ここはどこ?
ちゃっかりと3匹の馬をかっぱらった3人は、既に、森の奥にいた。
「ここはどこ?」
相変わらず、間抜けな話をするヤン
「それより、ちゃっかりと馬まで取って来て・・・」
そう突っ込むラムと
「いや~」
と頭を掻きかきしながら、ひきつった笑顔をしているエックスの姿がそこにあった。すると彼らの影で蠢く影が・・・
「棟梁・・・女でっせ・・」
「女か・・・いいえものだな」
そんな声が蠢いていたのだが、3人は知る由もなかった。
「とりあえず、もう少し向こうまで行きましょうよ」
そんなことを言うヤン・・・とにかく、あの町から離れたかっただけだった。しかし、ここまでは、あの町の連中は絶対にやってこない。それは、北のトランプ一味がここにいたからだった。トランプは、何故か、秘密兵器を持っていた。それは、彼の部下に、巨大蟹がいたのだった。この蟹は右手に、超巨大な鋏を持っていて、そんじょそこらの魔導士の衝撃波はなんかは、通用しない。ましてや、そんじょそこらの剣士の腕では、全く歯が立たなかった。そんな彼は、小さな蟹の時に、親分であるトランプに助けられ、その恩に報いようと必死に大きくなったのである。
そんな巨大蟹がいる盗賊一味トランプがいるところまで、町人たちは、行くはずもなかった。彼らは、ただ、途方に暮れていたが、町の再建を優先することに、あとは、トランプが始末してくれると思って・・・
エックスたち一行はしばらく、その歩みを進めていると、周りを囲まれていることに気付いた。
「ヤン?」
「ええ・・気付いているわよ。ラムは」
「なんとなく・・・って、わぁ!!」
ラムが驚くのも無理はない目の前には巨大な蟹が立ちはだかっていた。すると、エックスとヤンは
「「う・・うまそう」」
そんな発言を聞いて思わずこけるラム
「どこがうまそうなのよ。あれの」
「だって・・・蟹よね・・・エックス」
「そうだ・・・蟹だ・・・」
二人の視線を感じた巨大蟹君は蟹なのに少しギョッとした。これまで、自分を見て、驚く人間は見たことがあったが。よだれをたらしている人間を見たのは初めてだったからだった。そこへ、トランプは蟹に命じた。
「行け!!クランプ!!」
次の瞬間だった。ヤンが放った魔法は。
「ラム・・・あなたの魔法を借りるは、ファイヤーボール!!」
呪文とともに発生した。竜巻のような火柱は、一瞬で巨大な蟹をグリルしてしまった。そして、その場所には、焼き蟹のおいしそうなにおいが立ち込めていた。
「う・・・うまそう・・・」
巨大蟹を瞬殺されたトランプだったが、仇討ちをしたい。兎に角、彼らに突撃をしてきたのだが、結果は、エックスにはさんざんやられ、ヤンには、これでもかと魔力を見せつけられ、一番弱そうなラムでも、全く歯が立たない惨状だった。こうして、彼らは、エックスに降伏した。
う・・・うまし!!
と叫んで、蟹の肉を食べる3人の姿がそこにあった。
このことは、町の人々は知る由もなかった。