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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
1.ヒーローなんてしたくねぇ
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1-7


「ビーッ、ビーッ!」とアラームの音が、ミツルの腕時計から聞こえた。


「……出番だぞ、ふたりとも」


時計の表示を目で追って、ミツルの表情がきびしくなる。



「湾岸エリアC地区ふ頭。『ミュータント』……1体だ。狙いは船の積荷らしい。窃盗団を連れている」


「『ミュータント』か。仕方ねえな……」


おれはやれやれといった風に、千夜チヨに向かって目配せをした。


「千夜、いいな? 『変身』だ!」


「はい『変身』。5ポイントね」


千夜が目を閉じそっと祈ると、

おれの体が白く輝き、


「ガシャーン! ガシャーン!」(←効果音)


あっという間に「戦闘スーツ」が全身くまなく装着される。



メカニカルかつ重厚な、

ホワイトボディ、シープマン!!!


変身シーンのお決まりで、「ブシューッ!」っと辺りに白い蒸気が煙幕のように立ちこめる。


「げほげほげほ……羊一ヨーイチさま、お部屋の中ではくるしいですわ……」


「わりぃなベル、仕様なんだ。おい、千夜! 次は『ビークル』だ!」


「はい、『ビークル』、10ポイント。表に駐めておいたわよ」



——「1000」から「995」、いまので「985」。



千夜がカウントするたびに、

おれのスーツの胸部モニターに示された「数」が減っていく。


この数値こそ「シーポイント」。


毎月初めに1000ポイントずつ回復するこの点数が、

超カッコいいスーパーヒーロー「シープーマン」のパワーの源だ。

(月末はかなりキツくなるから、くれぐれも無駄遣いは厳禁)


「よっしゃあ、準備完了だ! ……で、おたくはどうすんの? サイボーグ・ポリスのお嬢ちゃん♪」


飛鳥アスカは涼しい顔のまま、おれの煽りを軽くいなした。


「わたしか? わたしはもう済んでいる」


つかつかと窓際に歩み寄り、

ガラッと窓を全開にして、

突然バックパックを開き、

「シュババババッ!」っと勢いつけて、

ジェット噴射で飛び去った。


「え……? おい。ちょっとまてよ……」


あっけにとられるおれの隣で、桜千夜が憎いことを言った。


「『ビークル』、はやく乗ってかないと、駐禁とられちゃうんじゃないの?」


——でも、ほんとによかったかしら。


出すのはシープマン「カー」じゃなくて。


……うるせえ、知ってて言うんじゃねえよ。



おれは「原付」しか乗れねぇの!





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