第五話 お風呂って何?
「さあさ皆、お風呂の準備ができてるから温かいうちに入りなさい、マオさんは食事まだみたいじゃからその間に作っておくからあがったらお食べなさい」
と初代様が言う。
「食事は有り難い、して風呂とはなんじゃ?」
とマオが答える。
「言葉で伝えるより実際にいってみた方が早いわマオちゃん一緒に入るわよ、シノちゃんもね」
とミオが言う。
「うむ」 「うん……」
とマオとシノが答える。
寮の一階には食堂と男女別の風呂と、トイレと洗濯室そして自習室がある。それぞれの着替えを用意して、女子風呂の脱衣所に入った三人。
「ほう、服を脱ぐのか? なんじゃその薄っぺらい布は?」
とマオが下着をみて珍しそうにしていた。
「マオちゃんハシャイでないで貴女も服を脱ぐの」
とミオが言いながらマオの服を脱がしていく。
「脱いだら次はこっちよ」
マオの手を引いて浴室に連れて行くミオ、その後にタオルで体を隠しながらシノが続く。風呂には五人分の蛇口とシャワーと鏡が備え付けらていた。
「マオちゃんここに座って体を洗うのよ」
とマオにシャワーのお湯をかける。
「うぉ魔力を感じないのに温かいお湯がこんな勢いよく噴き出すとは」
とマオ。
「これも科学というか技術というかそういうものね」
とミオが答える。
「科学技術とかいうの凄いな、灯りもそうだしお湯とかも」
「ほらマオちゃん、今日は洗ってあげるけど次からは自分で洗うのよ、シノちゃんみたいにね」
そのシノはミミを抱き上げて
「ミミちゃんは私が洗ってあげる」
と洗い出した。
ミミを洗い終わり自分の髪も体も洗い終わったシノは、長い黒髪を湯船につけないようにタオルで巻いていた。その様子を見ていたマオ
「髪が長いと大変じゃの髪を短くされてよかったかもしれんな」
と呟いた。湯船につかる三人
「お湯につかるのがこんなに気持ち良いと初めて知ったわ」
とマオ
姿を魔族に変えられていた間は、魔族そのもの代謝で、蛇のような皮に内部から分泌液が出て粘膜が体中を覆い、汚れた部分があれば粘膜ごと拭き取れば汚れが取れ、分泌液により粘膜が覆うという感じであったので水浴びさえ無縁であった。浴槽を出て体を軽くふき脱衣所で拭きなおし着替えに入る。
「マオちゃん今日は私のお古で我慢してね」
とミオ
「うむ、こういうの着慣れぬな……」
苦闘しながら下着を着るマオ、着てみた感想としては全体的に緩い……ただ隣のシノの下着姿をみたマオは、全体的にキツイよりはマシと思った。この姿になって間もなく知識もなく無頓着なマオなら、普段は声に出して言うところだが、どういうわけか危険予知的な作用か声には出さなかった……
風呂を出た三人
「この後は食事じゃな、どんなものが食べられるか楽しみじゃ」
灯りや風呂など想像以上だったから、食事にたいても期待が膨らむ。ミオに連れられ食堂に入るマオ
「お風呂どうだったかね? もうすぐ出来るからの。取り敢えず向こうでも食べなれた物にしてみたよ」
と初代様が言う。席に着き暫く待つと、初代様がベーコンとチーズをのせた食パンとスープを持ってきた
「パンじゃな確かに食べなれとるが味はどうかの?」
と食べ始めるマオ
「パンが柔らかいの~チーズもベーコンもこんなに薄いのに、味がしっかりしておるスープも美味しいな」
あっという間に一枚食べてしまうが
「はいもう一枚」
と出してくれた。食べ終わったマオは満足したのか安心したのか眠ってしまう
「仕方がないわね」
とミオがマオを抱いて部屋に運んでいく。