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魔珠  作者: 千月志保
第3章 傷痕
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交差する光

 驚きが少し顔に出たと思った。だが、スイは構わず続けた。

「あと今日は一日部屋で休ませて欲しい。そうだな。風邪で熱が出たことにでもしておいてくれ」

 マーラルで何かあったのだろうとシェリスは察した。だが、そのことはクレアにもシェリスにも話したくないのだろう。

「かしこまりました。またご様子を見にうかがいます」


「シェリスさんのおっしゃるとおり、マーラルで何かあったのは間違いなさそうですね」

 脳の片隅で無数の可能性を追いながら、キリトはシェリスに感想を述べた。ひとしきり話し終えたシェリスはほっとしたように一度ため息をついたが、すぐに背筋を伸ばした。

「キリト様。お願いがあります」

 切り出すと、キリトは先回りした。

「そうですね。私になら話してくれるかもしれませんね。案内してください」

「ありがとうございます」

 シェリスは深々と頭を下げ、扉を開いた。


 案内されたのは、二階の部屋だった。眠っているかもしれないと思ったのだろう。シェリスは何も言わずにそっと扉を開けた。

「キリ……」

 突然のキリトの訪問に驚いたスイの声は呻き声に変わった。昨夜と同じ右胸を押さえて苦痛で顔を歪めている。

「スイ? スイ!」

 キリトは胸までかけられていたブランケットを乱暴にスイの左手ごとはねのけた。

「これは」

 スイの胸部に刃物で切り裂いたような線状の切り傷が青白く光っている。全部で七本。魔力を感じる。無造作に描かれた線は所々で交差している。それがいちばん集中している場所がスイが昨夜から押さえていた右胸だった。

「シェリスさん、青バラの花びらとユキヒイラギの実はありますか?」

「すぐにお持ちします」

 シェリスはてきぱきとしたキリトの指示を聞いて急いで部屋から出ていった。

 扉が閉まった途端、スイの呻き声が絶叫に変わった。我慢していたのが耐えられなくなったのだろう。

「スイ、大丈夫だよ。もうすぐ薬作るから」

 キリトが右手を握りながら言い聞かす。

 詳しい原因は分からないが、呪術の類いであることに間違いはない。取りあえず魔力を弱めて呪術の効果を和らげる薬を調合してみることにする。

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