第九話 剣道場
工場をでて剣道場へ向かう二人
暫く歩いていると時代劇などで見るような武家屋敷風の壁が見えてきた
剣道場といっても道場の建物が1つあるだけという一般的なものではなく
四方を武家屋敷風の壁で覆われた広い敷地の中に
入口に近い方から
近所の子供たち向けの道場と一般向けの道場が横に2つ並び
低い生垣をはさんだ一つ奥には企業研修用の道場と宿舎のセットが2つ並び
今度は人よりも高い生垣の先には、要人警護などの仕事につく者や
この森以外にもある異世界と繋がり易い場所へ派遣され魔物などと戦う任につく者たち専用の道場があり
その奥に主である老士の屋敷がある
武家屋敷風の壁が見えてから暫く歩いてやっと門までたどり着き門を抜けた所にある受付で要件を伝える
案内役の人が出てきて先導してくれる、ケンの兄であった
「久しぶりです、お兄さん、こちらマオさんです」
「久しぶりユウ、マオさんよろしく」
「うむ、よろしくの」
「ケンは来てないんだね」
「はい、休養したいとか、あとシノさんと宿題するとかも」
「うらやましいなケンが、跡継ぎと決められた俺と違って自由気ままで」
「まあケンも苦労してるみたいですけど・・・出来過ぎた兄と比べられたりとかで・・・」
「それぐらいでやっと釣り合いがとれるのかもな・・・」
と言ったあと先導を続ける
門から一本の石畳が奥まで続き、それを中央に左右対称で道場が並ぶ、高い生垣の前にまた門があり
その手前の詰め所に立つ門番にケンの兄が用向きを伝えると門番が門を開けてくれた
再びケンの兄に続き石畳を進み左右対称に配置された道場を抜けやっと屋敷に着き部屋まで案内される
部屋には一人の老人が座っていた
「お久しぶりです老士様、異世界からの協力者を連れて参りました、マオさんです」
とマオを紹介する
「マオさん此方は老士様、昔に異世界から来た三人の内の剣士だった方」
「久しぶりじゃのユウそしてマオさんようこそ
それにしても、あ奴もビックリしておったろ此処まで似ていると」
「はいビックリしてましたエミリアとか名前言ってましたね」
「その時の顔みたかったぞ で、ケンは来ないのじゃな」
「はい、休養が必要だとかで」
「仕方がない奴じゃユウよ久々に手合わせしてみんか?」
「そうですね魔王侵攻を阻止するための闘いに参加するわけですしね」
と答えるユウにたいしてマオが問う
「ユウよその華奢な身体で戦えるのか?」
「うんなんとかね」
とユウが答える
老士様が襖を開けて言う
「ではユウよ此方に」
「はい」
とユウが老士様の後に続き、板張りの部屋に出る
老士様が筒に刺されていた竹刀を二つ取り一つをユウに渡す
部屋の中央で竹刀を構え合い互いに距離をとる
「いくぞユウ」
と老士様が竹刀を振り上げユウに迫る
振り上げた竹刀を右上から左下に勢いよく振り下ろすが
ユウは身体を少しズラスだけで避ける
逃がすまいと老士様は竹刀を返して左から右へと横に斬るが
ユウがまた後ろに少し下がるだけで避ける
老士様は竹刀を引くと勢いよく前に飛び喉元を突きにかかる
ユウはまた半身で避けざまに上から竹刀を叩く
下がる老士様に対してユウは先程老士様が見せた三段攻めをそのまま返して見せた
その攻めを全て避け切った老士様が竹刀を収めて言う
「ケンに及ばないとしても中々やりおるな、これで特に修行などしておらぬというのは勿体無いな」
「修行はしてないですね、剣を振るより物作りをしているのが好きなので」
「やはり、あ奴の血を濃く引いておるのじゃな」
と老士様
呆気に捕らわれていたマオがやっと口を開いて
「ユウよ見違えたぞ、あれだけ動けるとは、そして血を濃く引いておるとは?」
と質問する
「初代様の特技はどんな事でも見た事は覚えて真似をすることができるという事なんだ
技でも魔法でも剣捌きでもね、その特技が僕にも受け継がれてるみたいなんだ
ただあくまでも真似ができるだけで本物には及ばないけどね」
とユウが答える
「あとは目じゃな、視力とかではなく攻撃などの動きをしっかり見て予測することで
無駄のない動きで避けたりできるのであろうな」
と老士様
「ありがとうございます、でもこれではマオさんの挨拶というより僕の試験みたいですね」
とユウ
「そうじゃのミオさんに頼まれたのでな」
と老士様
「母さんらしいや・・・ということは巫女様もそうなんだろうな・・・・」
とのユウの問いに
「そうじゃろうな」
と老士様が答える
一通り話を終えユウが言う
「老士様お邪魔しました次の場所へ向かいますので失礼します」
「おう、またおいでケンにもたまには顔を出すように伝えてほしい」
と老士様
再びケンの兄の先導で剣道場の門へ向かう
門の下で別れ際にケンの兄が言う
「ケンに余り無理はしないように伝えてくれ」
「はい」
とユウが答える
「じゃマオさん次に行こう」
とマオの手を取る