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今日から学校と仕事、始まります。①莞

奴等のジャンケン話

作者: 孤独

「ジャンケンしよう!」


まぁ、察してください。


「いいだろう」


ウザい奴がいるだろう。

ジャンケンで出す手で相手を攻撃する。


「死ね、オラァッ!!」


山寺光一は相手の顔面に、分かりやすくグーを叩き込んだ。

相手の顔面は凹み、脳を揺らされ、歯が落ち、目と鼻から血が噴き出す。痛いという恐怖は、死ぬのではという不吉を確実に予感させる。

完全に殺しにいった。


「ぐはっ!?」

「俺に対して、後出しジャンケンは”負けになる”ぞ」

「ちょ、ちょ」

「行くぞ、オラッ」

「タンマ!」

「ジャンケンにそんなんねぇよ」


出す手はグー!グー!グー!グー!オンリー!!右手オンリー!!

相手は懸命にじゃんけんの勝負手となる、グー、チョキ、パー、のいずれを作ろうとするが、光一の炸裂するグーが身体に襲い掛かり、それどころではない。

つーか、なにこれ?ズルくね?


「はい、俺の勝ちだ。5発で気絶しちまったか」


大人げなく、暴力の理不尽さを表す。完全敗北を相手に与える。相手の命だけは奪わなかったのでセーフである。



◇      ◇


「いかんなぁ、光一。大人げないぞ」

「そーか?」


光一の、女友達の1人。木見潮朱里咲は注意をする。

ジャンケンをしてきた人に容赦のないグー。その制裁はとても、


「野蛮人だ。私達は、人の域を超える”超人”だぞ。芸を出さねば」

「姐さんと違って、俺は器用じゃねぇんだ。まー、見てみるわ」


格闘技の実権用具となるマネキンの前に、朱里咲が立つ。


「パーなら」


掴んでしまうと、その形はグーになってしまい、いささか品がない。マネキンの頬に優しく触るようにゆったりとした動きから、


「”剥く”」


重なるコピー用紙を1枚とるように皮膚を引っ張りはぎ取る、朱里咲のパー。人間相手に決まっていれば、はぎ取るパーは真っ赤に染まる事だろう。相手の表情も読めない面に変わる。

ここで朱里咲からの注意点、剥く際の手の形がパーからグーに変わらないように気を付ける。パーで上手くはぎ取ってこそ、使い手として認められる。


「チョキなら」


続けて、マネキンの両目にチョキを突き刺す。一般的な目潰し、その代表格と言っていいチョキだ。


「”回す”」


人差し指、中指が両目に入った状態で、朱里咲はマネキンを持ち上げる。突っ込んだ2本の指を軸に宙へ浮かして、マネキンをピザ回しと等しい動きを与えて、吹っ飛ばす。

両目がかき混ぜられるだけでなく、指がさらに相手の奥へと進む。顔面を洗濯機に入れる攻撃としっくり来る。


「このように、もっとレパートリーを増やすことだ」

「姐さんぐらいしかできねぇよ」


光一が少し思ったことは、グーで殴ってやった方が自分も相手もスッキリすると……


◇       ◇


「ジャンケン戦の心理戦を考えているんだ」


光一と朱里咲とは、また別の話。


「グーを出すか、パーを出すかという心理戦」


漫画の打ち合わせである。ジャンケンを勝負にした心理戦を描くわけだが、漫画家を目指す蓮山は知り合いの人に相談をしていた。



「なにか上手い話しにできませんかね」

「…………」

「グーを出すか、パーを出すかっていうねー。ジャンケンにしたいんです」


蓮山はそーいう注文をする。

分かってしまった事を口にする知り合い。


「チョキ、描くの面倒だもんね」

「うぐっ!」

「蓮山くん。面倒や苦手を語っていたら、夢は夢のままだよ」


それはそれで、良いことでもあるけど。

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