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第二章第十三話 収穫そして女子会?

第二章第十三話 収穫そして女子会?



 翌日には、試験農場でもう花が咲き始めていた。既に葉っぱは青々と茂り太陽の恵みをいっぱいに受けている。ゴーレム達が頻繁に水場を行き来して水蒔きをしてくれている。


 自分でやってるんだけどね。小麦はそんなに水はいらないんだっけかな。まあドライアドさんが何とかしてくれるだろう。


 なんて素敵なんだ、精霊さん。言っておくけど世界樹のお陰らしいからね。そこら中でドライアドさんが助けてくれる訳じゃないから。


 普通は木の伐採とかするとドライアドさんに嫌われるんだけど、ここでは世界樹を圧迫して来ている木は少し間引いてほしかったらしいんだ。特に世界樹の周りは、広く取りたいらしい。


 それと貯まり過ぎている養分も消費したかったから願ったりかなったりなんだって。秋ごろにはまた落葉も始まるからそれまでに溜まった分とこれから溜る分を消費してくれって言われたらしい。


 リュディー談。周りの木で消費してたら今度はそれがマナ溜りになって魔獣が増えたりして邪魔になるし、草で消費しようと思ったら逆に回転が速くて養分が溜まっちゃうで困ってたらしい。


 逆に言うと世界樹の落葉による滋味でこの大森林は出来上がってるんだって。早めに放牧も始めないとダメかな~。世界樹が何百年ここに在るのか知らないけど消費出来るかな~。


 南の農園も持って来た種を全部蒔いてしまおうかな。しばらくは放ったらかしでもドライアドさんが面倒みてくれるらしい。


 ・・・ドライアドさんの暫くって人間の言う暫くとどのくらい違うんだろう? はは、うん。大丈夫だよ~。きっと。


 あっさり受粉も完了したみたいで翌日にはスイカと大豆が実を付けてた。昨日農園に蒔いた種もあっさり発芽してるし、麦踏み麦踏みっと。


え~と、スイカの実ってこんなになるんだっけ? 枝豆も鈴生りになってるしどうしたもんだろう。


 恐ろしい事に、試験農園だけで凄い収穫になりそうだな~。今付いてるちっさい実が全部大きくなるんだよね。単純にみんなは喜んでるけど平気かこれ?


 そうだ! 氷室作って保存出来るようにしなきゃ。こんだけ鈴生りってことは、売るにしても食べるにしても間に合わない可能性もあるな。


 氷魔法で冷やして、時空間魔法で時を止めて・・・はまだ無理だから時を遅くして・・・も無理だから氷室作って貯蔵庫にしないと。


「ねえ。しばらく放っといても大丈夫そうだからさ。氷室とか貯蔵庫とか作ろう。どうやら収穫が多そうだよ」


「そうだな。氷室を掘れるような崖は遠いから地面の下だな。なら、穴掘りは私とアンジュでやろう。他のみんなは貯蔵庫を建ててくれ」


 マイヤとアンジュが氷室を作ってくれると立候補してくれた。


「貯蔵庫の下に氷室を掘れば便利だよ。ひひひ、貯蔵庫を作れば寝室も広くなるしね」


 なるほど。氷室は実際には氷魔法で冷やすから貯蔵庫にもその冷気は上がってくるから一石二鳥なナイスアイディアだな。今は寝室が貯蔵庫になってるから寝る場所を圧迫してたんだよね。


「やっぱりお家の傍に貯蔵庫を建てたいよな。そうすると氷室もそのすぐ下になるけど世界樹の根っこは大丈夫かな? リュディー、ドライアドさんに聞いてみてよ」


「うん。いいよ~。聞いてみる。・・・・・・大丈夫だって。根っこも張り過ぎちゃってるから多少ぶった切っても問題ないってさ」


 こうして収穫量が大幅に見込めそうなので、貯蔵庫および氷室製作を開始する。おうちに戻って、竈スペースの横に建てることにした。


 まずは建設面中央やや後方より辺りにマイヤが穴を掘り始める。ミヤは世界樹に立てかけてあった丸太を平板に加工して材木を作ってくれるらしい。


 俺達は材木を運んだり掻き出された土を運んだり丸太の皮を剥いだりと雑用をしながら基礎を組み始める。もう慣れたものでどんどん進めて行ける。


 マイヤが2㎡で、自分のお腹位まで縦穴を掘った後、ここから斜め下に向かって掘り進めて行くから周りの補強をしてくれって。


 2㎡の縦穴の周りの土を押し固めてそう簡単には崩れない様にしてから、平板を横に渡していく。縦に角材を打ち込んで横板を固定して入口の補強は完成した。


 後は貯蔵庫組が貯蔵庫から階段を付け周りを覆ったら地下貯蔵庫兼氷室の完成になる。マイヤが斜め下やや急に、横穴を掘り進めて行く。


 その後ろで地面を固めて補強の横板、天板を角材で固定していく。俺も地面の補強組に参加してるんだ。地面をやわらかくする魔法が有効だからね。


 やっぱり世界樹の根っこが張り巡らせてるけどマイヤはそんなのお構いなくガツガツ掘り進んで行くもんだから根っこの屑と土が混じった土をどんどん運びださないといけない。


 そろそろ暗くなってきたのでライトの魔法を壁にかけて、リュディーが光の精霊さんウィルオーウィプスを呼び出してマイヤの傍に飛ばしておく。


「ああ、ありがとう。サラ。どうだろう? そろそろ広げて行こうか。ここにまずは大部屋を作ればいいな。足りなくなったら追加で小部屋なりを足していけばいい」


「そうだね。周りの土と天井の土は押し固めてから氷魔法で地面ごと凍らせちゃおう。そうすれば崩れ難いだろうし。こっからは慎重に掘っていこう」


 マイヤが掘り進め、直ぐにアンジュが土を固める。そこに俺が氷魔法をかける。すかさずマッドゴーレムが補強の板と角材を渡してくるので天井をドンドン補強して角材で固定していく。


 これを繰り返して広げて行く。4㎡ほどになった所で仮の補強ではなく天板をしっかりと保持するために2m置き位に丸太で柱を建てる。


 8㎡、高さ2mの地下空間の出来上がりだ。中央に転移目印を設置しておけば転移で大きなものでも収納可能だ。


 地上に出てみると、貯蔵庫はまだ建設中だった。屋根葺きが残っていたので手伝うことにする。貯蔵庫も高床式になっている。


 地下の氷室とは屋内の階段で繋がっており、氷室との階段は壁を作って外気が流れ込まない様にしてあった。


 貯蔵庫と氷室の製作に2日ばかりかかったので、久しぶりに試験農園を見に行くと、おお。既に枝豆とかスイカは食べごろな大きさになってる。


 きっとジャガイモやトウモロコシ、大蒜も十分育ってるに違いない。ここまで早いとビックリしちゃうな。


「わお。もう収穫出来るじゃないかな。えっ! リュディーダメなの? まだだって!」


「うん。ドライアドさんがまだだよって言ってる。まだ生長途中だって。後2日か3日位だってさ」


「そうなんだ。OKちゃんとしてから収穫しよう。凄い鈴生りだね。トウモロコシの幹なんて10cmくらい有るんじゃないかな。上の方はどうやって取ろうか? 4mくらい有るな~」


「後3日くらいなら、男爵領までの道を広げて道の両側にも外壁を作っちゃおうよ。そうすれば道の中まで魔獣や獣が入ってこないから普通の人でも行き来できるようになるよ。そんでニコラスのあんちゃんの行商路に追加してもらおうよ」


 ミヤの提案を受けて試験農園は放置する。


「うんうん。それいいね。後はゴーレムとドライアドさんにお任せしとこう」


 俺たちも連日のようにゴーレムをフル稼働させてるから魔力もどんどん上がってる。同時に二つ三つの魔法も使ってるから魔力操作の腕も上がってきたよ。


 北門まできて、門から直接外壁を伸ばしていくことにする。北門の直ぐ外に四方が門になっている広場を設けて、万が一外から領民が逃げて来たりした時に出入りが出来る様にしておこう。


 マイヤ・ミヤの剛力コンビが左右に分かれて伐採していく。アンジュ・ヤルルーシカの怪力コンビが丸太の加工と運搬をして、俺とリュディーの魔力コンビが丸太を立てて外壁を道にまで延長していくサイクルだ。


 外壁と違って、ロープで縛らない事にして高さも外壁の2/3位までにしたよ。それと、びっしり丸太を並べずに大型の獣が入ってこれない位の隙間を空けながら立てて行くことにした。


 さらに丸太の柵から2mくらいは伐採してしまって木の枝が道にかからないようにした。枝がかかってると上から侵入されちゃうかもしれないからね。


 作業開始から3日、行きも帰りも転移を使ってるから、移動時間が大幅に削られて作業時間が増えたことでかなりのハイペースで作業が進んだ。完成までは後2日もあれば完了するだろう。


 でもドライアドさんが言ってた3日が過ぎたから明日は作業を休んで収穫するんだ。全員ワクワクドキドキが止まらない感じ。そわそわして鎌の手入とか何回もやってるよ。


 う~~、普通の農家さんに比べたらインチキの様に手間がかかっていないけど、素人がやり始めた農業はそれなりに大変だったんだよ。


 土をひっくり返すだけでも重労働だったし、畝を作ったり盛り土をしたり雑草は生えないけど薬草が生えてくるからゴーレムと一緒に薬草収穫。これが直ぐに生えてくるんだ。


「明日は楽しみだね。初収穫だよ。僕は収穫は初めてだよ」


「へへへ。リュディーも人生で初収穫だよ。エルフ特にダークエルフは狩猟や採取はするけど畑は作らないからね」


「ここに居る人間はみんな初収穫なんじゃないか? 私とサラが多少手伝いはした事がある位だろう?」


 マイヤが確認して来る。マイヤは収穫した事があるんだね。


「ああ、俺も家の庭で収穫の手伝いくらいしかやってないな。結構甘やかされてたな」


 「ひひひ」「へへへ」「ふふふ」「ハッハハ」とか不気味に笑い合っている。でも本当にみんな楽しみでしょうがないんだ。自分で作物を育てた時の収穫はもう別物だね。


 なんか笑いが止まらないんだ。苦労した報いの時だからだね。手に出来たマメの痛みも懐かしい。癒しで直ぐに直してもらっちゃったけどさ。


 またみんなが風呂場で固まってごにょごにょやってる。なんか仲間はずれで寂しいけど一人でゆっくり出来るのは滅多にないから放っておこう。



     ◇     ◇     ◇



「明日は収穫だ。結局あの後、ぐずぐずしてしまって練習に入れていない。皆も気になっていたと思います」


「う~~。明日のお祝の前に今日やるんだね! アンジュ。リュディーは後で良いから」


「ベ、別に私は気になってなんかいませんわ。アンジュがどうしてもって言うなら付き合いはしますが!」


「収穫が上がって、食べるのに困らなくなったら次は子作りだと思う。まずは練習が必要です。そして今日はサラに宣言をしておこうと思います!」


「うん。宣言しちゃったらもう後戻りはできないもんね。で、誰が言う?」


 ミヤが確認して来る。


「「「・・・」」」


「と、当然、一番槍をするアンジュだろう。さあ、行け!」


 マイヤがアンジュにぶん投げる。


「何か腑に落ちませんが仕方有りませんね。サラにはすっきりして収穫に挑んで貰いたいですので」


「コ、コホン。サラ。その、何です。あ、あのですね。今日は練習をしたいと思います。ど、どうでしょう?」


「うん。いいよ。転移魔法? 多重展開魔法が良い?」


「い、いえ。魔法の練習ではなくてですね。そ、そのだいぶ前になってしまいましたが、こ、こ、子供の話をし、しましたよね?」


「ああ、作付面積を出すときのことだよね。でも余分に作っちゃったから何の問題もないよ。それがどうかしたの? なんか顔が赤いけど、またのぼせちゃったんじゃないの? 早く上がった方が良いよ」


「ち、ちが、違います。まだのぼせてはいません。そ、それでですね。こ、子作りのれ練習をしてはどうかと。て、提案してるわけです。はい。あ、あ、あたしが、さ、さ、最初に練習に付き合います」


「へっ? なんだって? ここ作り? 拠点の事?」


「あ~、もう。違うよサラ。子作り。子供の作り方を練習しようって言ってるんだよ」


 じれったくなったミヤが突っ込んで来た。


「な、な、何で急にそんなことになってるんだよ!?」


「急じゃないさ。随分前から話してたんだ」


「じゃ、じゃあ。キ、キッスとか、し、しちゃうんだ。初めてかな俺。手も繋いだし、ハグもしたから次はそうだよね」


 ぴしっと音がしそうなくらい皆が固まった。全員がアイコンタクトを取りながら、耳年増にありがちなミスに気付いたのだ。


 手順が抜けていた。一気に子作りに話が傾いてしまったため失念していたのだ。


「やっぱり。外かな、家でする物なのかな。夜景を見ながらとかなのかな? そしたら朝とか目を覚ましたらまたするのかな。ど、どんな感じにする?」


 なんかごにょごにょ照れならがらサラが言っているが既にみんなの耳には入っていなかった。どうする?


 思っていたよりサラがお子様だったことも手伝って気まずい雰囲気が女性陣の中に流れる。


「そ、そうね。サラ。こんな場所だし星空を眺めながらが良いんじゃないかしら」


「そ、そうだね。うん」


 不毛な時間が過ぎ去っていく。結局星空を眺めながらソフトキッスをする段になって、モジモジするサラの唇はあっさり奪われたのでした。


 翌日、一番に目覚めたサラがおずおずとソフトキッスで皆を目覚めさせてから収穫に向かうことになった。子作りへの道は果てしなく険しいと思う女性陣一同で有った。



     ◇     ◇     ◇



 試験農場に着いた一同は、唖然として畑を見つめる事になった。ドライアドさん達がガッツポーズで俺達を出迎えてくれていた。


 青々と生い茂った作物達、たわわに実っている収穫物。予想以上の実りを迎えて喜びの声を上げることも出来ないまま時は過ぎて行く。


 デカイ! デカ過ぎる! 量もさることながらその大きさが尋常ではなかったのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公は最初の盗賊に襲われていた街での歓待で、割と性に対しても積極的で、朧げながらとはいえ前世記憶もあることで経験以上の知識があるように見えたのに、だんだん幼児退行していっているのは、なぜだ…
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