作戦K
僕たちは人体錬成の情報を集めるために奔走した。
作戦Kとは、ヘラがつけた作戦のコードネームだ。
作戦‘禁忌’ということらしいが、なんかダサい。だがそれが良い。
それでこそヘラだ。
しかし、文献は全くといって良いほど見つからず、作戦Kは早くも行き詰まりをみせていた。
「ヘラはさ、例えば死者を生き返らせたいと思ったことはないの?」
「うーん、無いですね…。死者は死者。生き返るという発想自体がなかったですもん。」
「そうかぁぁ」
「どうしてですか?」
「いやぁ、なぜこの国の人たちは、人体錬成をしたいと思わなかったんだろうって思って。こんなに文献がないってことは、僕が初めてするってことだよね。」
ヘラがじっと考え込むように虚無を見つめた。
「あっ…ネクロマンシー…」
ヘラがボソッと言った。
「闇魔法に、死者を操る魔法があったような気がするんです…。なんか、人格をもって生き返るというよりも、ただ肉体が動くって感じだと思うんですけど…」
「闇魔法って、魔族しか使えないあの闇魔法?」
「そうです。我々人間の祖先が、神を崇拝するかわりに手にいれたのが四属性の魔法です。その後、それに対抗して、死神を崇拝する種族のみが使える闇魔法というものができました。」
僕は四属性の魔法適正が一切なかったが、それは僕が神を崇拝する種族じゃなかったからなのか…?
僕はずっと、この世界の神が僕を呼びつけ、勇者という役割を押し付け、過酷な運命を強いているのだと思っていた。
もし、ヘラのいう神が僕を呼んでいないのだとしたら…?
闇魔法を司る方の神が、僕を呼んだのだとしたら…?
1000年前の勇者は誰に呼び出され、誰の味方をしたんだ…?
「あっ……
ぼくは
僕の味方は
誰だ…?」




