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魔珠  作者: 千月志保
第8章 魔結晶
71/134

器(1)

 不気味な笑みを浮かべたまま、レヴィリンはドアノブに手をかけた。

「では、話の核心に入るとするかね」

 また別の部屋に案内されるらしい。スイは黙ってレヴィリンの後をついていった。ここが研究所のどの辺りに位置する場所なのかは分からないが、取りあえずできるだけ多くの視覚情報を取り入れて、見たものの位置関係だけでも記憶する。レヴィリンが横から話しかけてくる。

「魔珠は魔法水に溶かしてエネルギーを抽出する。ところで、魔法水とはそもそもどういうものだね?」

「魔力を水に溶かしたもの、と記憶していますが。薬の調合などに使う市販品は、魔力が安定した状態で、魔術師でなくてもちょっと魔力を注げば、簡単に調合できるようになっています。魔法水は、魔術師が一般の人では集められない量のエネルギーを集めて魔力にしたものを水に溶かしたものだと、そう教わったと思います」

「そのとおりだ。それにしても」

 レヴィリンは続けた。

「不思議だと思わないかね? 魔珠のエネルギーを水に溶かしたもので魔珠を溶かす。水では魔珠は溶けない。つまり結局のところ魔珠は魔力で溶かしているとは考えられないかね?」

 確かにそうだ。魔珠は魔法水に溶かして使うものだということが常識過ぎて、それ以上深く考えることがない。魔法水という溶媒に目をつけたからこそレヴィリンはその濃度を調整するという発想に至った。

「魔珠からのエネルギー抽出量を決定する魔法水の濃度というのは、水が蓄積している魔力の量のことだ。水に溶ける魔力の量には限界がある。では、いかにしてエネルギー抽出量を増やすか。水よりも魔力を蓄積できる〈器〉を使えば良い」

「〈器〉、ですか?」

 そのとき、ちょうどある部屋の扉の前で止まった。レヴィリンが扉を開ける。ロックはされていないらしい。このエリア自体がおそらく先ほどのようなワープ装置など特殊な手段でしか入れないエリアになっているためだろうか。このエリアに入ることができる人物も限られていて、このエリアで行っている研究はその人物の間では共有されているのだろう。

 広い部屋だった。魔術師たちが四、五人ずつのグループに分かれて、魔法陣を囲んで作業したり何か議論したりしている。共同実験室といったところだろうか。

「そう。魔力を多く蓄積できる可能性のあるもの。何だと思う?」

 どのような条件のものであれば、魔力を蓄積しやすいのか。液体よりも固体の方がいいのだろうか。有機物よりも鉱物の方がいいのだろうか。そんなこと考えたこともなかったし、聞いたこともない。レヴィリン自身も実験して検証したのではないのか。

 考えていると、レヴィリンが横でにやりと笑った。

「人間だよ、スイ君」

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