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第一章第八話 拠点作り①

投稿済みみ投稿部分の誤字脱字の修正しました。作者自身も何かいてるか分からないとこまでありました。あせあせ。大変申し訳ありません。

いよいよ拠点作りにかかります。でも農業はまだしてない。・・・あと2~3話かかるかな~。

作者のモチベーション向上のため感想評価のほどよろしくお願いします。

第一章第八話 拠点作り①



 昨日と同じように分かれ、せっかく伐採した丸太が傷まない様に回収する。これが思ったよりきつい。剛力やら怪力のスキル持ちはずるずる引きずっていくが、俺はそうはいかない。


 渾身の力を込めてズッくらいしか動かない。出来るだけ細めの丸太を選んでいるけど動かない。悪戦苦闘してる内にミヤが引っ張って行ってしまった。


 しょうがないのでマッドゴーレムを呼び出して整地作業をさせる。切り株は穴を掘らなくてもメリメリメリってな感じでミヤが引きずり出してる。


 切り株なら俺でも何とか運べるようだ。同時にマッドゴーレムに整地作業もさせる。魔法を扱いながらの力仕事! むずかしい。


 なんか良い鍛錬になりそうなのでミヤとヤルルーシカにも教える。水源への小道の片づけが終わる頃には皆慣れたようだ。これで剣での戦闘中も魔法が使えるといいな。


「水源の小道開通したよ~。でもまだほとんど使わないだろうけど。少し休憩にしよう。お茶入れるから」


 俺が建設組に報告すると、おー、なんて返事が聞こえる。拠点の家作りは進展していない様だ。やはり木材加工に手間取っているのだろう。薪を集めおが屑に着火する。


 薪には不自由していない。そこら中に木片やら木っ端やらおが屑があるからだ。鍋に水を生み出して、火にかける。


 水が沸騰してきたら火から降ろして持って来た紅茶を豪快に入れる。蓋を閉めて少し蒸らしたら茶葉が入らない様にカップに注ぐ。


 丸太を輪切りにしたテーブルにカップを置いて俺が皆に声をかける。


「お茶入ったよ~」


 火で軽くあぶった干し肉を細かく裂いておつまみ代わりに葉っぱの上に並べておく。塩分補給のためだ。前世の記憶が脱水症状に気をつけろと警鐘を鳴らしたからだ。


 全身汗だくになっているので、上半身は裸が定着している。もうあまり気にならなくなった。


 ・・・うそです。めっちゃ気になります。裸のままいつもの様に接触するものだから直に当たっちゃいます。もうドキマギしっ放し。


 皆が集まって来て、丸太を横にしただけの椅子に座る。ミヤが当たり前のように俺の膝に座る。


 身を乗り出して自分のカップを手元に引き寄せて俺に体を預ける様にしてお茶を飲みだす。ついでに炙った干し肉を咥える。


「もう、ミヤ! サラが困ってるから止めなさい」


 流石にヤルルーシカの注意が行くが、悪びれた様子もなくミヤが反論する。


「にひひひ。僕はサービスしてあげてるんだからサラも困ってないよ。喜んでるのさ」


 ミヤが一番スキンシップしたがる。そしてミヤが一番触らせようとしてくる。何回か触ってしまったけど柔らか・・・げふんげふん。


 その次はマイヤ。ミヤは俺の上に乗っかってくるけどマイヤはひざの上に乗せようとする。190cm以上ある体躯と150cm程しかない俺ではまさに大人と子供。


 全員の中で俺はミヤに次いで小さい。小さいと言ってもミヤだって145cm位はあるから俺とそう変わらない。


 その次がヤルルーシカの165cm、リュディーはスラっとしてて、175cm位ある。全員プロポーションは抜群。無駄な贅肉は付いていない。胸以外は。


 マイヤとミヤの腹筋は割れている。ヤルルーシカとリュディーの腹筋は割れてはいないけどお腹の筋肉は分かる程度。俺は・・・割れてない。ぽよんとしてる。子供体形だ。


「お家の方はどんな感じ?」


 見れば分かるけど進展していない。いまは、木材加工が主流。荒削りは終わってるけど木材を組み合わせるには微調整が必要の様だ。


 普通に削るよりは格段に速い作業なんだけどそれでも素人がやるんだから手間と時間がかかる。


 水源への小道は、皆でマッドゴーレムを使いながら整地作業を並行してやらせたからもう終わったよ。肉弾戦中でも魔法が使える訓練になるからね。


 って言ったらそんな事をやってたのか~あたし達もやろうって。早速マッドゴーレムを生み出した。


 マッドゴーレムには、シュナイダー領への道の後片付けをさせようってことになって作業内容を念じておく。


「人手は足りてそう?」


「う~んと。マイヤが板材を作ってくれるから、やり直してるんだよね。今は板材のカンナがけをあたしがやってて、マイヤが丸太の組み合わせ部分をノミで削って微調整してる。あとは鋸で切断とヤスリがけを手伝ってほしいかな。」


「なら、僕とヤルルーシカが手伝うからサラは、狩りに行っといで」


 ミヤがそう提案して来る。実は俺も狩りに行ってみたかった。リュディーがあっさり色々獲って来るものだから獲物が豊富なのだろうと思ってやりたくてしょうがなかったんだ。


 もっと小さい頃は小遣い稼ぎに狩猟を良くやっていたんだ。


「お昼は何が良い? さかな? とり? それ以外?」


「さかな」「おさかな~」「さかながいいわ」


「みんなさかなだね。じゃあちょっと貰うね」


 そう行って皆から髪の毛を数本づつ抜く。釣り糸にするためだ。結構髪の毛は丈夫だから便利に使える。


「いたっ! 毎回毎回これどうにかならないかな~。禿げちゃうよ」


「ははは。ごめんごめん。次来る時はちゃんと用意してくるよ。まさか大森林で魚が取れるとは思ってなかったから」


 釣針は魔獣の骨から削り出した物を使う。普通に会話してるけど俺はいつもミヤの後頭部を見てる。偶にミヤが振り返って目が合うと二カッと笑うんだけど、どういうことかな? 


「じゃあ、さかなは一人二匹ね。他になんか居たら狩ってくるよ。片付けよろしく~」


 脱兎の如くその場を離れて駆け出す。こら~なんて笑いながらの声が聞こえるが後ろ手に手を振ってそのまま走り去る。


「まだまだ遊びたい盛りのはずだな」


「そうね。もう成人はしたって言ってたけどついこの前までは両親と兄弟と遊んでいたのよね」


「サラは良く頑張ってると思うな。ぼくは。貴族のお坊ちゃんのはずなのにどんどんいろんなこと覚えてるもんね。へへへ」


「ミヤ、お前もそんなにかわらんだろう」


「僕はもう三年も冒険者してるよ。ヤルルーシカもね」


 水源の泉で早速釣り糸を垂らす。餌は、そこらへんの地面を穿って出てきた蚯蚓だ。ホントに警戒してない。入れ食いだ。


「よし。十匹っと」


 さかなのえらに蔓を通して腰に下げる。他に獲物がいないか探しながら森に分け入っていくと居た! いのしし。おおきい。


 僕の胸くらいまで体高がある。弓で仕留めるのは無理と判断して魔法を選択する。イメージがしっかりしている俺は既に無詠唱だ。木陰に隠れながら狙いを定める。


 猪肉は久しぶりだ。発射~。・・・邪念がいけなかった。あんなにデカイのにはずした。こめかみの辺りを掠っただけだ。


 それでもぐらっとイノシシが揺れる。脳しんとうでも起こしたのか、足元がふらついているがじきに収まる。その視線は俺が隠れている藪に注がれている。


 ヤバ! 場所がばれてる。前足で地面を搔き突進の構えを見せてる。――来た! 咄嗟に横っ跳び。コロンと地面で横に回転してかわす。


 イノシシも僕の横を通り抜け、既に反転して次の突進の構え。ひぇ~。魔法を使う余裕がない。逃げ切れない。アイツの方が早い。次の突進は木の枝に飛びついて足を持ち上げる。


 俺の下を通過していった。枝が折れる。バキッ、ドサッ。奴と目が合う。無詠唱でめちゃくちゃに石弾を発射するけど当たらない。


 体勢が崩れてて回避も間に合わない。下から足を蹴りあげてやつの顎を上向かせる。


 500kgぐらいありそうなイノシシに踏まれたが牙で串刺しにされるのは避けられた。グッゥ! アバラが折れてる!?


 頭だったら即死しててもおかしくない体重だ。アバラで済んでラッキーと思う。・・・済んでなかった。蹴りあげた足も明後日の方を向いている。ゴフッ!


 折れたアバラが肺に刺さったか、内臓を踏み破られたか吐血した。回避しなきゃいけないのにむせて動けない、体が痙攣している。


 やられる時はあっさりしてるな~なんて思いながら目の前に牙が迫ってくる。ドゴンッ! 衝撃音を残してイノシシが軽く吹き飛ぶ。


「やるな~。にひ。ワイルドボアにちょっかい出すなんて。上級の魔獣だぞ」


 ミ、ミヤ~。声は出ない。ザシュッ! ワイルドボアの前足を切りつけてマイヤが現れる。


「サラ、まだワイルドボアを相手にするのは早いぞ」


『癒せ! 我が子の様にその痛みを退けよ。ヒール』


 後ろから俺を抱きとめたヤルルーシカの癒しの術がかかる。応急処置だろう。そのまま俺を抱えて後方に下がる。


『いかづちよ! ひらめきてその敵を撃て。ギガボルト~』


 稲妻が真横に走りワイルドボアに直撃する。体全体から煙を立ち上らせながらもいまだ闘志を絶やさぬワイルドボア。既に前足で地面を掻き、突進する構えを取っている。


「よく生き残りました。誉めてあげるよ。でもちょっと無謀だったわね。めっ!」


 リュディーが誉めてるのか怒ってるのか分からない事を言う。確かに油断してた。世界樹の傍なので魔獣がいないと思い込んでいた。


 ただでかいだけのイノシシだと思っていたのだ。まさか上級の魔獣とは。


「ヤルルーシカ! サラを連れて後退してくれ。これから暴れるぞワイルドボアは。仕留めるまでにここら一帯が更地になるかもしれん」


「ええ、サラを拠点に戻してから合流します。それまではアイテムでしのいで下さい」


 激闘が始まった。ワイルドボアが恐ろしいのはその体力と生命力だ。ちょっとやそっとじゃ斃れない。


 こちらは一発貰えば戦闘不能になる攻撃をかわしながら、ワイルドボアに確実に攻撃をヒットさせていく。


 もう何度目かになるのかリュディーの雷撃魔術が炸裂。あちこちが焦げ、体中から煙を立ち上らせながらも、尚健在なワイルドボア。


 さすがの三人も体力が続かない。荒い息を吐きながら罵声を吐く。


 ヤルルーシカに連れられ拠点に戻った俺は遠く近くから聞こえる激戦の音を耳にしながら意識を失った。意識が戻ったのはもう既に辺りが暗くなってからだ。


 胸にはきつく包帯が巻かれ右足には添え木がされている。癒しの術であらかた治っているが完全ではない。最後のちょっとは自然治癒の力が必要なのだ。


 またヤルルーシカに抱えられて目覚めた。これで二度目。焚火には豪快に先ほどのワイルドボアの肉がかけられいい匂いを放っている。


「ん。気がついたわね。まだ少し痛いと思うけど無茶したんだから我慢なさい」


 俺の意識が戻ったのに気がついたヤルルーシカが声をかける。ミヤが近付いて来て俺の顔を両手で挟んで覗きこむ。


「だめだよ。僕達がいないときにあんなのを相手にしちゃあ」


 マイヤもリュディーも俺を見つめている。心配をかけてしまった。よく見るとミヤもマイヤもリュディーもそしてヤルルーシカでさえ負傷している。


 それだけ手強い相手だったのだ。俺の油断が招いた結果みんなにも危険な目に合わせてしまった。


「皆ごめん。油断してた。ただのイノシシかと思っちゃった」


「ふむ。ミヤの索敵に感謝するのだな。真っ先に飛び出したミヤがいなければ間に合わなかったかもしれん。自分の力量と相手の力量を正しく測れん奴は早死にするぞ」


「ああ、肝に銘じておく」


 しょんぼりした俺を見て困ったような顔になるみんな。リュディーが話題を変える様に言う。


「それにしてもよく一撃で死ななかったね~。ワイルドボアが相手じゃ普通初心者なんか即死なんだけど」


「最初の一撃をかわせたのは偶然だと思う。先制攻撃の石つぶてが奴のこめかみの辺りを掠ったから脳しんとうを起こしてふらふらしてたんだ」


「あのブラックスネークの肉をえぐり取ったやつか?」


「基本は同じだけど石弾の形状をとがらせて若干長くして、貫通力を高めるようにしたやつを撃ち込んだ。外れちゃったけど」


「あたし不思議に思ってるんだけど。サラはどうやって魔法の照準を着けてるの?」


「え? それは目で狙ってここに当たれって」


 それを聞いた全員からため息が漏れた。あれ? 違ったのかな? どうやって照準ってつけるんだろう?


「そんなことじゃないかと思ってたのよ。魔法はイメージが重要を地で行っちゃってるのね」


「ひひひ。それで凄い魔法撃てるんだから良いじゃん」


「いい、サラ。イメージしたからって当たらないのよ。いくらなんでもここに当たれで当たる訳ないでしょ。その分だとどこに魔法の発射点があるかも気にしてないわね」


「え? 発射点? 掌じゃないの?」


「必ずしも掌じゃないわ。指先だったり、足だったりも出来るの。ちゃんとどこから発射するかイメージしてどの向きに向かって行くかもイメージしないと射線がつながらないでしょ」


「・・・ギルドで教わった時は的が正面にあったからそのままでも当たったんだ」


「究極的に言えば射線も直線じゃなくても良いし、発射点も自分からじゃなくても良いの。どこからでも良いのよ。それこそ魔法はイメージなんだから。でもここが魔法の難しい所なんだけど、あいまいに残しておく部分も大事なの。精密に制御した魔法は避けやすいのよ。実戦ではね」


「わかった。今度やってみる」


「さあ、お説教はお終いだ。ワイルドボアの肉は絶品だぞ。食べよう」


 ホントにワイルドボアの肉は絶品だった。塩を振っただけなのに脂が甘い。500kgもあったワイルドボアだ。


 一晩で食べきれる訳もなく暫くは肉に困らなかった。そうそう俺が捕った魚もちゃんと回収されてた。食卓に登るのは明日の朝の話だ。

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