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魔珠  作者: 千月志保
第4章 マーラル魔術研究所
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再会(1)

 忍びの者が言っていた独房の南側の窓をのぞいてみた。中は自然光の他にもろうそくが所々設置されているらしく、視界の確保はできそうだった。しんと静まり返っている。スイはさらに北東に向かい、階段を探した。鍵穴を見つけ、スイは針金を一本取り出す。ここまで来たら物音を立てられないので、心の中でため息をつく。

 鍵を針金で開ける方法もセイラムから教えてもらった。魔珠担当官は必要なことは一人で何でもしなければならないからと様々な知識と技術を叩き込まれた。教わったときにはそんなもの使うことがあるのかと思ったものだが、いざ担当官になってみると、どれも実際に役に立つものばかりだった。鍵は開けるのが苦手というわけではないのだが、こういった細かい作業はあまり好きではない。

 かちゃりと静かな音を立て、鍵が開く。鉄格子を開ければ、きしむ音がして看守も気づくはずだ。スイは一瞬で心の準備をして鉄格子を開く。看守が様子を見に来るタイミングをうかがって階段を駆け下り、鉢合わせた看守の脇腹に拳をめり込ませる。看守は小さくうなって倒れたまま意識を失った。スイは腰に下げてあった鍵の束を手にして通路を走った。途中で右手に一本北側に延びている道があるのを確認して独房の方に向かう。

 ほとんどの部屋が空だった。あまり長期間拘留される人はいないのだろう。

「スイ?」

 いちばん奥の独房にメノウはいた。疲れているようではあったが、幸い拷問などは受けてはいないようで、外傷はなかった。

「逃げるぞ。黙って私についてくるんだ」

 一瞬で鍵を探し当て、そのまま独房の扉を開ける。スイは下りてきた階段を目指した。メノウも後を追う。

 つい先ほど確認した北に延びる道のT字路の手前でかすかに足音と話し声が聞こえた。

 誰か来る。

 引き返してもどこかで挟み撃ちにされる。

「突っ切るぞ」

 走る速度を上げて前に進む。背後からも走ってくる音が聞こえてくるが、構わず走る。だが、数歩進むと、スイが急に小さな呻き声とともに胸を押さえて膝をついた。はっとしてメノウが立ち止まる。

「逃げ……ろ」

 息も絶え絶えに指示するスイにうなずいて走り出そうとしたが、一足遅かった。進もうとした方向に透明の壁が現れ、その向こうに行けなくなったのだ。

 壁からは強い魔力を感じるが、とにかくやってみるしかない。メノウは壁に右手を置き、神経を集中させた。右手に集めた魔力が充分であれば、壁は消滅してくれるはずなのだが。

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