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化学修士の僕が異世界で錬金術を専攻した結果  作者:


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最終話

僕たちは領土のほとんどを取り戻し、

ついには魔王が拠点とするアコールという西の果ての街までやって来た。


物々しい魔王城が建てられているのかと思いきや、全くそんなことなく、

人間たちが使っていた街を再利用し、増設を繰り返したようなチグハグな拠点だった。


「ナギ様、ついにここまで来ました。現魔王は頭脳と統率力でのしあがったと言われており、情報によると攻撃や魔法に強みがあるわけではありません。」

ヘラが言った。


「作戦通り、僕が錬金術で強化するから、ヘラが魔法で押してくれ。火力が足りなければ、控えている兵を総動員する。」


「分かりました。」


ほどなくして、元々町役場だったであろう場所に、魔王の本拠地があることを突き止めた。



魔王と出会ってから、今後のことを考えなかったわけではない。

きっと僕にも死なない呪いがかかっているんだろうということや、僕を召喚した神の目的は魔王討伐ではないんだろうということも、薄々わかっていた。

状況証拠が揃いすぎている。

でももう引き返せないところまで来てしまった。

国王の命令には逆らえないし、ヘラや部隊の仲間たちのような守るべきものもできてしまったのだ。

今更、魔王側に寝返るなんてできない。


扉を開けると、そこには魔王が待っていた。

ヘラは攻撃の姿勢を見せるが、魔王は動じることなく、玉座とも呼び難い椅子に座ったまま言った。


「ずっとこの時を待っていたんだ。」


時が止まったように静かだ。


「国木くん、覚悟はできたかね?」


「ナギ様?魔王は何を言っているんです?なぜナギ様のお名前を?」

ヘラは混乱しているようだ。


「ヘラ、下がっていて。僕が行くよ。」

僕はゆっくりと魔王のもとへ近づいた。


「代わってくれるんだね。」


「役割を代わるつもりはありません。僕は、僕が信じる目的を遂行するまでです。」


「ありがとう。よろしく頼むよ。」

魔王は言った。


僕は、長く戦争で使ったくたびれた剣を手に取り、魔王へと向けた。

魔王は深く頷いて、目を伏せ、首をこちらに差し出した。


「そうだ、君は魔法が使えないんだったね。」


剣を振り上げた僕に、魔王が言う。






「僕もだよ。」


魔王はにっこり笑って、

その頭はそのまま床に転がった。








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