堕天使=悪魔とドラゴンは赤ん坊を拾う
何となく、思い付きで書いていきます。
静かな田園風景がひろがる王国の片田舎、村の南側の森の奥、キレイな水を湛える泉の畔で丸太に腰掛けにている足首まである黒いワンピースを着た美しい10歳位の女の子が、
「腹が減ったのう、白蜥蜴よ何か食い物を採ってこんか?」
そう言うと、丸太の後ろで、
「ギャウゥ」
と寝そべりながら返事をする、中型犬より少し大きな白いドラゴン、その姿は、美しい純白の鱗に被われ鈍い光沢を放っている。
しかし何より、その背中には、天使の翼にも見える純白の羽が、普通のドラゴンならば、蝙蝠の皮膜の様な翼なのだが、このドラゴンの背中には、白鳥や天使を思わせる翼があり、そのことだけでも、普通のドラゴンとは違うと言うことがわかる。
「なんじゃ、蜥蜴と呼ばれるのが嫌なのか?
貴様、儂が付ける名前をことごとく嫌がるクセに、一体、何と呼べば気に入るのじゃ?」
「ギャウゥ~」
白いドラゴンは、気だるそうに一声あげると、白い羽を羽ばたかせ空に舞い上がった。
「やれやれ、あの羽蜥蜴め、珍しいフェザードラゴンだから、捕まえてみたものの、使い魔にも従魔にもならんわ、付ける名前も気にくわんと言いながら、儂の横にずっとおる、変わった奴じゃ。」
しばらくすると、ドラゴンは、白い包みを持って舞い降りてきた。
「おお!でかしたぞ食い物を持って来たのか?」
ドラゴンが包みを大事そうに地面に置くと、少女は期待に胸を膨らませ、どんな御馳走じゃ?と空の青の様に美しい瞳を期待の色に染めて包みの中を覗きこむ。
そこには、スヤスヤと気持ち良さそうに眠る金色に近い茶髪の可愛い赤ん坊が。
途端に困った様にドラゴンを見つめて、
「お主は、これを儂に食えと言うのか?」
ドラゴンは、首を激しく横に振りながら、ギャウギャウとまくし立てて、包みを守る様に覆い被さろうとした。
「冗談じゃ、いくら儂でも人間の赤ん坊など食べたりせんわ!」
その言葉を聞いたドラゴンは、上体を起こし胸を撫で下ろした。
「しかし、何処で赤ん坊など見付けてきたのじゃ?しかも、この包んである布は、機織り蜘蛛から取れる最高級のスパイダーシルクではないか、間違いなく高貴な身分の家の子じゃな。」
「ギャウギャウギャウゥ」
「何?王都の城で、堀に流されている小舟の中にいるのを見付けたから、人目に付かない所で拾い上げてきた?」
少女は、人の言葉を喋らないドラゴンと普通にコミニュケイションをとる、それもそのはず、彼女は過去に、とある理由で堕天した元高位の天使、名前をレダと言う。
天界より追放されたレダの存在は、現在、堕天使=悪魔と言う肩書きになる。
しかしながら、彼女は、決まりごとが多く堅苦しい天界よりも、地上での自由な暮らしを満喫できると、晴れやかな気分であった、例えそれが食べ物が無くて空腹に襲われていても。
「ところで、お主は、この赤子をどうするつもりなのじゃ?」
「ギャウギャウゥ」
「儂に、この子を育てろと言うのか?」
「ギャウゥ」
ドラゴンは、頷きながら嬉しそうに叫ぶが、レダは、
「儂自身が食う物に困っているのに、赤ん坊を養う事など出来るわけがなかろうが!それに儂は未婚ゆえにこの子に飲ませる乳も出んぞ、この子の食事はどうするつもりなのじゃ?」
すると、ドラゴンは、地面に置かれた赤ん坊を包みごと抱き抱えると、自分の右手の人差し指を口に咥え、爪を剥がしそこから滲む自分の血液を赤ちゃんに飲まそうと人差し指を赤ん坊の口にあてがうと、赤ん坊は無意識にドラゴンの指を咥えて、血を吸い始めた。
「おい!コラ!そんな物飲ませて、腹でも壊したらどうするつもりじゃ?」
レダがドラゴンに叫ぶと、赤ん坊は、淡い光に包まれ、すぐにその光は消えドラゴンがギャウギャウとレダに説明する。
「何?ドラゴンの血液は、栄養価が高くて人間なら、どんな病気にも効く薬になるじゃと?
ならば、お主が赤ちゃんの食事係じゃ、仕方がないから、儂もその子を育てるのを手伝ってやるか!」
こうして、堕天使レダと名無しのドラゴンは、この赤ん坊を育てる事になったのだが、赤ん坊の髪の毛の色が紫色を帯びた銀髪に変わっている事にレダとドラゴンは気付いてなかった。
ボチボチ更新します。