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第3話 自己紹介 1

もしも自分にとってみじかな位置に、アイドルみたいな彼もしくは彼女がいたらなんて考えたこと一度はないだろうか。


例えば、彼氏彼女の関係じゃなくていい、遠くから憧れているだけでいい、同じ学校に自分の好きなあの芸能人がいてくれるだけで・・・・・・・・・なんてふうに。

そりゃあ、「実は最近人気の○○と友達なんだよねぇ。」なんて自慢になるし、同窓会がたのしみにだってなる。僕もそれには賛成だ。サインを売って一儲けしてやろうとも思う。


しかし、僕、星野千秋を苦しめたのはそんな思春期男子学生の妄想を一回りくらいスケールダウンした現実だった。

それを幸運や奇跡と感激することは僕には出来そうもない。







僕には幼なじみがいる。それも二人も。

福部圭介に宇井野未兎。それが二人の名前。

凡夫な僕にとっての二つのイレギュラー。そしてかけがえのない親友。この二人がもっと「凡」がつく存在だったなら、きっと親友という言葉の頭に大を素直につけられていたと思う。



僕たち高校生にとって、客観的なパーソナリティーを決定するには優先順位がある。

1.容姿

2.運動能力

3.頭脳

多少の意識の差はあるかもしれないがこの3つはかたい。性格、人柄なんてものは常に後回しだ。そんな僕が生きる世界の価値基準において、二人は明らかに遠い存在だった。


福部圭介は我が高校において有能な広告塔の役割をはたしている。

3つの中の上位2つが抜きん出て良く、彼が所属するサッカー部は昨年インターハイ出場を果たした。彼は一年生ながらそんなチームのポイントゲッターだった。

本当にむかつく事だがこれは真実だ、くそ!

まぁ、三番目は僕と同じくらいなので許そうと思う。


宇井野未兎は僕の位置から見ると雲の上にいる・・・・・・らしい。

3つの項目すべてにおいて。試験ではつねに片手の中に入る成績の頭脳。男子平均の僕が、どの競技をとっても勝てない運動能力。

そして、へたなグラビアアイドルが裸足で逃げ出すほどの容姿。

雲上人とはまさにこういう事なのだろう。




学校という枠組みの集団においての有名人。

それが僕の近しい人のいる場所だった。

それを僕は感激するのではなく、悲劇だと呪詛を吐くくらいしかできなかった・・・・・・。

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