眩暈と引力
街で暮らすということは
脳の表面に皺で引かれた迷路を歩くこと
入口がどこだろうが、
出口は同じみたいだ
この行き止まりをもしゴールと呼ぶのなら
世界はあまりにも狭い
辿りつかないために永遠に彷徨っているふりをしている
利口な電流を気取るのは、もう打ち止めにして
もっと電波を受け入れて、
過充電して、
スパークに伴う痛みさえ鮮烈に感じられたなら
ワンルームにてひとり、
根無し草
蜘蛛の這う関係図から遠く浮かび上がって
揺れる
ワンルームにてひとり、
難破船
義務と権利の境界にささやかな飛沫をあげて
揺れる
ワンルームにてひとり、
無頼の宇宙飛行士
眩暈に倒れてひっくり返っても、大丈夫、
天井に足がついて
立つ