戦場再び
僕たちはハルピュイアの死者蘇生を、
闇魔法ではなく錬金術ということで国王へ報告することにした。
僕の世界では、限りなく白い塩から、魂の錬成が可能なのだ、と。
「作戦Kを試す準備が整いました。」
僕は国王に報告した。
「すすめてくれ。本作戦については全権委任する。可能な限り秘密裏に進めてくれ。」
「承知いたしました。では、作戦を実行する前線にて、敵軍の死体を焼却しないようご指示ください。理由は、新たな燃料としての利用可能性検討の実験に使う、とでもお伝えください。」
僕たちはまた、戦場に赴くことになった。
「どういうことだ…魔王軍が攻撃し合っている!」
「こんな光景見たことないぞ、何が起きてるんだ?」
「仲間割れしているということか?俺たちはどうすれば…」
戦場では、魔物同士が殺し合う異様な光景が広がっている。
「僕の思ったとおりだ…」
思わず笑みがこぼれる。
「このまま一気に勝ち抜くぞ!全軍進め!」
僕たちは軍を進め、戦線は大きく押し上げられた。
魔王軍はいくつもの街を手放すこととなった。
知性を持たない魔物の街は、ちょっとしたキャンプ地にする他使い道はなかったが、
ゴブリンやエルフの街は良かった。
食料や水場はもちろん、酒や寝床も揃っているし、運が良ければ高度な魔導書まであった。
僕たちはありがたく街の資源を活用しつつ、魔王軍の“戦力”も活用しながら、
戦場で圧倒的な力を見せた。
やればやるだけうまくいく。
やればやるだけ褒美が出る。
これがチート能力というやつか。
これが思い描いていた異世界転生なのかもしれない。




