忍び寄る影
これは、エックスがくしゃみをした瞬間だった。
「エーーーーーークッサメ!!」
その声に、思わずずっこける二人だったが、エックスの尋常でないその姿に愕然とした。それは、エックスが首を右に向いたまま、うっ・・・と声を上げて、そのまま固まって落馬したのだった。その姿を見たヤンは、しばらく、驚いたのだが、あることに気が付いた。
たぶん、横を向いてくしゃみをしたから首をひねったに違いない・・・そう、彼は幾度かヤンの前で同じことをしていたのだった。そのことを知らないラムは驚いた。しかも、落馬したまま、固まっているエックス、自分も馬を降りてエックスに近寄った。
「大丈夫ですか?」
そんな声を上げているラムが周囲の変化に気付くはずもなかった。そのことに気付いたのは、痛みでのたうち回て散るエックスと、その横で、冷静にその様子を見ていたヤンだった。そして、取り囲まれたことに気付いた二人だった。しかし、エックスは首をひねった状態で身動きが取れない。とにかく、ヒールをしないとと思っているヤンだが、その時間もなさそうだった。
次の瞬間、森の向こうから、閃光が飛んできた。魔導士の攻撃だった。
@@@@ギン@@@@@
その攻撃を防ぐヤン、もちろん、魔法はバリバリの果実の魔法だった。それは、漫画を読んで覚えたらしい、しかし、その効果は絶大だった。
「バリバリの歩行!!」
そう叫んだ瞬間、彼らを守っていたバリヤーが相手に向けて発射されたのだった。しかも、その辺の木々は慈悲もなくなぎ倒されてだ。
バキバキ!!
そんな迫りくるダンブカーのようなバリヤーに気付くこともなく、彼らを襲った連中は、交通事故で自動車にはね寝られたというよりは、押しつぶされて、ぐしゃっとその寿命を全うしたのだった。そこへ、ラムは
「何かあったの?」
などと能天気なことを話しているのだが、そこは、百戦錬磨のエックス
「この首にヒールをかけて・・」
おいおい・・自分のことかいと心で突っ込んでいるヤンに対し、素直に、ヒールをかけるラム。こうして、訳もわからないうちに危機を脱出した3人だったが、この後の入る村人と関係しているとは、知る由もなかった。
こうして、3人が付到着したのは、ビゼンタウン。古くからの焼き物の町として栄えた町である。領主である。ビゼンオサフネは、その齢、60に近いとあって、世継ぎの選定にいそしんでいた。つまり、子作りに励んでいたのだが、彼らには3人の息子が出来た。
一人はビゼンソウタという。彼は、領主の息子だったが、欠点はあほなことであった。そして、次男は、ビゼンジロウ(そのまんまやん)なんだけど、彼は、その細やか性格が跡継ぎには向かないと言われていた。そして、3男であるビゼントウガ、かれは、度量もあり、その器は計り知れないとなっていたが、とうの本人は、全く家督を継ぐ気はなかった。
むしろ、自分の家庭を大事にしたかったようだ。現に、ミカという正妻を溺愛し。子供が出来ないにもかかわらず、側室を作らないほど、一途な男だった。しかし、そのことが評判となり、ビゼンタウンの領主待望論まで出る始末だった。そんな彼の元に、何故か、エックス・ヤン・ラムの3人は犯罪者として、連絡が入っていたのだった。そして、彼の元には
「例の3人組を取り逃がした」
そういった報告が入ってきた。実はビゼンタウンは小国だった。東には正徳太子が収める播ハーリマの国があり、西には、吉備彦が収めるキビの国がある。そんな小国にあって、何故か一人2000万ギルダーと言う懸賞金が付いている。3人のは、魅力的であったに違いなかった。
しかし、当の3人は、何も考えずビゼンタウンに入国、自らの運目も知ることもなかった。
そして、入った瞬間、事件は起きた。
「エックス一味よ!!貴様を犯罪者としてとらえる」
そんな声がした瞬間、エックスたちは、この地の収集な魔導士たちに取り囲まれてしまった。
「どうする?ヤン」
そう言うエックスに、
「ぶっとばす?」
そう答えるヤンに、ラムは嫌な予感がした。
この町を吹き飛ばす気なの?
そう思った瞬間、ラムは、ヤンに向かってある魔法、メモリーデリートを行った。この魔法は、相手の記憶を削除する機能を持っていて、魔法にかかった人は今から何をしようかということすら、覚えていない状態となるのだが、そこは、ヤン、ラムの魔法を簡単に跳ねのけた。しかも、その跳ね返った魔法は、エックスに当たった。
「ここはどこだ?」
などとのんきなことを言い出している。思わずヤンの首をつかんだ
「何すんのよ!!」
「ヤンさん!!ここは私に任せて」
そういうとラムは、ヤンを押しのけ、前へ出だ。そこへ、魔導士の攻撃が集まる
「わ!!わ!!」
必死によけているラムを見て頭が痛くなるヤン、あんた何してるのよ。とため息交じりに魔導士に向けて手をかざした。
「バリア!!」
ヤンのバリヤーによって攻撃を防ぐとこが出来たに喜んだのはラム
「さすがヤンさん」
「いやーそう言われてもって、あんたなにがしたかったの?」
ヤンの言葉に何かを思い出したのかラムは不敵な笑みをこぼした
「ふふふ・・・ここは、わたくしにお任せを」呪文を唱えた
、震える魂・・・ふるえふるえ木魂の元へ魂の響きをあつめためえ・・・
するとラムの両手が徐々に光はじめそれを前にだし、一つにした。
「必殺!!オーロラーサンダーーーーアターーーーック」
その名前を聞いて、思わずずっこけるヤン・・・な・・・なんちゅうーネーミングだ・・・と思ったら天は暗くなりオーロラが出現した。戦闘シーンでオーロラが出た所とて、戦局には全く関係ない。彼女の魔法を見た魔導士たちは一時的にはひるんだのだが、ハッと気づいて、
「馬鹿にしてるのか」
再び攻撃を始めた。必死にバリヤーで防ぐヤン
「何やっているのよ!!オーロラが出ても何も意味ないわよ」
思わずラムに向かって叫んだ。しかし、ラムはしてやったりの顔をしていたのだが、首をかしげている
「あれ?」
「あれじゃないわよ!!あれじゃ!!」
そう叫んだ瞬間、稲光が光った。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・ドーーーン!!!
目の前に雷が落ちて、魔導士たちに直撃した。
「ほら」
と思っていたら雷が次々と落ちだしてきた。
「あれ・・」
「どうすんのよ!!」
ラムに向かって叫ぶヤン!!
「えーーと」
「早く止めなさいよ!!」
「ははは・・・止め方わかんない・・・」
「あんたね・・」
そう言っている間にも雷は続いている。
「こ・・ここは」
ある決意をヤンはした。
「逃げるわよ」