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化学修士の僕が異世界で錬金術を専攻した結果  作者:


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初めての休暇

初めての休暇をもらった。

僕の戦力があまりにも圧倒的で、ヘイラム王国周辺の危機が去ったからだそうだ。

じゃあ僕は平和な日常に戻れるのかと問うとそうでもないらしい。

王はこの力で、守りではなく攻めに転じたいのだそうだ。

そんなことだろうとは思った。


ヘラも一緒に休暇をもらっており、僕たちは久しぶりにデートした。

場所は、ヘラ指定のキャンベール。


「ほらほら、ナギ様!噴水がとっても綺麗ですよ!」


僕は数ヵ月前と変わらず接してくれるヘラに驚いた。

そして、アマルガにいた頃を思い出して懐かしい気持ちになった。


「ヘラさん、走ったら危ないよ!」


ヘラはキラキラ笑い、僕もつられて笑顔になる。

死ぬことばかり考えていた僕の心も、今日ばかりは晴れやかだった。

 

ああ、僕は、ヘラさんの事が好きなんだな。


そんなことを思い知らされる。

僕にそんな資格など、とうの昔から無いというのに。


僕たちはキャンベールの観光地を周り、美味しいご飯を食べ、戦争で削られた精神を回復していった。


「あっ、もう奢らせるわけにはいきませんよ!僕はもう雇われの身ですから。」

「…!そうでしたね!出世払いで10倍返ししてもらう約束でしたよね!」

「えっ、増えすぎでは…」


異世界に来てばかりの時は、ヘラにめちゃくちゃ奢ってもらったなぁ…

そんなことを思い出して、少し恥ずかしくなる。

今はすっかり払えるようになってしまい、僕もヘラも、心なしか寂しいような気持ちになっていた。


「久しぶりにお酒でも飲みましょう!」


ヘラの提案から、お酒を買って、小高い丘から町を眺めることになった。

もうすっかり夜で、人々の生活する光がイルミネーションとなって瞳に飛び込んだ。


「月が綺麗ですね」

僕はお酒を飲みながら言った。


「月…?」

「あれですよあれ。夜に輝く丸いやつ。」

「んーあれ?メルバのことですか?」

「そっちではそう呼ぶんですっけ?」


どうやらこっちでは、太陽のことをソルファと呼ぶように、月のことをメルバと呼ぶようだ。


「これ、実は愛の告白なんですよ。」

言ったぞ!言った!僕は酔った勢いで告白するとかいう最悪の実績解除を果たした。


「え?なんですか?それ。」

「僕の元いた世界では、月が綺麗ですねってのは愛の告白なんです。で、言われた側も好きであれば、私死んでもいいわって言うんですよ。」

「???それはなぜですか?」

「何故だろうね…」

「私まだ死にたくないですし…」


異世界の住民に「情緒」を伝えるのはすごく難しいみたいだ…。

さらっと振られたし深追いするのはやめておこう。


「そんなことより…!今日は楽しかったです。ありがとうございました。」

「いえいえ!私のわがままに付き合っていただいて、こちらこそありがとうございました。次は演劇を見に行きたいです!」


次がある事が嬉しくてニヤニヤしてしまう気持ちを抑え、僕たちは語り明かした。


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