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エピローグ
魔王が死んで、魔族の軍は滅んだ。
僕とヘラは結婚して、ヘイラムで何不自由ない幸せな日々を過ごした。
アマルガのみんなも喜んでくれて、銅像まで建ててもらった。
何年経っても僕は銅像と同じ姿のままだったし、
老いていくヘラのことを、僕はずっと愛していた。
人々が戦争のことを忘れ、王が変わった頃、僕とヘラは首を切られ、ひっそりと森へと捨てられた。
平和な世に、過ぎた力は必用無いのだ。
目覚めた頃にはヘラは跡形もなく魔獣に食べられており、残ったのはほんの小さな骨と、ネックレスだけであった。
僕はネックレスと憎しみを握りしめ、西へと逃げた。
あのとき僕も一緒に死ねたらと何度も思った。
ふと、たどり着いた先は、最果ての街、アコールだった。
死神に愛された僕は、
いまもまだ死ぬことができない。




