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魔珠  作者: 千月志保
第6章 疑惑
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追跡(1)

「分かった。みんなに伝えておくよ」

「アリサさんには尾行がついている。一人だけで研究所の人間だ。今のところ外出先をチェックしているだけらしい」

「なるほど」

 キリトはあごに手を添え、少し考えた。

「スイ、お前が尾行だったらどうする?」

「そうだな。アリサさんか子どもたち、三人のうちいちばん簡単に捕まえられそうな人を一人だけ拉致してハウルさんの口封じに利用するだろうな。ハウルさんの身代わりに監禁して、ハウルさんには普段どおり出勤してもらう。家族を人質に取られているので、兵器のことは口外できない」

「お前は根っからの悪人だな」

 即答したスイにキリトは苦笑する。

「やるならクラウス邸に入ってしまう前だな。クラウス邸に入ってしまうと手が出せなくなる。ただ一人で実行するなら、相当手際よくやらないといけない」

「お前にできても、そいつにはできる可能性は低そうだな」

 研究所の人間ということは魔術師だからいろいろ方法はあるだろうが、真っ昼間の街中なので、そうそう時間はかけられない。魔術を使ってその隙に、では時間がかかりすぎる。

「子連れだから馬車を使うだろうな」

「だとしたら、馬車から降りた瞬間が勝負かな」

 スイはうなずいた。

「念のため、いつでも飛び出していけるように門の後ろで待っていてくれ。私は向かいの建物の影にでも身を潜めていよう」

「了解。それで行こう。しばらくここで休んでいてくれ。俺は父上にアリサが来ること伝えてくるよ」

 キリトは部屋を出ていった。


 打ち合わせたとおり、スイはクラウス邸の斜め向かいの建物の影に身を潜めていたこういうことには慣れているので、さほど息を殺さなくても気配を消せる。

 すうっと人影が交差する狭い路地を駆け抜けていく。先ほどの尾行だ。やはり距離を多めに取って尾行している。そして、どこにアリサが向かっているのかある程度予測して先回りして動いている。素人にしては上出来だ。平行して二本先の通りから馬車が姿を現す。

 馬車がクラウス邸の前に止まる。尾行が動き出す気配はない。建物の壁にもたれかかっって休んでいるような振りをして横目でじっと様子を見ている。キリトが馬車に駆け寄り、馬車に向かって両手を出すと、うれしそうに甥のセシルが腕に飛び込んできた。

「よく来たな、セシル」

 頭を撫でながら、嬉しそうにキリトが迎えていた。セシルを降ろして、すぐに両手を広げ、妹のマノンを抱きかかえようとすると、むっとして右手を出してきた。

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