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第二章第十六話 姫様達がやってきた。

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第二章第十六話 姫様達がやってきた。



 帝都からやっと帰ってきたのに実家ではさらなる混乱が待ち受けていた。思いもよらない人物が待ち構えていたのだ。


 母様や姉様、果ては兄様までも大混乱している。とにかくお待たせする訳にもいかないので直ぐに会いに行った。


「これはこれは、姫様には初めてお目に掛ります。ミゲル・シュナイダーにございます。これは我が愚息サラ・シュナイダーと申します。我が家に姫様をお迎え出来たこと歓喜に堪えませぬ。我が家の誇りとなりましょう」


「サラ・シュナイダーにございます。殿下にお会いできましたこと光栄の至りでございます」


「うん。はじめましてじゃ。シュナイダー卿。私は第8皇女のティア・ルッケンバウムじゃ。サラ殿の婚約者として参った」


 いきなりの爆弾投下だ。聞いてないですよ父様みたいな目を向けるが父様にはあっさりスルーされる。もちろん父様も初耳に違いない。


「こ、これはこれは。殿下もご冗談がお好きとみえます。そのようなお話は陛下より賜る事こそ不敬になってしまいます。我が家はしがない男爵家でございますれば、御身分が違います」


「うむ。じゃな。しかし既に男爵となられたからには降嫁の条件を満たしたのじゃ。またさらなる陞爵も決まったのじゃろう? 問題ないのじゃ。2,3か月前だったかのう、父上様から話が有ったのじゃ。しかし降嫁の条件が揃っていなかったので進んでいなかっただけじゃな」


「姫様ぁ~。お話がまだ早いですよぉ~。婚約者候補ですぅ~。申し遅れました。わたくしも婚約者候補になりますぅ~。グリンダ・バウムと申しますぅ~。バウム公爵家第一公女ですぅ~。姫様とはいとこ同士になりますぅ~」


「ならば私もご挨拶申し上げる。帝国近衛騎士団近衛第一大隊特別警護侍女隊所属、通称戦闘メイド隊、第三小隊長 アイダ・カエザルであります。カエザル侯爵の次女であります。私も婚約者候補であります。姫様とは、はとこに当たります」


「「・・・」」


 さすがにどう対応していいのか分からなくなってしまった父様と俺。いきなり婚約者がぞろぞろと押しかけて来たんだからしょうがない。


 それも全員がうちより家格が随分上なのがまた悩ましい。むげに断ってお引き取り願う事が出来ないからだ。


「姫様方、申し訳ありません。さすがにどうしてよいものやら困惑を隠しきれません」


「じゃろうな。お気持ちはお察して余りあるのじゃ。皇族も一枚岩ではないと言うことじゃな。それぞれの派閥がそれぞれ婚約者を擁立した結果が現状じゃ。ああ、もう建前は良いのじゃ。ぶっちゃけるぞ」


「ティア様。ぶっちゃけるのはどうかと」


「アイダは黙っておれ。気真面目過ぎじゃ。こうも混乱したままでは話が進まん。おお、失礼したのじゃ。ミゲル卿。私達はこれでも幼馴染でな、そこそこ気易いのじゃよ。ええと、現帝室が擁立したのが私じゃな、バウム公爵派と教会が擁立したのがグリンダじゃ。そして両派閥のどちらにも所属していない皇族方が擁立と言いうか旨く行けばと言う思惑で送り込んだのがアイダじゃ。私付きの戦闘メイドで有ったのをこれ幸いと利用したのじゃな」


「ここでカチ合ってしまったのは、偶然でありますが他より先んじて婚約者を名乗りたかったと言うところでしょう。本当はまず私が先触れをして安全の確認をしてからのはずでしたが・・・。ティア様もグリンダ様の派閥も私が送り込まれるのを察知しまして慌てて一緒に送り込んで来たのでしょう」


「えぇ~とぉ~。世界樹と命の木は、重要なのよぉ~。ティア様とアイダには悪いけど引く気はないわよぉ~」


「まあ、待つのじゃ。何も妃は一人しか娶れない訳じゃなかろう? 私達が揉めて他の貴族家から更に送り込まれてくるのは得策じゃない。ここは和を持って事に当たるのが上策じゃと思うが。如何に?」


「私は問題ありません。お二人と争っても勝ち目があるとは思っておりませんでしたし、最悪子種を掻っ攫って来いとの密命でしたので」


「う~んとぉ~。しょうがないですかねぇ~。二対一では私もぉ~分が悪いですねぇ~。そこらで手を打ちましょうかぁ~。そうすると私は第二夫人かぁ~」


「ま、待って下さい。俺の意志とかそう言うのは・・・」


 思わず声をかけてしまった。不敬にならないだろうな~。


「皇族の嫁が来るのに拒否など有るものですかぁ~。それこそ分を弁えなさい~、と言うことになりますねぇ~」


「・・・。姫様方のお話ですとお三方とも娶れと?」


 苦し紛れに更に言い訳をしてみるけど。


「それが一番無難じゃ。と言ってもまだ他の貴族家の娘も来るじゃろうな。大丈夫じゃ。安心せい。まだ他には情報は漏れておらんから、当面は私達だけじゃ。聞くところによると既に側室もいるのじゃろ?」


「い、いえまだ側室候補と言うか何もしておりません。一緒に開拓をしているだけですから」


「ふぅ~。手が早いんだか奥手なんだか分からないですねぇ~」


「・・・。それはそうと姫様方はこんなところに嫁いで来るのはお嫌じゃないのですか?」


「嫌に決まっているじゃろう。しかし皇族に生まれたからにはその務めを果たすのに吝かではないのじゃ」


 はっきりと嫌と言われてしまった。


「え~と。うまくやっていけるかな~。とほほ」


「サラ殿。そなたが嫌な訳じゃない。ひひ爺ーのところに嫁がされるよりはましじゃ。しかし私はもう少し剣に生きたかっただけじゃ」


「そうですか。我が領は剣に生きるには最適ですよ」


「そうじゃな。大森林! それはもう凄いのじゃろうな~。期待が膨らむのじゃ。では早速行くのじゃ~」


「え。えぇ~。行くって今からですか? 姫様方を連れて大森林に!」


「そうですよぉ~。ここで引いたら元の木阿弥じゃないですかぁ~。まだ妃になっていないんですから油断大敵ですよぉ~。一時も離れる気はありませんからぁ~」


 グリンダ公女までノリノリだよ。姫様達は大森林が過酷なこと分かってるのかな~。


「い、いくらなんでも無理です。俺の首どころか父様の首も飛んじゃいます。本当に危険なんです。俺だってもう何回か死にかけましたから。Dクラスの冒険者の俺ですらですよ」


「Dクラスなら仕方ないのじゃ。私とグリンダはCクラスじゃ。アイダに至ってはAクラスじゃ。腕に自信があるからこそ選ばれたのじゃ。問題ないであろ?」


 ・・・。え~。俺よりランク上なのかよ。立つ瀬ないな~。伊達に剣の姫とか聖女とか言われてる訳じゃないのか。戦闘メイド隊所属じゃAクラスも頷けるけど。


「そ、そうです。そのようなヒラヒラした格好では、無理です。一度お戻りになって装備を整えてからがいいのではありませんか? ねえ。父様そうですよね?」


「う、うむ。姫様方に何かあったらそれこそ一大事。私は帝都にもう一度跳び詳細を確認せねばなりません。サラ、後は任せたぞ」


「えぇ~。ズルいですよ父様。お逃げになるのですか!」


「なにを言っておる。逃げるとは人聞きの悪い。話しをしてくるのだ。ええ~い。離さんか! シュナイダー家の男子足るもの、このくらいでうろたえるでない」


 姫様方をおいて父様はあっさりと転移陣を使い転移して行った。どうしろと言うのか。取り敢えず大森林に連れて行く訳にはいかないな。


 となると母様ごめん。心の中で詫びながら最悪ここにお泊まりして頂くしかないと腹をくくる。


「そ、それではですね。どうしましょう。装備を整えに戻られますか?」


「確かに、ドレスのままと言う訳にもいかんのじゃ。アイダ。そなた一旦戻って装備を調達してくるのじゃ。小一時間もあれば戻ってこれよう? グリンダの分も取って来るのじゃぞ。そなもフルアーマーじゃない軽装の方にするのがよかろう」


「はい。置いてきぼりは嫌でありますよ。サラ殿・・・いや、あなた待っていて下さいましね」


「・・・まだあなたは気が早過ぎるのではないでしょうか。もちろん待っていますから」


「では行ってまいります」


「では、あなた。親睦を深めるのじゃ。横に座っても良いであろ?」


「あらあら~、まあぁ。ならわたくしも横にお座りさせて下さいなぁ~。うふふぅ~。ティア様はお嫌とおっしゃっていましたけどぉ~、わたくしはそれほどでもありませんよぉ~。見た目はちょっと冴えませんがまあ及第点ですぅ~」


「もう! ずるいのじゃグリンダ。そうやって直ぐに付け込むとは。ごめんなさい。先程、嫌とは言ったのじゃがその、しょうがないじゃろ? だって何もないんじゃもの」


「ええ、お察しいたします。さらに我が領は森の中のあばら家です。姫様方ではとても耐えられないですよ。今少しお話がまとまってからでよいのではないですか?」


 いい話の流れだ。ここで時間稼ぎを試みる。


「そうですわねぇ~。そうしたいのは山々なのですが、派手に陞爵なさるから猶予がないと判断されてますよぉ~?」


「そうなのじゃ。他の貴族家も諜報が活発に動き出しておるから既成事実を作るしかないって言われたのじゃ。本当は私の姉様たちも候補じゃったが。でも流石に私の様に活動的ではないので私になったのじゃな」


「そ、そですか。普通は、姫様はそう簡単に動けないですものね。単身で良く来られましたね」


 くっ。流れを引き寄せられない。不味い方に流れていくだけだ。どうにか一旦戻ってもらわねば。


「ふふふ。だってぇ~、わたくしたちの侍女ってぇ~どこぞの貴族家の子女がほとんどのなのですよぉ~。さすがに下女を連れてくる訳にわぁ~いかないでしょぉ~? 義母さまの受けが悪くなってしまいますからぁ~。でもでもぉ~、ちゃんと侍女と護衛は準備致してますわぁ~。100名くらいになりますから転移陣だと荷物とか持ってこられないので後から隊列を組んでまいる予定ですわぁ~」


 ――っな! 100人の侍女~。ひょっとして3人とも100人づつ連れて来てるのか? 釘を刺しておかないと大侵攻で父様の領地どころか南部域が沈んじゃう。


「・・・え~と。ご説明致しますね。大森林に人をあまり送り込めないのはご存知ですか? お一人方辺り100名も連れ込まれると大侵攻が起きてしまいます。ですので人数は搾ってもらわないと大変なことになってしまいます」


「そ、そんなぁ~!? では湯浴みや着替えはどなたがして下さるのですかぁ~?」


 おっ、また流れがこっちに来た! 押し戻せるかもしれない。


「・・・ご自分で出来ない様なら大森林ではなくこちらでお待ち頂くことになるかと思います」


「「・・・」」


「護衛はアイダの隊にお願いするとして3人位なら良いじゃろう?」


 妥協案を出して来たな。ここで頷いたらダメだ。もう戻れなくなる。一気に片を付けるんだサラ。


「出来ましたら、お一人でお願いします。どの位の人数で大侵攻が起きてしまうか分からないのです」


「「・・・」」


「では、アイダの隊から副隊長ともう一人。グリンダの方は教会の神聖騎士団か?」


「えぇ~と、神官団からお一人腕の立つ方をお願いしようと思います」


 不味い! 勘違いしてる、さらにとどめのために訂正しておかねば。


「あ、いや、お一人と言うのはご自身だけという意味で。既に私を含め6人で開拓を行っています。申し訳ありません」


「「・・・」」


 よし。悩んでる。ここで一旦戻れることを強調して逃げ切る。大森林にこもっちゃえば後は父様が何とかするだろう。


「やはり、一度お戻りになった方がよろしいのでは?」


「ただ今戻りました。マジックバッグに色々詰めてもらってきました。・・・どうかなさいましたか?」


「どうやら単身で大森林に行かなくてはならない様じゃ。アイダだけが頼りじゃ」


 不味い所で、アイダ姫が、戦闘メイド隊なら自分で何とかしちゃいそうだ。


「・・・私も市街地訓練までしか受けておりません。野外訓練を省いて侍女訓練をしてまして森はいささか不安であります」


 ナ~イス。アイダ姫も駄目な様だ。


「「・・・。あなた様だけが頼りです。どうぞお願い致します」」


 うっそ! 諦めてない!? 俺にどうしろというのですか!


「・・・。え~と着替えとか湯浴みとかは・・・俺ですか?」


「夫婦になるのじゃ。何も恥ずかしい事はないのじゃ・・・と思う」


「アイダ姫、お願いします。助けて下さい」


「出来る限りはお仕えいたしますが、私も面倒を見てもらっている側ですので下女が居ないと・・・」


「「「・・・」」」


 俺にどうしろと言うんですか。諦めるという選択肢を考えていない。神よ。魔獣と闘うより難易度が高いです。


 あ~、皆に頼めるかな~。ダメだろうな~。この三人の不安そうな顔を見ると見捨てる訳にもいかないし、連れてかなきゃだめなのかな~。父様なんとかして。


 取り敢えず母様と姉様に頼んで着替えを手伝ってもらい、一応ヒラヒラドレスからピカピカ装備に着替えて貰いました。さすがは皇族方だ。装備は一級品ばかりだ。


 まだ一度も使われていないのではと思うくらいのピカピカ装備だ。もちろん剣の姫様は片手剣、聖女様は錫杖、戦闘メイドさんはロングスピアをそれぞれ装備していらっしゃいます。


 もちろん魔法の品の様です。性能はその内分かるでしょう。


 もう父様にかけるしかないと諦め、母様や姉様も交えてお茶を楽しんでるとしばらくして、やっと父様が戻ってきた。


 酷くお疲れの様だ。奮戦虚しく敗れた様ですね。そうするとこのまま連れて行けってことになるんでしょうか。


「と、父様!」


 思わずすがり付くような声になってしまった。だってこのままじゃ酷過ぎじゃないですか。一旦連れ帰ってほしい。切実に思います。


「う、うむ。そのな、分かるであろう?」


 分かりたくないです。どう言ったつもりで娘達を預けてるんですか! ちょっとは心配じゃないのですか? 大森林は危険なんですよ。ちゃんと言ってくれましたか?


「お試し期間だと思って、行ってこい。どうにもならん。陛下はともかく周りの長老やらがもう凄くてな口すら挟めんかった。どうやら直に確かめたいらしい。世界樹と命の木がある事を」


「そうですか。仕方ありません。見て直ぐに戻ってくるなんて事も有りですよね?」


「すまんな。貴族家や皇族の娘が外に出たらもうお手付きになってる事が確定してしまう。実際がどうであれな。よって連れて行ったら姫様方は傷物扱いだ。娶るしかあるまい?」


 全然お試し期間じゃないじゃないですか~。やだ~。なるほど。そう言った逃げ道もない訳だ。展開が早過ぎる。


 策謀合戦では、俺達なんて子供の手を捻る様なものらしい。あっちに着いてからどうしたらいいんだ。

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