ドラゴン名前を貰う
「ん?カルナって?」
そう言いながらドラの方を見ると、ドラの身体は、眩い光に包まれなから、ドラゴンの姿に戻っていた。
確かにドラゴンの姿に戻っているのだが、どう考えても、中型犬程の大きさだったドラの大きさが、馬並みの大きさになっている。
そして、小さい時も、真っ白の美しい身体だったのだが、今や神々しい程に輝く純白の姿、そして瞳の色が、憂いに満ちた深い紫色に変わっていた。
「カルナ、エルがくれた私の名前。
私の魂が喜びに満ちている、最高の名前を、ありがとう。」
そう言ってドラ改めカルナがエルの頭を撫でようと手を伸ばした。
レダは、咄嗟に、ドラゴンの手で人間の赤ちゃんを触ると爪なんかが危険だと思ったのだが、カルナの指先は、あまりにもドラゴンらしくない柔らかそうな質感に丸く短い爪。
その手でエルの頭を撫でるカルナを見て
「お主の指先、ドラゴンぽくないのう。」
「名前の恩恵、ドラゴンの姿でも、エルを傷付ける事はない、優しい姿になれた。」
「何でもいいが、客が来る前に人の姿に戻って欲しいのだが?」
「分かった。」
そして、人の姿に戻ったカルナは、幼女のままだった。
見た目は、元のままなのだが、雰囲気が変わっていた。
元々の美しさに加えて、気品と優しさを感じさせる完璧美幼女になっている。
が、大きくなったドラゴンの姿から、幼女の美しさに戻る事で、レダの視線が上から下へと移動して、カルナの足元に散らばるガラスのような透明の物体に気が付いた。
「んと、呼び名は、これから、カルナでよいのかな?
それで質問なのじゃが、その足元に散らばってるのは何じゃ?」
「剥がれ落ちた鱗。」
「フェザードラゴンの鱗って透明なのか?」
カルナは、足元に散らばった、鱗を拾い集めながら。
「普通は、色付きだけど、私のは、名前の恩恵で魂の格が上がったから、特別製(笑)」
「どう特別なのじゃ?」
「良い行いを積むと、神格を得る事が出来る。
だから神龍(見習い)の鱗になった。」
「ちょっと待て、神龍と言ったら、天界に居た頃の儂よりも、格上ではないか!」
「ふふん(笑)」
「お主に鼻で笑われると、何かムカつくのぅ!」
「けんかしないの。」
レダの雰囲気が変わったのを察したエルがレダの腕の中から顔を見上げて言うと、
「喧嘩などしないが、何か釈然としないのじゃ!
儂が捕獲した龍の幼体が、儂よりも格上とは……」
釈然としないまま、自分の鱗を片付けるカルナを見ながら、レダは、エルに頬ずりしていた。
その時、ドアが開き、
「ここは、診療所なんだろ、家の女房見てくれ!」
凄い勢いで、近くに住む、猟師の若い男が飛び込んで来た。
「一体どうしたんですか?」
「子供が産まれそうなんだよ、産婆のババァが、他のお産に立ち会ってるらしくてよぅ、頼めるの、アンタだけなんだ!」
「分かった、そんで、アンタの奥さんは?」
「陣痛が酷くて、動けないから、家にいる!」
「分かったわ、カルナ、マジックバッグ持って来て!」
こうして、レダ達は、慌ただしく猟師の奥さんのお産に向かう事になった。
次回、ユ·スの街のお産事情(予定)




