急務
「魔王が反撃に出た。早急に兵器を思案せよ。」
王からの伝言が届いた。
早急にって…もうずっと考えてんだよ。
土地を汚染せずに、魔物を一掃する方法なんて無い。
ヘラと僕は、必死に頭を悩ませていた。
原子力爆弾なら…ウランなら海水中に存在するし…いや、放射性同位体を見分けることはできないか…
やはり何らかの方法で時限式の爆弾を作成するのが手っ取り早いか?
しかし下手につくると魔王に模倣されてしまう…
毒物はカナリアで対策されてしまったため、もう少し工夫が必要だ。
細菌兵器はどうだ…?こちらの世界の病原菌を今から探して培養するのは現実的ではないか…
単純に人手があればいいのだが。どうにかして魔王軍の魔物をこちらに寝返らせることはできないか…?
考えろ…考えろよ俺…
「…人体…錬成…」
人手が足りないのであれば、「人を創ればいい」んだ。
錬金術なら…おそらく入れ物を作ることは可能…!
「ヘラ!人を創ろう!魔物でもいい!なんでもいい!軍隊を作るんだ…!」
「そ…そんなこと…可能なのですか?」
「僕にもわからない…でも、少しでも可能性があるのなら…。」
この際ヘイラムなんてどうでもいい。
ヘラの故郷が…アマルガが無事ならそれでいい。
「そんな…神の所業です…。許されるのでしょうか…」
「僕は元々神に嫌われてるんだ。もうこの際どうだっていい。倫理なんて随分前にぶっ壊れたんだ。アマルガが無事ならそれでいい。」
僕たちはすぐさま文献集めに取りかかった。
夜は明け、朝日が眩しかった。




