた。
メリッサは、産まれた我が子を慈しむ様な眼差しで見つめながら、一筋の涙を流した。
「レダさん、それに、ドラちゃん、ありがとう!
私、お母さんになったんだね!」
と言うと、レダが、おもむろに、マジックバッグから取り出したポーションをメリッサに飲ませた。
「これで産後の、体力回復する筈よ。」
「ありがとう!楽になったわ。この娘、美人に成ったら、エルちゃんのお嫁さんになれるかな?」
「エルは、この国で一番いい男になるんだから、競争激しいわよ(笑)」
「エルは、私の旦那になるんだよ。」
カルナが、言うとレダが驚いて、
「カルナも狙っているのか?」
「エッ?カルナって?」
自分が知るドラちゃんの事を、カルナと呼んだレダに驚いて、メリッサが声をあげると、
「今まで、ドラって呼んでたのは、この子のファミリーネームの略なのよ、正式にうちの養女になったから、ちゃんとした名前で呼ぶ事にしたのよ。」
とレダは、しどろもどろの苦しい言い訳をすると、メリッサが、
「そうなの、知らなかっわ、今度、友達に会ったら教えておくわね。」
「しかし、同じ日に、近所でお産が重なるなんて、珍しいわね!」
「何言ってるの!最近、毎日、何処かでお産が有って、産婆さんが、身体が持たないって言ってるわよ。」
「何でまた?」
「レダさんのせいじゃないの!
チョッと、耳貸しなさい。」
そう言ってメリッサは、旦那に聞かれないように、レダに耳打ちした。
出産ラッシュは、レダの売り出した精力剤のせいだった。
「レダさん、お産も出来るなら、もうすぐ生まれる友達に教えておくわね。
この先、少し忙しくなるかもよ(笑)」
まぁ確かに診療所であるから、病人や怪我人は、来ると思っていたが、お産は、想定外だった。
しかも現在続いてる出産ラッシュは、自分が売り出した、精力剤によって、引き起こされてしまったのだ。
更には、メリッサが、知り合いの妊婦に紹介すると言っていたので、今後、お産の手伝いが増えるだろう。
当初は、冒険者の為にと思って始めた診療所の筈が、一向に来ない冒険者。
レダは、診療所の看板を、産婦人科に書き換えようか、本気で悩み始めるのだった。




