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第二章第二十四話 試験農場の収支報告検討会①

第二章第二十四話 試験農場の収支報告検討会①



 警備に3人を割いたため、若干伐採速度が落ちたものの危険は減った。全員で一通り警備を担当したところで今日は終了にした。海岸までの残りの距離はまだ結構ある。


 道幅を広くして両脇に防壁も立てているから仕方ないんだけど。この南の道は結構重要だ。直ぐに役立つのは塩田。将来的には海外貿易の拠点になるかもしれない。


 こうしてみるとこの大森林はかなり有望な領地になる。野菜が特産品となって、魔獣素材も豊富に取れる。領内にダンジョンまでもあるので古のマジックアイテムすら見込めるのだ。


 更に海への玄関口を抱え西には有望な鉱脈もありそうだ。まだまだありそうだが一つの領地でここまで金のなる木がある領地も珍しい。言葉通り世界樹と命の木はそのまま金のなる木だしね。


 作業を終えて一息ついている間につらつらと考えていた。あれもこれもと一辺には出来ない。種は蒔いておく必要があるがどこから手を付けるべきだろうか。


 ふぅ~。考えるまでもないか。小人数を養うことはできる。人数が増えるとなると、まずは食糧だな。・・・それにしてもスキル生えないな~。


 ちくしょう。帰りも俊敏持ちに悪戯されながら必死に走るのか。そうこればかりはスキルを生やすため誰も手伝ってくれない。ゼイゼイ言いながら走り続けるしかない。


 いつか生えるであろう俊敏のために。俺が足を引っ張るから本当はサッサと帰れるんだけどみんな付き合ってくれる。このいたたまれない時間が結構きつい。


「よーし。汗をしっかり拭いておけよ。風邪をひくからな」


 いつも思うがこれもどうかと思う。汗を拭くのは分かるんだけど、上半身はまあ、むき出しだからそのまま拭くのは良いとして(いいのか?)問題は下半身。


 流石に下は着衣しているから汗も半端ない。下に履いてる作業ズボンやら下着やらを降ろして、股の間やら尻やらををタオルでゴシゴシするんだけどこのあられもない姿を晒しても良いのか。


 もちろん俺だって下半身は痒くなったら嫌だからちゃんと拭くけど、ふさふさが見えてますよ~。もちろん俺は後ろを向いて見ない様にしているよ?


 でもこれも危険。作業中余り俺を構う事が出来ないマイヤとアンジュがコッソリ後ろから近づいて来てガバッと抱きつくんだ。それも! そのまま握ったりするし。


 拭いて来るし。当たるし。絶対わざとくっつけてると思う。嬉しいけど嬉しくない。だんだん握られちゃうのに慣れて来た自分がいるのが怖い。


 くっ。しかしこの一線は守らなければいけない気がする。男子足るものおなごに弄ばれる訳にはいかない。この攻防もいつもの事だ。


 最近は3姫の面倒も見ないといけないから捕まる回数は減ったけど(それでも捕まっている事は置いておく)。


「じゃあ、帰ろうか。サラもちゃんと拭いたし魔獣の素材やら肉やらも持ったし。丸太とか下草はゴーレムが逐次運んだから大丈夫だな」


「うん。早く帰ろう。僕、もうこの濡れた洋服とか下着とか着替えたい」


 そう、帰り道も走るからまだまだ汗は搔くんだよ。だから着替えは拠点に着いてからなんだ。そうじゃなきゃ洗濯が大変で洗濯物溜まっちゃうからね。


 着替えるのは一日一回だけ。それでも普通の農家に比べたら多いんだよ。普通の農家は着替えたりしないんだ。お風呂も入らないで水で拭くだけ。


 汗がしみ込まない様に作業中は洋服を脱ぐんだ。そして作業が終わったらまた着る。脱いでいた上着を着るかと思いきや肩に担いでそのまま走りだすみんな。


 男前過ぎる。ランニングするくらいの速さで拠点に向けて走り出す。両側に防壁用の杭が打ってあるから帰り道の襲撃はそんなに心配していない。


 帰りも走るからなのか汗対策のために上着は着ない。ただでさえ体が火照っているのに更に走るんだから直ぐにまた汗が噴き出してくる。


 マジックバッグには冷たいお茶がたくさん入っているから水分補給も大丈夫だし、塩辛い干し肉をかじるから塩分も大丈夫だ。


 ああ~、揺れてる。いつもの光景だけど揺れてる。考えない様にしてるけどゆさゆさしてる~。


 拠点に着いてから後始末だ。丸太を乾燥させるために世界樹に立てかける人。獲り過ぎた魔獣の肉を薄く切り分けて塩・胡椒を刷り込んで干す人。


 お風呂の準備をする人。魔獣素材を倉庫に仕舞う人。夕食の下準備をする人。みんなから洋服を回収して洗濯する人。(下着はお風呂で洗う)


 毛皮を泉に沈めて前日の毛皮を回収してなめしの前段階、残った肉をこそげ落とす人とやることは満載だ。


 それぞれ手分けして処理して行く。干し肉作りが一番手間がかかる。最後はみんなで作業することになる。昨日干したものを取り込んで紐を通してある程度まとめてまた干す。


 新たな肉を切り分けて塩を振り、揉み込んで、更に胡椒をかけて軽く揉む。後は広げて干すだけ。


 ある程度乾燥出来たら硬くなるので、紐でまとめてから、さらに干しておけばその内完成する。その内燻製室を作って薫香もプラスしようと思う。


 今は無理なのでただ乾燥させるだけだ。この干し肉も特産品なんだ。魔獣肉の干し肉として大シュナイダー領に卸してるよ。


 大シュナイダー領でも肉は貴重品だから重宝されてるみたいだ。村のみんなが喜んでくれるなら作るかいもあるってもんだな。


 俺が子供のころは肉なんかほとんど食べられなかった。食べたかったら自力で獲るしかない状態だったもんな。精々小鳥くらいしか取れないんだけどね。


 あらかた後始末が終わったらお待ちかねのお風呂だ。当然ここでも駄々をこねるよ! 前世の記憶に母ちゃんに女風呂に無理やり連れて行かれる子供の映像がフラッシュバックする。


「もう、ここは安全だから別々でもいいと思います!」


 スキル持ちは全く、スキル持ちは全く。全然かなわない。この風呂を別々にすると言うのは俺以外誰も賛成しない。なぜだ? 洗い方は確かに適当かも知れないけど、しょうがない。


 だってお風呂なんてここで作るまで入った事なかったんだから。いつも濡れたタオルで適当に拭くだけだった。


 皆だって同じはずなんだけど、風呂に入れるとなると途端に綺麗好きになった。さらに石鹸を買うようになったらお気に入りとなった。肌艶が甦るんだって。


 髪の毛には香油を塗り込んだりと余念がない。それは置いといて、石鹸、確かに良いんだ。泡が目に入ると痛いけどそこだけ注意しておくと気持ちいい。


 泡にまみれてヌルヌル、お肌とお肌がヌルヌル。ああ、脳まで蕩けそう。しっかりしろ俺。ここで流されたらもう男として終ってしまうぞ。


 そんなことはさて置き、久しぶりに大解放に付き合ってやるかな。ワォーン! ははは、何かストレスとか吹っ飛ぶなこれ。領民とかできたら出来なくなるんだろうから今のうちだけだな。


 よし、もう一っ風呂浴びて出るか。ヤルルの上で寛いだらもう出る。基本誰かの上に乗せられるのはもう避けようがないみたいだな。


 ふぅ~。冷やしたお茶を一杯飲んでダイニングに向かう事にする。女性陣は着替えにまだ時間がかかるから、その間に夕食を運び込んだり仕上げをしたりする。


「今日もお疲れさん。ではいただきます」


 女性陣の着替えが終わって全員が揃ったら、食事だ。今日は煮込みに煮込んだ絶品スープを濾したものを出して、ハーブサラダ、お肉は煮込んでみた。


 肉の塊が柔らかくなるまでコトコトと弱火で煮込む。絶品スープを基本に各種魚介の出汁にハーブを入れて、ジャガイモでとろみをつける。


 賽の目に切ったトウモロコシを焼いて煮崩れしない様にしてから追加する。今日もおいしく出来ました。


「なに! このスープ。何にも入ってないのに美味しいじゃない~。この透明感から想像できないくらい深い味~!」


「雑味をほとんど感じぬのじゃ。驚いたの」


 あれ? 姫様達は絶品スープ初めてだっけ? グリンダ公女とティア殿下が驚きの声を上げる。


「それはね。怪我したサラのために作ったんです。数日意識を回復しなかったから固形物は食べられないだろうと思って。野菜やら肉やらをずーっと煮込み続けて固形物を濾して一切なくしたのよ」


 ヤルルが絶品スープを説明する。そうなんだよ、俺の意識が戻る前提で作ってくれたんだ。


「へへへ、手間だけは凄く掛ってるんだよ。それ以来継ぎ足し継ぎ足しでずーっと煮込んでるスープなんだ。どんどん味わいが深くなってるよ。快復したサラがそれ以降作り続けてるね」


「今度は野菜が増えるから楽しみだよ。灰汁を取り除くのが手間だけどね」


 楽しく食事を終えて食後のお茶を楽しみながら、予定されていた収支報告検討会となった。


「じゃあ始めようか。今回の資料は大シュナイダー領従士長のカラナムがまとめてくれたものを使う。今後は自分達でもまとめないといけないだろうが、その余裕がないのが実情だ」


 え~と。今回大シュナイダー領に卸した物品の詳細はと、丸太328本及び乾燥作業、小麦1600袋引く殻剥き手数料、枝豆5000束、大豆2500袋引く殻剥き手数料、とうもろこし30000本、じゃがいも72000個、大蒜20000株、大蒜の芽2000束、西瓜10000個。以上が農作物だね。


 次が食料品だ。干し肉6670kg、たまご2210個、干し魚3590尾引く加工手数料、生肉1230kg、生魚860尾。


 魔獣素材は~、毛皮1674枚、牙1073本、角775本、核1395個、翅136枚、甲殻248個、毒針26本。


 薬類は傷薬36個、毒消し24個、上傷薬235個、魔力薬27個、上魔力薬211個、ポーション468本、ハイポーション345本、フルポーション212本、マナポーション397本、ハイマナポーション238本、フルマナポーション229本。


 インゴットは、鉄26個、銅12個


 秘密の材料は世界樹の葉400枚、命の木の葉400枚、完成品なし。


「こんな感じだよ。こうしてみると前回と前々回の合算だけども結構な量だよね」


「ちょっと良いかの。インゴットとはどういう事じゃ? 鉱脈までは辿り着いていなかったと思うのじゃが」


「ああ。そうだよ。まだ辿り着いていないよ。これは魔法の練習で生成できたインゴットなんだ。みんなあまり気付いていないと思うけど鉄はそこら中に有るんだ。銅は流石に少ないけどある事はあるんだね」


「魔法の練習?」


「ああ、そうか。姫様達はまだやって無かったね。土魔法だよ。これで集めるんだ。鉄なら砂鉄から集めて純度を上げてインゴットにするんだ。この後やってみようね」


「なんか納得がいかんが、後でじゃな」


「じゃあ次はお金に直すとどうなるか。それで検討も加えて行くね」


 丸太は銀貨328銅貨1640になったね。丸太はおよそ銀貨1枚になる。これは木の種類によって高かったり安かったするから平均だ。


 ほとんどが大シュナイダー領で消費されちゃうから通常より安く卸してる。それと乾燥作業は一本銅貨5枚で請け負った。今後の展開としてはこのまま丸太は卸し続ける事になると思う。


 急発展中の大シュナイダー領は俺達の盾になってもらわないと困るから発展を支援してるからだ。大森林も無限に木がある訳じゃないから切り開くところ以外は植林も考えないといけない。


 小麦は銀貨1600。一袋銀貨1枚で売れてるよ。60kg入りだ。普通は銅貨10~20で変動してるから5倍位で売れてる。まだまだ高くなる傾向にある。


 普通でも結構高いんだねと思ってたらパンにする時は混ぜ物を入れてるんだって。ふふふ、そうすると僕らは贅沢してたんだね。小麦オンリーでパン作ってたよ。


 話がそれちゃった。それから脱穀の代わりの殻剥き手数料は銀貨100支払ったよ。1人銀貨1枚子供から年寄りまで集めて50人は集まった。


 2日で出来たら更に褒賞で銀貨1枚、10枚は監督官の分だね。姉様なんだけどさ。


 枝豆は銀貨150、大豆は銀貨1250。大豆も60kg入りだ。枝豆の方が儲かるけど足が速いのが欠点だ。大豆にしちゃえば保存がきくから安くなる。


 さらにさやから外す手間もかかるからこれも銀貨30枚掛ってる。小麦の殻剥きとまとめたから褒章はなし。都合3日かかってる。枝豆として売りたいな~。


 でも流通量が近在だけになるので少ししか売れないんだよな。マジックバッグが大量に出回ればいいんだけどマジックバッグを購入する方が高くつからな。


 帝都に持って行く分はマジックバッグを使った。でも小麦より儲かるな。


 とうもろこしは銀貨300。基本はそのまま売ったけど、乾燥させて保存食用として売っても良いみたい。魔法で乾燥させれば一瞬だからね。乾燥させた場合は芯から外して袋詰めで売る。


 じゃがいもは銀貨288。ジャガイモは保存がきくから流通させるのが楽でいいね。


 大蒜は銀貨1000。大蒜の芽が銀貨40。大蒜は儲かるけど大蒜の芽はあまり儲からない。捨てるのは勿体ないから売ったけどさ。


 西瓜は銀貨1500。いやー儲かった。流通させるのに手間がかかったけど儲かったよ。一個がでかいから一個当たりの単価は凄いんだ。さらにポコポコとたくさん取れるからね。


 農作物の合計はおよそ大金貨6枚、金貨3、銀貨62、銅貨4。もうざるで良いや。銀貨が何枚とか銅貨が何枚とか更に銭貨があるんだよめんどくさい。


 普通の農家なら年間でこの1/3くらいだよ。年収金貨2枚。そこそこな暮らしが出来るんだ。大森林なら税金を取られてもかなりの贅沢が出来るね。


 がんばればこの10倍にもなるからね。いくら南部でも冬季の2カ月くらいはなにも生産出来ないからね。

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