第二章第五話 開通そして拠点へ
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第二章第五話 開通そして拠点へ
更に二日ばかり伐採して、とうとう開通した。ここから走って行けば一日で拠点につくはずだ。なのでちょっと早いけど一旦休んで明日朝から行くことになった。
拠点に着けばお風呂があるのでお湯玉は我慢してさっさと寝る。翌朝は皆早起きだ。心なしかわくわくしてるような気がする。ここからは魔獣の領域も通るので完全装備に着替え準備万端だ。
索敵陣型を組み、やや早めの進行速度で道を進んでいく。マッドゴーレム達は整地作業と切り株や丸太などの運搬作業をさせている。
道を切り開いたとはいえ、魔獣の領域に入った途端襲撃の頻度が跳ね上がる。いや、逆に切り開いたからこそ襲撃の頻度が上がったのかもしれない。
見通しが良くなり遠くからも獲物の姿を確認できるようになったため魔獣の襲撃が増えたのかもしれない。
出来たら今日中に魔獣の領域を抜け、世界樹の圏内に入ってしまいたいところだが、如何せん襲撃が増え過ぎている。
まだ魔獣の領域に入って間もないため、それほど力のある魔獣が襲ってきている訳ではない。ただ数が多いだけだ。
こちらもアンジュが増員されているので大して苦になる訳ではないが、進行速度は遅くなる。毛皮を剥いだり、食肉を確保するためだ。
まあ、肉としてはそれほど上等な物が手に入っている訳でもないので打ち捨ててしまっても良いのだが、いつ捨てても良いので予備として確保している。
昼食を終えしばらく進んでから、周囲の森から不穏な気配がしだした。どうやらとうとう厄介な相手に目をつけられてしまったようだ。
グレーハウンドウルフの群れに追跡を受けてるのだ。最初はただのグレーウルフかと思っていたが、一向に姿を現さず非常に慎重だ。
こちらが速度を落とすと周囲を囲んで逃げ道を塞ぎにかかる。これは大分知能が高いと判断したのだ。
「うーん。どうする? こいつらたぶん諦めないと思うよ。数も結構いるみたいだし」
ミヤが索敵を総動員して敵の動向を探る。
「マイヤやれそう?」
「無傷とはいかんと思う。下手したら一人二人はやられるかもしれん」
「・・・それって俺の事だよね? じゃあ一旦、木の上に避難しよう」
「もう、降りられなくなるぞ?」
「仕方ないよ。姿を現さないんだから。対処のしようがない」
「上からならリュディーの弓で仕留められるだろ?」
「あいつら避けるんだよ~。動きが早いし弓構えると木の陰に隠れたり、厄介なんだよね」
一旦、木の上に逃げることにして、全員が木に登ろうとした時、そいつは姿を現した。俺達が木の上に逃れようとしているのを察知した数頭がいきなり襲いかかって来たのだ。
気配も唸り声もなく横合いからそれは突然であった。狙いは一番小さなミヤ。しかしミヤは察知していたようだハルバードを横薙ぎに振い数頭をまとめて仕留める気であったのだ。
驚いた事にミヤの斬撃を掻い潜り、さらに内側に食い込んでくる。先頭の一頭が血まみれになって吹き飛んだ。
アンジュの双剣による高速斬撃が切り刻んだ。その他はマイヤの拳をかわし、速やかに退避して行く。
初めて見たグレイハウンドウルフは、通常の狼の1.5倍程で四肢や首が太く、そして額に一本の角が生えていた。
その角は丸い円錐型ではなくまるで刀の切っ先の様な形状、刃渡り15cm程になっており、突く、斬る共に出来そうだった。
一番お荷物になる可能性が高い俺が最初に木の上に押し上げられ、ついでマイヤが昇ってくる。その時にはグレイハンドウルフの波状攻撃が残りのメンバーを襲っていた。
中央にアンジュを置きその後方にヤルルーシカ、左右にリュディーとミヤを配置して迎撃している。本当ならヤルルーシカが登ってくる手筈だった。
樹上に逃げられる前に一人二人くらい仕留める気なのだろう。その波状攻撃はとどまる事がない。常に多数で一人を攻撃する様に動いて来る。
ならばと俺は樹上から魔力を練る。次に飛び出して来た敵の支援部隊を一掃するつもりだ。先頭の一匹に絞れば残りのメンバーが遅れを取ることはないはずだ。
姿を現した途端、グレイハウンドウルフの眉間のぎりぎりを魔法の始点に終点を眉間にしたライフル弾をイメージした石弾を一斉に高速射出した。
さすがに避けきれなかった様で三頭を斃してのける。突っ込んで来ていた先頭の一頭がアンジュに切り刻まれた。
ピタッと波状攻撃が止む。斃した5頭の足を結え木に吊るす。その間も一切姿を現さない。未知の攻撃に対して慎重になったようだ。メンバー全員が樹上に避難を完了しても襲撃は行われなかった。
「なんで危険を冒してまで斃したグレイハウンドウルフを木に吊るしたの?」
「あいつ等の毛皮と角は非常に高値で取引されるの。だから持ってかれたくなかったのよ」
「持ってかれる?」
「ええ、あいつら仲間の死骸を残さないのよ。必ず持ってちゃうの。だから凄い貴重品なんですよ」
ヤルルとアンジュが説明してくれた。なんていう狼なんだ。仲間を残さないなんて。
「ひひひ、今回は5頭も手に入ったから大儲けだよ。後何頭倒せるかな~」
その後は完全に気配を消したグレイハウンドウルフ、樹上から様子を見る俺達との睨み合いがしばらく続く。
気配が読めないのでもういなくなったのではないかと聞いてみるとそんなに甘い連中ではない様だ。
狙った獲物は執拗に襲うことでも有名らしい。狙われたが最後全滅するか、させるかしかないんだって。
「グレイハウンドウルフが、獲物を諦めないのは証拠を残さないためだと言われています。だからほとんど彼らの狩りについては知られていません」
「さてどうしましょう?」
アンジュがグレイハウンドウルフの生態を教えてくれて、この後どうするかと尋ねて来る。
「まずは敵の全容を知る必要があるな。殲滅以外この窮地を抜け出せないんだろ?」
「ですね。しかし彼らは巧みに気配を殺します。また情報をことごとく封鎖してきますので厄介きわまりないです」
「リュディー、ミヤ、アンジュ。この三人は索敵があるな! 樹上を移動しながら全容把握に動いてほしい。俺、マイヤ、ヤルルーシカは囮になろう。誰が魔法を使っているか悟らせないために囮部隊は、武器攻撃と魔法を併用するよ」
俺を中心にマイヤとヤルルーシカが脇を固めながら武器を構え樹上から下りる。
辺りを窺っても何の反応もないのを確かめ、安心したふりをしながら木に吊るした5頭のグレイハウンドウルフを降ろして毛皮を剥ぎ牙を抜いて角を取る。
賢いグレイハウンドウルフを挑発しているのだ。仲間が解体されているのを見て激昂して突っかかってくれば儲けもの程度だが、案に相違して数頭が襲撃して来た。
「来たぞ。おかしいな。この程度で突っかかってくるとは思えないんだが。どちらにしても迎え撃たない訳にはいかないな。ヤルルーシカ、サラの援護も忘れるなよ」
「分かっています。襲撃部隊の後ろ動きが怪しいです」
「うん。魔力が高まってる。俺が受け持つから前方のは任せるよ」
「「了解した」」
マイヤとヤルルーシカがずいっと一歩前にでる。たぶん前方の襲撃部隊とその後ろの魔法攻撃部隊両方とも囮だ。
俺の背後木の蔭にさらに奇襲部隊がいる。上の仲間は当てに出来ないとすると前方の魔法攻撃部隊を防ぎながら後方の奇襲部隊と肉弾戦か。俺には荷が重いな。
「作戦変更。前方は俺が魔法で潰すから、後方の奇襲部隊をお願い。3、2、1ゴー」
合図と同時に前方から突っ込んでくる3頭の眉間を打ちぬく。同時に複数の雷撃が俺たちを襲うが土壁が立ち上がってこれを防御する。
直ぐに土壁を解除して視界を確保するとともに、この機に乗じて急接近して来る魔法部隊を迎撃する。一頭の角を刀で受けるもその脇を抜けてくる2頭の対応が間に合わない。
後方の状況を確かめている余裕は全然ないので、左の一頭をかわしながら右の一頭の攻撃をまともに受けるしかないと覚悟を決めると、左の一頭の口に水球、右の一頭の口に火球が飛び込む。
すかさず後方に跳び退ると、マイヤとヤルルーシカがそれぞれ2頭ずつ仕留めているのを確認出来た。
「サラ! 無茶するな!」
「てへ。魔法攻撃部隊がすかさず突っ込んでくるとは思わなかった。練度が高いよこいつら」
一対一になればそれほど苦労はしない。残存部隊を片付けてまた沈黙する。解体を後回しにして全てマジックバックに収納してしまう。偵察に出ていたミヤが報告して来る。
「おまたせ。奥にボスらしき黒いのがいるの。そいつはヤバそう。二重包囲陣になってたけど今ので一枚剥がれたよ。残りは8頭ってところ」
「ひひひ。あの黒いやつ誰がやる?」
「なら私が貰おう。この辺でサラに私の実力を見せておくのが良いでしょう」
「了解したよ。アンジュは、中央突破して奥の黒いやつにそのまま突っ込んで残りは僕とリュディーの獲物だよ。マイヤ達は十分楽しんだでしょ。手を出さないでいよ」
「ふん! それはお前達次第だな。チンタラしてるようなら介入する」
「分かってるよ。さっさと殲滅しちゃおう」
そこからは早かった。穏身を使ったミヤとジュディーがアンジュに気を取られている敵を各個に撃破して行く静かな戦い。
アンジュはそのままゆっくりミヤ達に指示された方向に進んでいく。おお! でかい。角なんか小太刀位有る。
双剣を構えたアンジュと対峙する黒いグレーハウンドウルフ・・・黒いのにグレーなんてと思わなくもないが種族名だから仕方ない。
無造作に間合いに入るアンジュ。黒いやつが攻撃態勢に入った時には終わっていた。既に首の両側の頸動脈が斬り裂かれていた。
相手はなが起きたか分からないまま絶命した。さすがに俺も度肝を抜かれた。相手にもならないとは思わなかった。
「ふ~。この双剣凄いです! なんと言う切れ味なんでしょう。装備に大分助けられた気がしますね」
「この黒いやつきっとすごい値段がつくよ! オークションにかけようね。僕ワクワクしちゃうよ」
「そうですね。ふふふ。美味しい物がたくさん食べれますね」
戦闘の余韻で興奮してるのかアンジュ、ミヤ、ヤルルーシカが軽口を叩き合っている。
「よし。終わったな。獲物は全て回収したな? ちょっと早いけどこの先で野営に入ろう。拠点到着は明日だな」
戦闘場所から少し離れて、野営の準備をしていると。
「今日はサラの活躍で大分助かったな。結局どういう魔法だったんだ? 全て眉間を打ち抜いてるようだったが」
「そうね。なんかが突き抜けてくのは見えたけど。たぶん石弾よね? いつ発射したのかな?」
「ん? 前にリュディーが魔法の発射地点を変えられるって言ってたから、グレーハウンドウルフの眉間のぎりぎりに発射地点にしただけだよ。それなら避けられないでしょ」
「・・・手元から離れた所に始点を置くのはかなり難しいのよ。それも相手は動いてるのに!」
「そうなんだ。でもこの辺からドンって感じですると出来たんだけど」
「・・・だって魔力の流れはどうしてるの? そこに自分の魔力を通さないと発動しないでしょ」
「え~と。この辺って思った所にぎゅぎゅぎゅって魔力を集める感じかな。繋がってるのかどうかは分からないけど」
「・・・ひょっとして、周りから魔力を集めてるのかも。でもそれじゃあ魔力が足らな過ぎると思うし・・・ぶつぶつ」
ヤルルーシカが何か考え込んじゃったよ。俺としてはそんなに色々考えながらやってる訳じゃない。イメージでここに作って発射位しか考えてなかった。
明朝は早くに起きて、直ぐに出発した。早々に魔獣の領域を踏破して世界樹の圏内に入ってしまいたかったからだ。
もちろんお湯玉はなしにして先を急ぐことにした。到着すればお風呂が作れるからね。世界樹の圏内に入って魔獣の襲撃がなくなる。
草原部をゆっくり歩きながら、俺が穿って畑にしようとしている個所まで来た。
うん。こんもりした草原になってるね。予想通りだ。泣いてなんかいないや。そこはスルーしてさらに進んでいくと薬草園の所の畑にしようとした地点まで来た。
ここは何とかふかふかの土になってる。さらに耕して畝を作れば何とか畑に出来そうだ。
草原地帯の対策を考えないと、畑を広げられないな~とか考えながら拠点目指して歩いて行く。もう目の前には大きな木が視界に入って来ている。
「ふぁ~、あれが世界樹ですか。大きいですね。でも巨木を一回り大きくしたぐらいだから。若木と判断したんですね」
アンジュは初めて世界樹を見たからか口をあけて見上げてる。ちょっと間を置いて感想がこぼれ出した。
「うん。あの位だと葉っぱを取りに登るのが楽でいいよね。普通の世界樹だと葉っぱがある所まで何百mも昇らないといけないから大変だね。ああ、今回調合のコツ聞いて来るの忘れた~」
「それは私が聞いてきたよ。さすがにエリクサーとか万能薬を作った事がある人は居なかったけど触媒を使うと難しい調合の成功率が上がるみたいだよ。エリクサーと万能薬の触媒が何なのかまでは分かんなかったけど」
「おお。リュディー。それでもナイス情報。色々試すしかないね」
無駄話をしている間に拠点の場所に到着した一行は唖然としてしまった。




