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第一話 青春はダンジョンにある!(予告)

 八百。そして九十と二。

 その数、それこそが人類の歴史であり、人類の栄光であり――人類の『限界』だった。

 地下世界ダンジョン第八百九十二(はっぴゃくきゅうじゅうに)階層。人類の最前線(さいぜんせん)たるその場所で、人類軍先行探索隊(じんるいぐんせんこうたんさくたい)に所属する浅黄(あさぎ)アキラは仲間とともに、ち……ち……。


「――ちこく? をな、な……なだめた?」

「西村、それは『地獄(じごく)(なが)めた』と読むんじゃないか?」

「あ、そうかも!」

「そんな状況でいったい誰の遅刻を(なだめるというんだ……はあ、西村お前はほんとうに馬鹿だな」

「馬鹿ってなんですか、不動(ふどう)先生! 僕は馬鹿じゃないですよ、その証拠に今日はちゃんと教科書持ってきましたよ、ほら!」

「……西村、いまは何の授業か言ってみろ」

「現国です」

「で、貴様が取り出した本はなんだ?」

「なに言ってるんですか。やだなあ、もうボケちゃったんですか、不動先生」

「こいつは……! いいから答えろ」

「現国の教科書です!」

「ドヤ顔でお前が出しとるのは歴史の教科書だ、馬鹿者!」

「えええ!? ああっ、ほんとだ!」

「もういい、廊下(ろうか)に立っとれ!!!」


 ここは世界ダンジョン第三階層(かいそう)通称(つうしょう)学園エリア。

 人類全員が冒険者にして、なんらかの職業につきダンジョン探索を行うこの世界において、幼少期(ようしょうき)から冒険者を育てる義務教育が行われている場所である。


「いやあ、さっきの授業はひどい目にあったよ……」


 廊下で自他ともに認める平均的(へいきんてき)容姿の西村(にしむら)ハルヒコはなげいた。


「ハルの自業自得でしょ?」


 キリっとした表情のポニーテール女子の碧山(あおやま)ソラがそれにツッコミ。


「ハルヒコ、お前が悪い」


 背が高くがっしりとした体型の男子、赤威(あかい)セイジがかぶせるように同意する。


「で、でもハルヒコくんだって悪気があったわけじゃ……」


 その場で唯一(ゆいいつ)ハルヒコを擁護(ようご)したのは廊下を歩けば誰もが振り返る美少女、佐倉坂(さくらざか)アマネだった。


「ありがとう~! ううっ、僕にそんなこと言ってくれるのは佐倉坂さんだけだよ」

「そ、そんな私はただ……あと、私のことはアマネって名前で……」

「あー、はいはい、いつもの茶番はいいわよ。そんなことよりハル、ちゃんと学年身体測定に向けてのレベルリングしてるんでしょうね?」

「は?」

「はって、お前……まさか中間の身体測定忘れてんじゃねえだろうな……今週だぞ」

「……忘れてました」

「「馬鹿ーっ!!!」」

「うおおお、どうしようどうしよう! このままだとどうなっちゃうの、僕!?」

「ハルヒコの高等部入学時のレベルだと、そうだな……一年の途中で留年(りゅうねん)が決定するな」

「ちょ、来年からハルに先輩って呼ばれるの、アタシたち?」

「ええ、嫌だよ!?」

「そんなのアタシだって嫌よ! 気持ち悪い!」

「セージ、どうしよう?」

「ハルヒコ、落ち着け」

「うん?」

「先生たちに蘇生(そせい)魔法は頼んでやるからな」

「すで死んだあつかい!?」

「あ、あの、ハルヒコくん私がパワーレベリングしますから! 元気出してください!」


 はたしてお荷物を抱えて、西村パーティは無事この学園をクリアできるのか!?

 ピンチ? 魔王との死闘(しとう)? 絶望(ぜつぼう)? そんなものはスタイリッシュ大作RPGにでも任せておけ! 限界突破の反則技で送る、バーリートゥード・ツープラトンファンタジーここに開幕(かいまく)


――僕たちの青春は冒険とダンジョンにある!


「ハル、あんたはその前にレベルあげなさいよ!」

「ハルヒコ、足引っ張んじゃねえぞ!」

「ハルヒコくん、頑張ってください!」

「あ、はい……」

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