第十五話 保護所
巫女様への挨拶を終え、迎えとして呼ばれたシノの姉について訓練所を後にし
参道を進み正門にたどり着きシノの姉にも挨拶を終え神社を後にするマオとユウ
「つぎに行くのが周辺案内の最後の目的地だよ」
とマオの手を引き歩きながらユウが言う
「やっとじゃな・・・」
と半ばウンザリした口調で言うマオだった
暫く歩くと建物が見えてきた、寮より大きな建物が3棟並んでいる
二人は歩きながら話し始める
「ここが保護所だよ」
とユウが言うと
「たしか・・・異世界から迷い込んだ者を保護するんじゃったな」
とマオが答える
「うん、異世界からの人が保護されるのは年に数回なんだけど子供だけでなく大人も保護するので
子供用・成人男性・成人女性とそれぞれの建物に分けられているんだ」
「保護したらどうしてるのじゃ?」
「まず結界管理署で診察や検査した後で警察に、この世界の記憶がないから記憶を失った身元不明人
として届けてるけど異世界出身なので見つかるわけがないから保護所に無戸籍者として引き取り
家庭裁判所で就籍許可申立てして戸籍を得る手続きをしているみたいね」
とユウが答えるが
「なにやら難しい言葉が並ぶが面倒なことしておるのは分かった」
とマオ
「子供はこの保護所から学校へ大人は剣技や術と魔法などの才能や適性があれば
剣道場や神社で修行という道もあるけど殆どはお父さんの工場関連の仕事に就くことが多いね」
とユウが続ける
「異世界からだと会話とかどうしてるのじゃ?」
とマオが問う
「マオさんもそうだと思うけど日常的な読み書きが出来るような魔法をかけてるんだ
最初はその魔法を使えるのは初代様だけだったけど魔法を使える異世界出身者が増えたから
この世界についてすぐにコミュニケーションできるようになってるね」
とユウが答えさらに続ける
「実はね僕のお母さんもここの出身なんだ」
「ミオも異世界出身なのか?」
「違うんだけど幼い頃に気が付いたらこの建物の前に立っていたんだって」
「それで保護されたのじゃな」
「うん、でもそこからが凄いんだ初代様達に直談判したんだ結界管理の仕事をさせて欲しいって」
「何も分からぬのにいきなりできる仕事じゃなかろうに・・・」
「だから試験してみたら剣術も術も魔法でさえも習熟していたので即採用になったんだって」
「幼い頃から凄かったのじゃな・・・」
「うん・・・」
建物に近づくにつれ子供用の寮の前にある広場で遊ぶ子供達が見えてきた
「賑やかじゃの、でもこの小さな幼子達が親と別れ一人異世界とは可哀想じゃの・・・」
とマオが言うが自分も記憶を封印されてるが似たような境遇なのを思いつき胸が痛むのを感じた
「ユウよここは寄らないのか?」
「うん、とりあえず場所さえ知ってもらえば良いかな?
寮に着いたら食事してその後でマオさんはお母さんと買い物だったよね」
「そうじゃの、ショッピングモールとやらに行くのが楽しみじゃ」
「だね、じゃ寮に帰ろう」
とマオの手をとり歩き出すユウ