第十六話 写真
手を繋いだ二人が寮に帰り着いたのは１３時を過ぎていた
「お帰りなさ～い」
と待ち構えていたようにミオがユウに抱きつく
「ただいま・・・ま～た抱きつく～」
と嫌がるユウ
「お帰りマオちゃん昼飯たべるじゃろ？」
と初代様が食堂から顔を出す
「食事？食べる食べる」
とマオが食堂へ駆けていく
その様子を見てユウとミオは顔を見合わせ笑いあって後へついて行く
マオとユウが並んで席に着くと初代様とミオが丼ぶりを乗せたお盆を一つづつ持ってきて
マオとユウの前に置いて初代様はマオの前にミオはユウの空いてる方の隣に座った
二人とケンとシノは既に昼食は済ましたようだ
「今日はなんじゃろうな～？」
とマオが丼ぶりの蓋をあける、牛丼だった
「美味そうじゃの～それに良い匂いじゃ」
とマオが箸を手に取り食べ始めたのでユウも後を追い食べ始める
「あれ？マオちゃん、お箸使うの上手くなってるわね」
とミオがユウ越しにマオを見て言う
「あれ本当だね、朝食の時は箸を一つにまとめて握ってたのにね」
とユウが言う
「そうじゃの、神社で少し記憶が戻ってきたからじゃろうな～
箸を使った記憶はまだ戻ってないが体が覚えていたんじゃろ」
とマオが答える
「マオさんの世界でも箸を使うんだね？」
とユウが言うと
「私の知る限り箸を使うのは一つの街だけだったな」
と初代様が答えた
「そうするとマオさんはその街出身ってことかな？」
とユウ
「そうであろうな・・・」
と初代様が答え、小さな声で囁いた
「エミリア・・・」
「あ、そうだ！ 初代様、巫女様からマオさんの未来の写真を見せたら喜ぶだろうし
昔の話をしてもらえるかも？って言われたんですけど？」
とユウが聞く
「写真？」
「はい、マオさん写真を初代様に見せてあげて」
「うむ」
とマオが写真を渡す
「これが未来のマオちゃん？」
「うむ、未来からの儂からの手紙と同封されておったのでな」
「ここまで瓜二つなら間違いようがない！ マオちゃん君はエミリアの子孫なんじゃ」
と初代様が興奮した様子で言う
「エミリアさん？ 知り合いとは聞きましたが誰なんです？」
とユウが聞く
「エミリアは私がこの世界に転移させられる前に結婚していた相手なんじゃ
もう少しで子供が生まれるという時期に魔王に不穏な動きがあると聞いて乗り込んだら
この世界に飛ばされたという事じゃよ」
と初代様が答え一息深呼吸して続ける
「すまん少し興奮してしまったようじゃ詳しい話は明日ケン君とシノちゃんも入れて聞いてもらいたい
あと、マオちゃんこの写真を焼き増しさせてもらって良いじゃろうか？」
と問われたのでマオは頷いた
「ありがとう、ミオさん食事後にマオさんと出かけるときに頼めるかの？」
と初代様はミオに写真を渡す
「はい、じゃマオちゃん食事終わったら私と二人でショッピングモール行こうね」
「うむ」
ミオはマオの答えを聞くとユウの元に瞬間的に移動しユウの肩を抱きながら話す
「今日はお疲れ様、買い物終わったら荷物おろしなど手伝ってもらうからそれまで
ゆっくり休んでてね、あとマオちゃんを負ぶった時どうだった？」
「へ？なんで知ってるの？まるで見てたように・・・」
「だってこれ」
とミオがユウの頭をかざすと形代のようなものが姿を現した
「こんなのがついてたんだ道理で・・・」
とユウは肩を落とすがマオを負ぶった時を思い出して赤くなっていた
