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第一章第一話 仲間探し

農業の話のはずがまだ農業始めてないってど言うことだろう? 読者舐めてるな作者は。なんてね、てへ。農業始める前の前準備段階です。主人公が非力なため準備が必要でした。作者のモチベーション向上のため評価感想などなどお待ち致しております。

第一章第一話 仲間探し


「うーん。もう朝か。昨日は冒険者の基本を叩き込まれたから思ったより疲れたな」


 朝の身支度を整え、屋台で朝食を購入して済ませる。ここに来るまでの旅で思い知ったが、辺境は一人では危険過ぎるので仲間を募ろうと思う。


 Nランク(ノービスランク)のままだが当たって砕けよう。今後の事をつらつらと考えながら冒険者ギルドに向かうことにした。


 冒険者ギルドでは昨日の受付譲とは違う受付嬢になっていた。


 昨日の人よりもふてぶてしい。机に片ひじをついて頭を支えながら髪の毛を弄っている。基本受付嬢は皆美人だ。どうしても敬語になってしまう。


 ――っつ、あの村で捨てられなかったのが響いているな。などと思いながら話しかけた。 


「おはよう。今日はあなたが受け付けですか?」


「ん? そうだよ。おお、昨日のノービス君。まいどあり~」


 どうやらカモだと思われているようだ。仲間を募ろうと思っている事を告げると、ははは、ノービスと組む人なんていないよ~。なんて軽く言われた。


「うん。軽く依頼をこなしてFランクにしてからの方が良いよ。そこの掲示板に依頼票が貼ってあるから見てきなよ。ノービスで出来る仕事はあんまりないからギルドからのお試し依頼を受けるといいよ」


 お礼を言って掲示板の方へ移動する。掲示板には様々な依頼があった。それぞれランク分けされて掲示されており、さらに依頼票には希望ランクまで書かれている。


 確かにノービスの依頼はないな。この端っこにあるのがお試し依頼か。採取依頼だな薬草一個を採取してくることか。仕方がないなこれをやっておこう。


「この薬草採取でお願いします」


「ん? いいけど...君、薬草の見分けつくの?」


 がーん。確かにつかない。どうしよう。お試し依頼すらこなせない。俺ってダメ人間なのか? いやいや、そこまでじゃないだろう。


 俺が途方に暮れていると。受付譲さんが机の下でがさごそと何かをあさっている。


「ほれ。これが薬草だよ。よく見て覚えてね。葉っぱの形とか根っこの形。基本どこにでも生えてるけど水場の傍が生えやすいかな。日当たりはほどほどの所だね。群生地なんか見つけたら一個じゃなくて十束にしてまとめて採取しておいで。Fランクになると十束まとめた依頼になるから。そんじゃいってらっしゃい」


 受付嬢のお姉さんに送り出され、街の外に出た。さてどこに行くべきか。しばらく悩んで川べりではなく山の方に行くことにした。


 川べりの方は多くの冒険者が行くのでもう無いのではないかと予測して、山の湧き水辺りを目指すことにしたのだ。街の近くなのでモンスターに襲われることは稀でひたすら歩くしかない。


 一時間ほど山に向かって歩いてから山中に分け入る。さらに一時間ほど山の中を彷徨ってとうとう岩から水がわき出している場所を発見した。


「この辺りで探してみるかな。おお、やっぱりあるある。お試し依頼用に一本と後は十束まとめてだったな。んんん? これ薬草に見えるけど大きいな、試しに取っておくか」


 薬草二十束と一本、若干大きくて緑が濃い物を十本採取して街に戻る。ちょうど昼前には到着できた。行きは二時間ほどかかったが帰りは一時間半ぐらいで済んだ。


 採取には半時ほどしか掛ってないから四時間掛った事になる。朝早くに出てきたつもりだったが、ギルドで時間を食っていたらしい。


「取ってきた~。これがお試し依頼用です。あと沢山あったので束にしてきました」


「どれどれ~。うん、よし。お試し依頼完了。この束はよしよし。合格だね。あれ? この束は何かな?」


「あ、それは薬草に見えたんだけどちょっと大きめで緑が濃かったから別にしてきたんですよ」


「ほほう。やったね。これ上薬草だよ。薬草より効能が良いんだよね。ノービス君やるな~。よしよし。えーとまずお試し依頼完了っと。Fランク薬草採取依頼二回分とFランク上薬草依頼一回分でしめて銅貨七十一枚ね」


「そこそこの金額になりましたね。薬草採取で食っていけるかな? ...無理か、もう生えてないもんな」


「ふふ。捜せばまだまだあると思うし、直ぐに生えてくるからそこそこ生活は出来ると思うよ。ん! なら薬草からキズ薬とか作ってみるかい? さらに高く売れるよ」


「おお! 簡単に出来るんですか?」


「簡単ではあるけど失敗もするよ。慣れてくれば失敗はしなくなるね。どうする? やってみる?」


「うーん。・・・やってみようかな」


 ギルド内の薬師部門に連れていかれ、そこで薬師スキルなる物の取得をさせられた。何回かの試行錯誤の後どうにか取得。同時に識別のスキルに目覚めた。


 スキルは取得条件が確認されていれば簡単に取得出来るかどうかチャレンジできる。


「おいおい、どうなってんだ。識別まで取得しちまったぞ。こいつはレアスキルで取得条件未確認なんだぞ」


「はあ。そう言われましても」


「まあ、そうだな。困るわな。お前もなんで取得できたか分からんものな。ハハハ。まあ、そいつは置いておこう。薬師スキルを取得できたからそれ、お前さんが採ってきた薬草で試してみな。傷薬になれば成功だ。燃えカスみたいになったら失敗だ。普通に新人だと70%位の確率で成功するはずだから。ほれほれ」


 自分の中のスキルを活性化させ、手に持った薬草十束・・・・にスキルを発動する。


「ちょ、ちょっと待て! 一個づつでいいんだ! ああ、やっちまったか」


 僕の手の中で光り輝く薬草。光が収まるとコロコロとした丸薬の様なものが十一・・個出来上がった。


「ああ、良かったな。最初の一回が成功で。おまけまで出来たな。物にもよるんだがある一定数以上まとめて作るとおまけが出来るんだよ。さらに上達するとワンランク上の上傷薬になったりもするぞ。精進しろよ」


 そして傷薬、二十三・・・個と上傷薬、十一・・個が出来上がっていた。これらを持って受付嬢さんの所に戻ると。


「おやおや、全部うまくいっちゃったのか。幸先いいね。よしよし。お試し依頼はキャンセルして傷薬の納品二回と上傷薬の納品依頼を完了にして、傷薬二十個、上傷薬十個は受領っと端数も引き取るけどどうする? おーけーおーけー。傷薬納品五十が二回で百、上傷薬納品で二百五十、傷薬の端数が三で十五、上傷薬が一個で二十五っと。しめて銅貨三百九十枚なり~」


「ええ~! いきなり金額が跳ねあがりましたよ」


「ひひひ。ですよー。加工したから五倍の値段に跳ね上がるのだよ。お得でしょ? 実は新人さんには皆薬師スキル薦めてるのだよ。取得できるのは十人に一人くらいだけどね。さてノービス君、ギルドカードを提示してくれたまえ。よいしょ。はい、これでFランクに昇格」


 唖然としている俺にお金とギルドカードを押し付ける。はっと我に帰った。そうだ仲間を集めないとと思いたち、再度仲間募集をかけて貰う。募集内容は辺境南部大森林地帯の開拓とした。


 受付のお姉さんがえ~、開拓~、なんて言ってるが気にしない。募集をかけて貰ってる間食事に行くことを告げ、冒険者ギルドを後にする。


 食事を終えて街中をぶらぶらしてから冒険者ギルドに戻ると受付のお姉さんが手招きしてる。近寄ってみると何人か来たよと教えてくれる。早速会ってみることにした。


 僕の目の前には小汚い小僧が一人。上目遣いに俺を見ながら俺に冒険者カードを提示している。カードにはNランクとの表示。


「うーんとね。この子さっき登録したんだけどボロボロの銅貨で百枚。数えるのが大変だったよ。きっと孤児の子だと思う」


 こっそり俺に教えてくれた。孤児で銀貨一枚分を貯めるのは相当に大変だったろうと思う。ガッツはある。頭に飛び出ている耳? 気になるが色々聞いてみよう。


「え~と、まず自己紹介な。俺の名前はサラ・シュナイダーだ。女みたいな名前って言うなよ。気にしてんだからな! お前は?」


「...アイキ。」


「じゃあアイキ、何で応募したのかな?」


「このくそったれな街を出て行けるからさ。兄さん南部の騎士爵領に行くんだろ?」


「あ、ああ。隣の騎士爵領に行ってから南部の大森林だな。大森林は結構危険な場所なんだが戦闘経験とか開墾経験とかないよな?」


「やった! うん、その辺はないけど逃げるのは得意さ。危ない時とか危険な場所とか何と無く分かるんだよ」


「へ~。便利だな。ただ、逃げちゃ駄目な場合もあるからどうすっかな。ここで基本の講習受けられるか? 俺も受けたんだけど」


「...金がもう無いよ」


「そっか。スキルとか魔法の取得状況を確認しないと何とも言えないな。行っても役立たずじゃ困るからな。じゃあさ、まずクエストに行って来い。薬草採取だ。そんで薬師スキルとってギルドに買い取ってもらえ。俺も今日やったけど四時間で銅貨四百枚位になったぞ」


「うそ! それホント? すぐ行くよ。すげ~。大金持ちになれるな」


「ははは、その様子なら南部の大森林まで行かなくても大丈夫じゃないか? わざわざ危険を冒す必要はないぞ」


「あ、サラ兄ちゃんごめん」


「気にするな。今言ったことは受付のお姉さんに教えてもらえることだからな。じゃあな、縁があったらまた会おう」


 一人目は即行で決裂した。あの耳みたいなの聞き忘れたな。まあ良いか。次はどうかな。


「つぎの人は?」


「え? もういないよ。サラ(・・)ちゃんがFランクって言ったらいなくなっちゃったよ」


 ニヤニヤしながら名前を強調している。苦虫を噛み潰した表情になってると思う。だから名前を言うのは嫌だったんだ。


「で、お姉さんの名前は?」


「おやおや~、もう口説く気ですか~。私の名前を聞くにはちょーっと早いかな~。ふふふ」


「...」


 もういいや。このお姉さんともすぐ会わなくなると思うから。


「じゃあ、俺はまた薬草採取に行ってきますよ。薬草以外はあります?」


「え~。怒っちゃった? この辺で採取できるのはあと毒消し草、猛毒草、魔力草位かな。サンプル見せるよ」


 また机の下から出した薬草類を確認して覚える。それぞれ採取し易い場所を聞いて明日朝にまた来る事を告げ、冒険者ギルドを後にした。


 晩飯を購入してまた山に向かう。門番に閉門時間を確認してあまり遅くなるようなら帰ってこない方が良いなと思いながら採取に励む事にする。


 結局、一晩中採取することになった。群生地を見つけるのに時間がかかってしまったからだ。諦めて帰ろうかと思ったら凄い所を見つけてしまって結局全部採取するのに時間がかかったのだ。


 ま、まあモンスターにも襲われたんだけどね。これで夜間は危険なことを学習した。


 襲ってきたのはヘビの魔獣だ。尻尾が二股に分かれていて色が赤い。大きさは2m位あったかな。毒がありそうだから戦いたくなかったんだけど採取に夢中で接近に気づくのが遅れてしまった。


 気付いた時にはもう背後から飛びかかって来ていてかろうじて頭を掴むことに成功したけど胴体には巻きつかれてしまった。


 そこからはヘビ魔獣と体力勝負になったよ。奴はぎりぎりと俺の胴体を絞めつけてくる。俺はゴロゴロと転がりながらヘビ魔獣の頭を地面にたたきつけてやった。


 どのくらいそうしていたのか双子月がもう中天になっていた。最後、木にヘビ魔獣の頭を叩きつけたら奴から力が抜けて行った。


 一応やつの頭を剣で落として核を入手。...兎魔獣と同じような核だった。


 暫く休憩してからまた採取を再開して朝方戻ってきた所だ。宿に戻ってお湯を貰って体を拭く。朝食代わりの屋台料理でお腹を満たしてから薬師スキルを発動した。


 かっー! 髪を掻き毟りながら叫んでしまった。これが失敗か。ほんとにゴミになってしまった。


 薬草十束を無駄にして、傷薬三十三個、上傷薬十一個、毒消し十一個、魔力回復薬二十二個を作った。しめて銅貨四百六十枚。


「今日は最初の受付譲さんなんだな。おはよう」


「あら。おはようございます。どうですか調子の方は?」


「へへ~。昨日の姉ちゃんに薬師スキルを薦められてそこそこ稼いでるよ。それより仲間募集してんだけどどんな感じ?」


「...えーとですね。その~。...」


「え? 聞こえないよなんだって?」


「...ゼロです」


「...」


「...」


 ...きっと聞き間違いだな。うん。そうだそうに違いない。いやいや、姉ちゃんの勘違いかもしれん。...。姉ちゃんの顔が申し訳なさそうにうつむいてる。


 勘違いじゃなさそうだな。どうしよう。もう少し待つべきか。いや開墾にどのくらい時間がかかるか分かんないから早めに始めたいしな。


 今日は徹夜明けだから明日出発前に聞いて、いなかったら諦めて一人で始めよう。うん。それしかないな。


「...じゃあ、明日また来ます」


「気を落とさないでね。時期が悪かっただけだと思うから」


 時期関係ないと思うけどそんな慰めの言葉を受けながら、冒険者ギルドを後にする。明日帰ると決めたので旅の準備をする。


 保存食は多めに二週間分を購入して、ついでに一番安い皮鎧も購入しておく。昼には準備を終えてしまった。


 馬は勝手にその辺の草を食うだろうから特に何も購入していない。水を入れる樽だけは購入しておこう。


 俺は宿屋に戻って寝ることにした。ゆっくり休んで翌朝旅の準備を整えて冒険者ギルドを訪れた。ちょいとふざけた受付のお姉さんが俺を見るなり腕全体を使ってバツ印を表現している。


 うん。こんなもんだ、俺なんて。泣くもんか。逆境には慣れてるさ。受付のお姉さんに帰郷することを告げ、仲間募集の依頼は取り下げてもらう。


「じゃあな、お姉さん。たまに更新に来るよ」


「はいな~。気をつけてがんばってね」


 哀愁漂う背中を見せながら冒険者ギルドを去る俺だった。

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