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一日一善 今日は何をする?  作者: 99
森の狩人
1/11

1日目 周りのゴミ拾い

はじめてのしょうせつ。はじめてのとうこう。

とにかく何か書いてみて、一歩進もうと思い始めました。

『一日一善、なせば相応の(スキル)を与えよう。』

 ふと、かすかに音がした。目を開け、周りを確認する。今いる場所は古びた礼拝堂、場所も昨日横たわった毛皮の敷物の上で、周りに音を発するような物はなく、見渡してもボロボロの壁と扉の無い出入り口と窓があるだけだ。しかし、シン、と静まり返っているわけでもない。むしろ、耳を澄ませば木々が風でざわめく音が微かに聞こえてくる。森の中では自然そのままで雨宿りできる場所は限られている。この森では大きな樹の下・樹洞・洞窟・廃屋である。寝るためだけに利用している場所ではあるが、この礼拝堂のしっとりとした雰囲気が気に入り、よく選ばれる場所だ。寝て起きたときの体の調子も、他の場所より良い気がするのも理由である。

「なるほど、一日一膳か。」

 声が聞こえたような気がしたのはこれが初めてではない。しかし、しっかり聞き取れたのは初めてだ。初めてここに来た頃は気づかなかったが、毎日朝日が昇る頃に寝ているとかすかに聞こえるこの声は、礼拝堂の中の特定の場所から発せられているようである。毎日ちょっとずつ寝る場所を変え始め、今日寝た場所が丁度よい所だったようだ。

(一日一善ってことは、恩を売る相手が必要ってことだよな。)

 身を起こして、伸びをする。勝手を知る場所で飲み食いに困らないとはいえ森の中。時々迷い込む人もいるが、それは年を通して一人いるかどうかの稀さだ。それで一日一膳の達成は難しいだろう。

(・・・例えば道づくりか?でも、この場所はお気に入りだし、他の人を呼ぶ気もない。知られずにそのままにしときたい。)

 もう一度周りを見渡す。ボロボロの壁と扉の無い出入り口と窓があるだけだ。

 今日の予定は決まった。





 腹ごなしして取りかかったのは、掃除である。壁を直すにも扉を付けるにも知識も材料も何もかもが足りない。何かを壊すのは得意だが、作るのは苦手だ。


「この汚れは落とせないな。ゴミ拾いだけするか。」

 何度も入り浸った場所ではあるが、よくよく見れば色々と落ちているものである。もちろんめぼしい物はないが葉っぱやら、石やらいろいろな物が落ちている。箒もないため、とてもではないが塵一つない状態にはできない。雑ではあるが、昼になるまで拾い続けた。


「どうせ窓ふさがないと色々入ってくるしな」

 ふと、集中が途切れ、そうぼやいて顔を上げる。さっき葉っぱを拾った場所へ葉っぱが風に乗って入ってきていた。

 ・・・今日はここまでにしてやろう。





 ―――――――――――――――――


一日一膳(デイリークエスト)


 行為:掃除(塵拾い)

 対象:礼拝堂


 獲得スキル

 採取能力Lv1

 観察能力Lv1


 ―――――――――――――――――


マイペースな狩人は一日一膳を知る。


今まで見てきたが認識していなかったことに目を向けます。


まずは、手の届く範囲から。

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