勇者の誤解を
「ナギ様、本当に申し訳ありません…」
ヘラが本当に消え入りそうな声で言った。
「魔法適性検査に立ち会っていただこうと思い、町役場に勇者様のことを報告したところ、王都まで勇者様の存在が伝わってしまったようです…
恐らく、数日中に王宮から迎えのものが来るかと思います。私が早とちりしてしまったばかりに…本当に申し訳ありません。」
魔力を持たず、魔法適性がなく、剣術もろくに扱えない僕のことを、ようやく勇者ではないと認めてくれた様子だった。
しかし、そんなことは関係なく、僕は王都へ連行され、軍部に勇者の力とやらを差し出さなければいけなくなったらしい。
王都では、勇者の話題で持ちきりらしい。
これで国民は救われる…と。
「ヘラさんのせいじゃないです。ヘラさんと初めて話したとき、僕がしっかり勇者ではないと言わなかったのが悪いんです。」
「でも…」
「気にしないでください。王都までいってみて、使い物にならないってバレて追い出されたら、その時はまた帰ってきますので。」
「いえ、私も王都へご一緒させてください。私が招いてしまったことです。王宮まで行って、私が責任をもって事情を説明させていただきます。」
「いや、悪いですよ。ヘラさんにも生活があるじゃないですか。」
「いいえ、決めました。私、絶対ついていきますから。道中で魔法の練習や、この世界の勉強をしましょう。そうと決まれば、準備です。荷造りをしてきますので失礼します!」
ヘラはすごい勢いで部屋を出ていった。完全に押しきられてしまった。いやありがたいんだけども。
とりあえず、僕はヘラと王都へいくことが決定したようだ。町を出るとなると、魔王が率いる魔物の軍の他に、野生の魔物や魔獣に襲われる危険があるそうだ。しかも王都の軍へ行くんだから、少し位は自衛できる手段を持っておかないといけない。
魔法が使えないとなると、あとは…
僕はルルに頼んで、剣術の教師を紹介してもらうことにした。