第十八話 初代様の話 1
朝食後に食器類を片付けた後に初代様の話を聞くために残った皆
初代様はテーブルの上に茶菓子と急須に入れたお茶、ポテトなどのスナックやペットボトル飲料を並べ
「では始めるかの、食べながらゆっくり聞いておくれ」
と話し始める
先ずは時系列的に行くとしよう関ヶ原の戦いの後に江戸の時代になって暫くした頃の話
戦乱の中で神社や剣道場では本来の役割である異界と繋がりやすい場所に結界を張り
維持管理して守護する役割と並行して、孤児を保護しては剣術や忍術や術などを習得させた上で
戦場に傭兵として派遣していた
平和になりその傭兵が行き場をなくしこの街に帰ってくるが既に許容範囲を超えていた
土地を耕し農業へと移ろうにも使える土地は周りの地主に抑えられ開墾する土地もなく
増える人口の対処法に困っていた
その時に一人の女性と2人の少女が現れこう予言したそうだ
「三日後に千年に一度に起こるぐらいに強い時空の歪みが発生し異界への門が森の中央で開くでしょう
門の先は魔物が溢れ危険な場所ですが魔物を倒し切れば手付かずの肥沃な大地が手に入るでしょう
街をおこせば現地の協力者が現れるので交渉事は彼に任せるとよいでしょう
あと、何世代か後に此方に戻って来ることが有るならばその時は力をお貸しください」
他に打つ手のない人々は藁にも縋る思いで予言を信じ森の中央に集まった
予言の通り門が現れ人々は異界へと旅立っていった
確かに魔物が溢れていたが戦乱の世で鍛え上げられた猛者達には容易い相手だった
魔物を一掃し街をおこすと予言通りに風変りな男が現れた
自称魔法使いで商人でもあるという、門番と交渉しようとしたが言葉が通じす止む無く翻訳魔法を使った
門番を通じ街の長に会った男は
街を国に認めて貰うために国に一定額の金銭を毎年納めること
金銭はこの街が他の街と貿易することにより得られること
この世界はまだ魔物が溢れ争いが絶えない為に傭兵の職もあるということ
などの条件と情報をもたらした
国との交渉事などの関係上その男がこの街の領主になり人々に翻訳魔法をかけていった
この男は好奇心旺盛な新しいもの好きで、この街に来た目的も国の兵達が手を焼いていた
魔物を一掃した異国風の人々に興味があり貿易することで新しいものが真っ先に見られるという
単純な理由だった
その性格故に珍しい物や新しい技術などを積極的に取り入れ異界から来た者がいると聞けば
遠くの街からでも招待し知恵や技術を吸収していき
江戸の人々の生活文化と合わさり一風変わった街になっていった
その街が巫女様ことミコ、老子様ことローシ、初代様ことショーディの三人の故郷だ
ローシは剣術、ミコは忍術や術を古くから受け継ぐ一族の家系
ショーディは風変りな剣術と術を使う手練れが多くいる街という噂を聞いた父親が若い頃に
腕試しに来てこの街に住み着き結婚し生まれた新参者である
ショーディは幼い頃から才に恵まれ剣術や術を育成する道場に通うが数年で師範レベルまでに達し
街の中で開かれるそれぞれの大会でも向かうところ敵なしとなり新たな刺激を求め
冒険者ギルドに登録し街の外へ出て様々な冒険に旅立っては
無事に依頼を解決して街に戻るを繰り返していた
その旅の仲間がミコとローシと街の領主の娘であり魔法使いとしてギルドに登録していた
エミリアであった
世界の6割を魔族側に占有され、人間側の各地で魔物が暴れ回っていたとしても
この街は平和であった、魔族側から遠く争いの音も聞こえず魔物が沸いても直ぐ討伐されるから
冒険を繰り返す中ショーディとエミリアとの仲は親密になり平和な街の中で共に暮らすようになり
エミリアは身籠っていた
その折だった、街の領主が魔族との砦に接する各地に派遣していた冒険者達により
魔王が巨大な塔を建て周辺の魔力を集め何か大きなことを始めようとしているという情報が入ったのは