表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化学修士の僕が異世界で錬金術を専攻した結果  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/39

セーミャにて

「着きましたよ、今日はこの町で宿泊しましょう。」


馬車から降りると、目の前には大きな広場。そしてその奥にはスタジアムが広がっている。町は沢山の人々で賑わい、まるでお祭りである。


「お祭りでもやってるんですかね?」

「いいえ、セーミャの町はいつもどんちゃん騒ぎですよ。」


スポーツと娯楽の町、セーミャ。そこにいるだけでワクワクしてしまう。

僕たちは王宮の兵士たちに連れられて宿までやって来た。


「出発は明日の朝です。我々は物資の調達に向かいますので、それまでに宿にお戻りになられますようお願い致します。くれぐれも、正体のばれないようにお気を付けて…」

「わかりました、ありがとうございます。」


正体も何も、本物の勇者ではないんだから、大丈夫なんだけども。


「ナギ様!折角セーミャに来たのです、町を見て回りませんか?」

「そうですね、その前に寄りたいところがあるんですけど、付き合っていただけますか?」

「もちろん!大丈夫ですよ。一体どこにいくんです?」

「本屋で、錬金術の本を買いたいんだけど…」


町一番の本屋は広場の近くだと住民が教えてくれた。僕たちは散歩がてら、本屋へと向かった。


「ナギ様は勉強熱心ですねぇ。」

「知らないことを知るのが好きなだけだよ。自分の興味のあることしか勉強しないから、学校のテストだとギリギリの教科があるんだ。」

「私は勉強がすごく苦手で…ナギ様を尊敬します。」

「ヘラさんは知的好奇心が旺盛じゃないですか。机に向かう勉強が苦手でも、その好奇心があれば十分賢くなれますよ。」

「ありがとうございます…ナギ様に言われると照れ臭いですね。これからも色々なことを教えてくださいね。」

「僕でよければ。」


本屋について、気づいたことが二つある。まず、こちらの言葉が読めないと言うことだ。会話はできるのに、文字に起こすとダメらしい。二つ目は、お金を持っていないことだ。すっかり忘れていた。


「ヘラさん、本当にごめんなさい…なんとお礼を言えばよいのか…」

「いいんですよ、出世払いの倍返しで。」

「もちろん倍にして返させていただきます…」


ヘラに錬金術の本を買ってもらって、さらに文房具屋でペンとインクとノートを買ってもらった。女の子の、しかもこんな美女のヒモになるなんて思ってもみなかったな…

早くどうにかしてお金を稼いで、ヘラに恩返しをしなくては。


宿に荷物をおいたあと、僕たちは夜市に繰り出した。屋台で腹を満たし、スタジアムでサッカーのような競技を観戦して、すっかり娯楽の町を楽しんだ。もちろんヘラのお金で。


「楽しかったですね!今度アマルガのみんなとも来たいなぁ。」

「そうですね。僕の勇者騒動が落ち着いたら、今度はみんなで遊びにいきましょう。」

「賛成です。あー今日はぐっすり眠れそうです。」

「明日、寝坊しないようにしましょうね。」


僕たちは眠らない町を後にし、小さな宿屋に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ